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ソードアート・オンライン ーEverlasting oathー

作者:ゆぅ駄狼
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Two episode 第一層攻略

デスゲームが始まってからもう1ヶ月が経っていた。
1ヶ月が経っているというのに第1層のボスはまだ攻略されておらず、迷宮区すら突破していない。
その中、俺とユウキは今いる町、トールバーナーの近くの平原でレベリングをしている。


「ユウキ!スイッチ!」


そう叫びユウキと前衛を交代した。
凄い速さでユウキが前に行く。


キィィイイン


「やああああぁああぁ!!!!」


ユウキの持っている剣が黄緑色に輝き、ソードスキル《ソニックリープ》を敵に当て、ルーウルフを横に一刀両断にした。
ルーウルフは結晶体となり消滅した。
今の戦闘によりレベルがユウヤとユウキのレベルが1上がった。
レベルが上がったことでユウキは大喜びしている。


「ユウヤユウヤ!レベルが上がったよー!」


毎回思うがレベルが上がる度にユウキは遊園地に来た子供の様に凄く喜んでいる。
何となく、見ているととても和む。


「俺もレベルが上がったぞー。今の敵はコルを凄い落としてくれるみたいだな」


コルとはこの世界のお金のことである
普通のモンスター、例えば最初のイノシシとかは15コルしか落とさない
だが、今のモンスター、ルーウルフは500コルも落とした
この第一層では流石にレベリングをずっとしているとそのレベルにあった武器を作る為にコルが必要なので結構貴重だったりする
ちなみに俺はソードスキルは槍を上げている。武器の名前はアロイスピアー。ユウキは片手直剣のスキルを上げている。武器はアロイソード。


「ふぅ…今のでレベルは13か…ユウキは今どのくらいだー?」


「ボクの今のレベルは12だよー!」


かなりレベルを上げたな…俺達は安全マージンを取るため階層+10のレベルにしている。
安全マージンを取るものは現在でもかなり少ない。
何故かと言うと、このデスゲームを完全に信じているものが少ないからだ。
興味本位で飛び降り自殺をしていたやつもいた。
勿論そいつは飛び降りてから一度も姿を見られていない。
安全マージンをとっている俺達はレベリングではトップクラスに入っていた。


「ユウキ、そろそろ戻るぞー」


「うん!わかった!」


笑顔で返事をしてきた
本当に…和むな…



今日は早めにレベリングをやめた。何故かと言うと今日の昼、大体1時間後に初の第1層攻略会議が開かれるからだ。
βテスターの時はがむしゃらに突っ込んでボスに挑んでいたが、今回はそうはいかない。
もし1人で突っ込んで行ったらレベル的には数十分は耐えれるだろうけど、取り巻きのルイン・コボルト・センチネルがボスを倒すまで湧き、ボスであるイルファング・ザ・コボルト・ロードのヒットポイントを4分の1にすると大曲剣タルワールに変えて攻撃をしてくる 。
こっちのレベルが多少上でもタルワールの攻撃を食らえばHPが半分も削られる、回復しようとしても取り巻きのルイン・コボルト・センチネルにとどめを刺されるだろう


「ユウヤ!今日は攻略会議だよね!攻略会議ってことは誰かが迷宮区を突破したのかな?」


「まぁ安全マージンを取ってる奴らは俺達だけじゃないからな。レベルが階層+5はあれば迷宮区はクリアできるし、大人数パーティで行けば突破は確実にできるからな。」


βテスター達なら必ず安全マージンを取るはずだからトールバーナにいるβテスターを集めれば迷宮区は簡単に突破できるのだ。


「お、着いたな」


始まりの街に残っている人も多いが、トールバーナーに残っている人もかなりいる
だが、この町は全く生気を感じられなかった。


「やっぱりみんな気づいているんじゃないか…?」


1層の安全区にずっといれば確かに安全だ。
だが現実の体はどうなっているのだろう。
現実の体は何も食べていない為、いつかは死に至る。
戦えば死ぬかもしれないという恐怖と、戦ってこのゲームをクリアしなければ現実の世界の体も限界を迎え、死に至る。
現実の世界の死と仮想世界の死、両方の恐怖を受けているのだ。


「ユウヤー、まだ時間があるからポーションとか装備揃えようよー!」


まだ会議の時間まで40分は残っていた


「そうだな、それじゃ雑貨屋と武器屋に行くか」


「うん!」


そう言い、俺に笑顔を向けてきた
皆が恐怖に怯えてる中、こいつはいつも俺に笑顔を向けてくる。
その笑顔はとても眩しかった。
その笑顔に自分なりに答える様に、ユウキの頭に手をポンッと置いた


