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オズのカエルマン

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第四幕その一

                 第四幕  四霊獣
 カエルマン達八人はオズマ達と笑顔で一時のお別れをしてすぐにギリキンの国に向けて出発しました。程なくしてドロシー達もリンキティンク王の国に旅立ちました。
 出発してからです、神宝はカエルマンに言いました。丁渡都の門を出たところで。
「僕達まだカエルマンさんとは」
「そうだね、一緒に冒険をしたことはね」
「なかったですね」
「これがはじめてだね」
「そうですよね」
「そういえば僕は君達ともね」
 冒険以前にというのです。
「じっくりとお話をしたこともね」
「なかったですね」
「そうだったね」
「はい、これまでは」
「これはいい機会だね」
 しみじみとして言うカエルマンでした。
「君達とこうして旅をすることは」
「そうですね」
「これもオズの神々の配剤かな」
 こうも言うカエルマンでした。
「偉大なるね」
「そうかも知れないですね」
「うん、僕も実は君達とはね」
 カエルマンは五人にお話しました。周りはまだ緑の世界でカエルマンの黄色いお顔と服が目立っています。
「じっくりとお話したかったんだ」
「そうだったんですか、カエルマンさんも」
「実は僕達もそう思っていました」
「カエルマンさんと」
「それはどうしてかな」
 カエルマンは自分達もと答えた五人に尋ねました。
「僕とお話したかったというのは」
「いや、僕達の世界にはいないですから」
「カエルマンさんみたいな方は」
「こんな大きな蛙なんて」
「しかも歩いていて人の言葉を喋って」
「そうした人は」
「そうだったね、あちらの世界には僕みたいな人はいないね」
 カエルマンも五人の返答に納得して頷きました。
「オズの国は違うとして」
「オズの国ならではですよ」
 ジョージもこうカエルマンにお話します。
「カエルマンさんみたいな方がおられるのは」
「そして他の人達もだね」
「はい、オズの国はお伽の国ですから」
 つまり不思議の国だからだというのです。
「こうしたこともあるんですね」
「そうだね、けれど僕みたいな人はね」
「他にもですね」
「いるからね」
 このオズの国にはというのです。
「僕も特別な人じゃないんだよ」
「かかしさんも木樵さんもおられて」
 オズの国の不思議な住人の中にはです。
「他にも大勢おられますね」
「僕みたいな蛙もいるよ」
「あっ、そうなんですか」
「うん、僕みたいな大きさで服を着て喋る蛙はね」
 オズの国にはいるというのです。
「この国にいるよ」
「そうなんですか」
「そう、だから僕はこの国では特別じゃないんだ」
 カエルマンはジョージににこりと笑ってお話します。
「そのことは覚えておいてね」
「わかりました」
 ジョージはカエルマンの言葉に素直に頷きました、他の四人も同じです。
 そして今度は恵梨香がです、カエルマンに尋ねました。
「あの、カエルマンさんの好きなものは」
「泳ぐこと、跳ねることだよ」
「蛙だからですね」
「うん、特に泳ぐことは大好きだよ」
 特にこれがというのです。 
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