「な…!…にゃに!?」


あ、噛んだ。
ユウキは頭に手を置かれた事と、噛んだ事により猫語になってしまった恥ずかしさで顔がトマトの様に真っ赤になってしまった。


「おーい、ユウキ?なんで赤くなってんだ?熱でもあんのか?」


なんでユウキは赤くなってんだ?熱か?いや、熱はこの世界にはない。あったとしても状態異常の火傷しかないよな


「ユウキ?大丈夫か?」


そう言いユウキの顔を見た。
やっぱりまだ顔が真っ赤であった。余計心配になる。


「だ…大丈夫だよ!」


ユウキが大声でそう言った。
大丈夫ならいいかと思い俺達は店に向かった。










ユウキside








むぅ〜びっくりしたぁ
しかもにゃにって言っちゃった…恥ずかしいなぁ…
それに、男の人に頭触られたのは初めてだったなぁ
顔も近かったし、近くで見るとユウヤって凄くかっこよかったな〜
初めて現実の顔を見た時は女の子みたいな顔だなって思ったけど
近くでみると凄くカッコよかった!


「ユウキ着いたぞー!」


「え!?うん!」


何故だか鼓動が早くなる
呼ばれるだけで嬉しい…そんな感じがする…
どうしたんだろう…今まではこんなことなかったのに…
何故だかとても心が踊ってる


「どうしたんだ?さっきから様子がおかしいぞ?」


また心配させちゃった。そのうち治るよね?


「ううん、大丈夫だよ!」


ボクはそう答えてポーションとかのアイテムを購入していたら、何やらユウヤが防具にも顔を覗かせていた。
そして、こっちに戻って来たと思ったら手にはコートを持っていた。


「ほらよ、ユウキ」


「これどうしたの?」


「さっき狩ったルーウルフの毛皮で作ってもらったボス戦は防御力を少しでも高めとけ。」


そう言って黒いコートを渡してきた。
それはとても暖かく優しさを感じた。


「ユウヤはコートないの?」


「俺は攻撃を根性で避けるから別にいいよ。」


ボクは不意にクスっと笑ってしまった。


やっぱりユウヤは優しいな…
いつも助けてもらってる…ボス攻略では僕が手助けしないと!


「ユウキ行くぞー」


「うんっ!」








ユウキsideout








歩いているうちに攻略会議をする広場に着いた。
意外に人が多く、戦う気の奴らがこんなにいたんだなと思った。
そして、1人の青い髪をした男が出てきた。

盾に片手剣…バランス型か…


「はーい!皆集まってくれてありがとう。俺はディアベル。職業は…気持ち的に騎士やってます!」


周りが笑いに包まれた。


「ジョブシステムなんてないだろ笑」


笑が静まると突然ディアベルは真剣な表情になり、話を続けた。


「昨日俺のパーティが塔の最上階でボスの部屋を発見した。」



マジかよ!
とうとう見つけたのか!
早速攻略に行こうぜ!
などの声が上がる。



「ちょっと待てや!」


上の方から声が聞こえた。
そいつは軽快なステップで階段をおりてくると話し始めた。

やべぇ…あいつモヤッとボールじゃねぇかよ…


「ワイはキバオウっちゅーもんや!攻略会議する前にこんなかに皆に詫びを入れなあかん奴がおる筈や」


クソ…βテスターを嫌う奴か…


βテスターはこのSAO内で有利でありすぎる為、色んな人から嫌われている。
その中でもキバオウというプレイヤーは特にβテスターを嫌っていた。
まさかこいつがキバオウだったとは…


「そのお詫びをする奴というのは元βテスター達の事かな?」


「そや!あいつら情報を独り占めしてるんや!ここに装備とアイテムを置いてかなあかんと一緒に戦う事はできへんで!」


あの野郎…!


「発言いいか」


突然、肌が黒く、身長の高い人がその場で立った。
武器は両手斧でいかにも脳筋っていう感じだ。


「俺の名はエギル、あんたは情報を独り占めにしているβテスターが許せなく、アイテムと装備をここに置いていけと言っているんだよな?」


「そや!なんか文句はあるんかいな!」


「これが何かわかるか?」


そう言ってエギルという男は一つの情報が詰まった本を取り出した。
どこの雑貨屋でも配られている攻略本みたいな物だ


「そんなん雑貨屋行ったら配られているものちゃうんか?」


「ああ、そして、これを配っていたのは元βテスター達だ。いいか皆、情報は誰にでも手に入れられているんだ。ここではそれを踏まえて論議されると俺は思っていたんだがな。」


「ぐっ……」


キバオウが黙り出したな
つーかこの本、βテスターが配っていたのか…どうりで詳しすぎると思ったぜ。


「ゴホン、攻略会議の続きなんだが…つい先ほどこの本の最新版が配られた。ボスの名前はイルファング・ザ・コボルト・ロード。こいつは最初は盾有りのアックスを使っているがHPが4分の1になると大曲剣タルワールへと持ち替えるらしい。しかもこのボスの取り巻きにルイン・コボルト・センチネルというのが出てくるらしい。」


やっぱり基本的にはβテストの時と同んなじなんだな
というか


「ユウキ…?」


ユウキがやけに静かだと思い見てみたら
静かにコートで体を覆い、安らかに寝息を立てていた。
ものすごく可愛いなこいつ…
ゆらゆらしていたからか、俺の肩にコテンともたれかかった。


「ボス戦ではパーティを組んで戦った方が有利に動く。それじゃ取りあえず皆、パーティを組んでみてくれ」


取りあえず色んな人とパーティを組まないといけないらしいのでユウキを起こすことにした。
寝顔も可愛いなこいつ…じゃなくて起こさねぇと


「ユウキ起きろ」


そういって指で頬を突ついた。
そしたらユウキは目を開け俺を見ると顔を赤くし、俺から離れた。


「ご…ごめんね!」


なんで謝ってんだ?
そう疑問に思ったが、まずはパーティを作らなきゃいけないという事をユウキに伝えた。


「パーティを作るんだね。ならあそこにいる人達はどうかな?」


そうユウキが指さす方向には俺より一つ年下かあるいは同じ年齢くらいのローブを来た女の子と普通の装備の少年がいた。
その人達の近くに行き


「アンタら、俺達とパーティ組まないか?」


そういい返答を待っていた
ユウキはまだ眠いのかふらふらしていた。



ペチンッ!


「あいたっ!」


ユウキに桐崎家伝統技、デコピンをくらわせた。
中々威力が高かったのかおでこが赤くなっていた。
ユウキは涙目になり俺を睨んでくる。

やべっやり過ぎた。

そう思いユウキの頭を撫でた


「あんまりふらふらしていたら危ないぞ?」


そういいながら頭を撫でた。


「うん…」


またユウキは顔を赤くし黙ってしまった。
そんなやりとりをしているうちにパーティに入る気になったのか、パーティを四人で組むことになった。


「俺はユウヤ、こっちはユウキこいつといつもパーティを組んでる。」


「宜しくね!」


「俺はキリトだ…」


「…」


赤いローブの女の子は無口なのかなんにも喋らない。
まぁ左上のHPゲージのところを見ればいいか。
名前は…Asuna…アスナか?


「今日はボス戦に備えてアイテムなどをちゃんと揃える様に!解散!」


ディアベルがそう言うと皆は広場から離れて行った。
もう時刻は6:28になっていた。
俺達も広場から離れ、宿屋を借りて夜の町を散歩しているとキリトとアスナが2人がいるのが見えた


「おーっす、元気にしてるかー?」


「ユウヤとユウキか…」


俺達はアスナの近くに腰を下ろした
アスナがパンを1人で食べていたので俺達もパンをアイテムストレージからだした。


「このパン美味いよな」


「中々に美味しいよね!」


「ああ、このサクサク感がな!」


「本当に美味しいと思っているの…?」


「ああ、俺は工夫をするけどな。」


「工夫…?」


そう言うとキリトが右手をスライドしアイテムストレージから小瓶の様なものをだした。
あれ…俺も持ってるな…
俺もストレージから小瓶をだした。


「そのパンにつけてみてくれ。」


アスナが指で小瓶に触れると指先が光った。
キリトはつけてみな、という素振りを見せるとアスナはパンにその光をつけた。


「クリーム?」


「そうだよ、これがあれば1日1個は普通に食える」


俺もユウキの前に小瓶をだした。


「ほらユウキ、お前もつけな」


「うん!」


モグモグ…



美味しいー!とユウキが言うとアスナも食べ始めた。


はむっ………はむはむはむ…


どうやら美味しかったらしく一気にがっついた。
俺もたーべよっと


「ふぅ…」


「とあるクエストの報酬だけど、やり方とコツ教えるよ?」


「いい…私はこんなものを食べる為にここへきたわけじゃないもの。私が私であるために、このゲームに負けたくないからここにいるんだもの…」


「そうか…」


俺達はパンを食べ終えると解散した。
もう時刻は8:03になっていた
俺達は宿屋に向かい…実はここで問題があったのだ。
このトールバーナーは人が多過ぎて宿屋が結構混んでいて俺とユウキは一つの部屋しか借りてないのだ。
俺達は部屋のドアを開け中に入った。
更に問題が発生した。ベッドがなんと一つだけだった!


「まずはこの事態を攻略しないとな…」


「ボクは別に構わないけど?」


「お前はアホか男女が屋根の下、しかも密室の中に2人だぞ」


「だってユウヤ何もしないでしょ?」


「…じゃあお前がベッドに寝ろ。俺は床で寝るから」


「むぅ…ユウヤが寒くて風邪引いちゃうよ!」


「いや、ゲーム内じゃ風邪とかいう状態異常ないから」


「じゃあ、凍結しちゃう!」


「お部屋凍っちゃってる!!」


「むぅ……あ!」


ユウキは考えると考えが浮かんだのかこちらを見るが顔を真っ赤にしていた。

ユウキも床で寝るとか言い出すのか…?


「一緒に…ベ…ベッドで…寝よ…?」


あぁ…叔父…お前とは種類が違うがアホな子が居たよ…


「アホかお前は、それは駄目だ。却下。」


「じゃあ!ユウヤが床で寝るならボクも床で寝る!」


女の子を床で寝かせるのもな…しょうがないか…


「わかった、床では寝ないよ。ベッドで寝るから」


「…」


え?お前が言ったのに何で黙っちゃうの?
何か俺がミスをしたのか!?


「う、うん…わかった…」


取りあえず了承は頂いたな
何でずっと立ったままなんだ?


「よいしょっと、やっぱベッドが1番だな!ユウキ?そろそろ寝るぞ?」


ユウキは無言でベッドに横になった。
部屋の電気を消し、俺達は目を閉じた。



ーーーだが…夜中になってから更なる事態が生まれた。


「むにゃ…ユウヤ…」


そう…ユウキが抱きついていて離れてくれません。
俺はこの状態から抜け出す為に脳内をフルに回転させた。



頬突つく
起こす
抱きつきを解く
理性の強化をする



…選択肢はこの位か…頬突けば起きそうだな…起こしても可哀想だし…抱きつき解いたら多分起きる…
クソ!ここは…



頬突つく
起こす
抱きつきを解く
→ 理性の強化をする



こうだ!


数十分後…



「何故こうなった…」


ユウキの抱きつきが強くなり、何やら柔らかいモノが…しかも顔が近い
ヤバイぞ!これはヤバイぞ!


「むにゃ…むにゃ…」


俺は急いで策を練った。



寝る
寝る
寝る
寝る



ふ…決まったぜ、俺の選択肢は…



→寝る
→寝る
→寝る
→寝る



こうじゃぁああぁあ!!
そして俺は安らかではない眠りについた。










ユウキside







チュンチュン…
外から小鳥の鳴き声が聞こえてくる


「ん…?」


ボクは何かを抱きかかえていた。
それを確認して見ると…


「…!」


ボクはユウヤに抱きついていたのだ!


「わわっ!!」


ユウヤはまだ起きてなく危機一発だった様だ。


「ジーっ…」


いっつも思うけど…ユウヤってかっこいいよね…
でも、寝てる時は凄く可愛い…
ずっとユウヤの顔を見ているとユウヤの目が開いた。
ユウキは顔をかなり近づけていたので他人から見たらキスしようとしてる風にしか見えない。


「ユウキおはよ…」


ボクは急いで離れた。


「お、おはよ!」


「今何時だ…?」


ボクは時計を見た。


「今ちょうど9時になったよ!」


「そんじゃぼちぼち準備して行きますか…」


「うん!」


そう言ってボク達は準備をしてボス部屋に向かった。







ユウキsideout







「よ!2人ともおはよう!」


俺がそう言うとキリトとアスナもおはようと言った。
ユウキは何やらアスナに話かけている。


「君はなんでフードをいつも被ってるの?外した方が可愛いよ!」


「ありがとう…」


アスナは顔を真っ赤にしていた。
約1時間歩き続けるとボス部屋についた。


「よし!皆!これからボス攻略に挑む!作戦は今日の朝話したとおりに頼む!」


作戦はこうだ俺達はB班で取り巻きのルイン・コボルト・センチネルをA班のタンク隊(最前線の攻撃部隊)に近づけさせないこと。
俺達が取り巻きを片付けてタンク隊が一気にボスを倒すという作戦だ。
ちなみにC班は俺達が片付けきれなかった取り巻きを倒すという作業をする

やり方としちゃ間違えていなさすぎだな、あのディアベルという奴、実は元βテスターなんじゃ…


「ユウヤ行くよ!」


ユウキに呼ばれたから考えるのをやめ、俺達はボス部屋に入っていった。


中に入るとボスと取り巻きがいた。

ディアベルは大きく息を吸い込んだ。
そして大きな声で叫んだ。


「全員!突撃!!」


「「「「「「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」


プレイヤー達は叫びながら突っ込んでいった。

凄い迫力だな…


「A班…そのまま…」


ディアベルは指揮をとっていた。

あいつ人を纏めるのうまいな


「B班!再度リスポーンしたルイン・コボルト・センチネルを近づけさせるな!」


「「「「了解!」」」」


ディアベルから指示を受け、俺達はルイン・コボルト・センチネルに近づき攻撃を開始した。

俺はソードスキル、《ツイン・スラスト》を発動した。
これは槍で二回、横薙ぎする技だ。


「ユウキ!スイッチ!」


「やあああああああああ!!」


ユウキは剣はキィンという音を立て、ソードスキル、《ソニックリープ》を発動し、ルイン・コボルト・センチネルを攻撃した。
キシャアアアという取り巻きの叫びがし、ルイン・コボルト・センチネルはパリィンという音を立てて消滅した。
キリト達はどうなっているか見て見ると


「スイッチ!」


「はぁぁぁあ!」


凄かった、特にアスナの剣捌きが
アスナは細剣を使っているがヤバかったかなりの手練れだという事がわかった。
何故ならアスナの剣捌きが速過ぎて剣先が見えないのだ。
キリトと同じ事を思ったのか、同じことを呟いた。


「「グッジョブ…」」


俺達はその後もずっと湧いてくるルイン・コボルト・センチネルを倒していた。
イルファング・ザ・コボルト・ロードのHPもとうとう4分の1になり大曲剣タルワール装備をかえた…筈だった。


あれは…!野太刀!!


βテストは違った。あの武器はこの層のモンスターのものではなくまだまだ上の層のモンスターが持っていた武器だ。


「君達は下がっていろ!ここからは俺がいく!」


そうディアベルが言い前に行く…走っている時、俺とキリトを見た気がした。
ディアベルが危ない状況になっている。タルワールの場合は横に大振りに斬るが、野太刀は違う。最初の攻撃はジャンプからの素早い攻撃だ。
それに野太刀はタルワールと違い威力が高い。ディアベルのレベルで受ければ即死だろう。
それを言おうとしたらキリトが大声で叫んだ。


「駄目だっ!全力で後ろに飛ぶんだ!!!」


「あん…?」


言った時にはもう遅く野太刀がディアベルを斬り刻んだ。
俺とユウキ、アスナとキリトはレベルが高いから半分くらいで済むだろう。
だが、他の人達はボスとそんなにレベルが離れていないからほぼ一撃でHPがなくなる。


「うわあああああああああ!!!」


「ディアベルはん!!」


イルファング・コボルト・ロードはディアベルを斬ったあとキバオウ達の前に立ち塞がった。


「ガァァアアアアァア!!!」


「クソ!」


キバオウはそう言いながらボスを睨んでいた。


「お前ら!取り巻きを頼む!」


「「了解!」」


俺とキリトはディアベルのとこに向かった。


「何故あんな無茶をしたんだ」


キリトが聞いた。
確かに本来ならボス攻略は最後まで皆とボスを囲んで戦うのがセオリーの筈だ。
1人で突っ込むなど自殺行為だ。


「君達なら…分かるだろ…?」


一つの考えが頭に浮かんだ。


"ラストアタックボーナス"


ラストアタックボーナスによるレアアイテム狙い…やっぱりお前も元βテスターだったか…
君達ってことはキリトも元βテスターなのか…


「頼む…皆を…助けてやってくれ…」


そう言うとディアベルは無数の結晶となり消滅した。


「キリト…」


「ああ…あいつを倒すぞ」


ユウキとアスナも取り巻きを倒しこちらに合流した。


「アシストは任せて」


「ボクもユウヤ達の力になる」


「んじゃお前ら…あいつをぶっ倒しにいくぞ!」


俺達はイルファング・ザ・コボルト・ロードに向かって走った。
イルファング・ザ・コボルト・ロードは俺達に気づいたらしく、俺達に向かって野太刀を振り下ろしてきた
野太刀を俺とキリトのソードスキルで弾き返した。

キィィイイン!!


「「スイッチ!」」


ユウキはソードスキル、《ソニックリープ》を決めたが、アスナが斬りかかろうとしたらイルファング・ザ・コボルト・ロードの目が紅く光り、アスナに向かって野太刀を振り下ろした。


「アスナ!」


キリトがそう叫ぶとアスナは理解したのか野太刀をかわした。
そして、アスナは素早い突きを放った。それに続いてキリトが前にいくがイルファング・ザ・コボルト・ロードの様子が変わった。


「ガァァァアアア!!」


ザシュッ!!


「がっ!?」


イルファング・ザ・コボルト・ロードは素早い動きで体制を戻し、キリトに野太刀を直撃させた
その勢いでキリトが吹っ飛びアスナにぶつかった。
キリトのヒットポイントは半分になっていた
イルファング・ザ・コボルト・ロードは隙を見逃さずキリト達に向かって野太刀を振り下ろそうとしていた


「キリト!アスナ!」


キリト達に向かって野太刀を振り下ろされ、キリト達がジッとその瞬間を見ていた


「うおおおおおおおおお!!」


ガキィィィイン!!


イルファング・ザ・コボルト・ロードの野太刀が振り下ろされたと思ったら緑色の光を放った強烈な一撃がイルファング・ザ・コボルト・ロードごと野太刀を吹っ飛ばした。


「あのソードスキルは両手斧系の…」


キリト達を救ったのはキバオウに議論していたエギルだった。


「「「「「うおおおおおお!!」」」」」


凄い数のプレイヤー達がイルファング・ザ・コボルト・ロードに突っ込んで行った。


「回復するまでここは俺達にまかせな!」


そう言うとエギルもイルファング・ザ・コボルト・ロードに向かって走って行った。
だが、イルファング・ザ・コボルト・ロードは野太刀でエギルと他のプレイヤー達を吹き飛ばすと高くジャンプし、エギル達に向かってソードスキルを放とうとしていた。

俺はイルファング・ザ・コボルト・ロードに向かって槍を投げるソードスキル、《ブレイブ・リボルバー》を放った。

キュィィイイン


「届け!!」


間一髪槍の先端が届いたらしくイルファング・ザ・コボルト・ロードは吹き飛んだ。
ユウキと回復しているキリトとアスナに言葉を向けた。


「ユウキ、キリト、アスナ…次の一撃で仕留めるぞ」


「うん!」


「わかった!」


「了解!」


俺達は突っ込んでいったがイルファング・ザ・コボルト・ロードはもう体制を立て直していて俺達に向かって野太刀を振り下ろしてきた。
だが


「「はああああああ!!」」


キィィイイン!!


ユウキとアスナが野太刀を弾き返し敵の体制を崩した。


「「スイッチ!」」


「行くぞキリト!!」


「ああ!」


俺とキリトは次の一撃に全てをかけた。


「「うおおおおおおお!!」」


俺とキリトはイルファング・ザ・コボルト・ロードを一刀両断していく。斬っている最中にボスの叫びが聞こえたが構わず両断した。

空中でイルファング・ザ・コボルト・ロードがパリーン!という音を立てて無数の結晶体になると消滅した。
目の前にCongratulationsという文字が浮かび、ボスクリアの音楽が流れた。
周りは歓声をあげていた。

俺はラストアタックボーナスを確認した。


「ライトニング・レイ・コート…」


今のボスの色からは取れねんじゃねっていうくらい黄色のラインが入ったコートだった。
俺はすぐにこれを装備した。

ほぉ…中々かっこいいじゃないか


「ユウヤかっこいいね!」


ユウキにそう言われるとなんか照れるな…

そう思っているとエギルが近づいてきて一言。


「見事な剣技だったCongratulations!」


アンタが英語使うと外人っぽいな!


周りが大喜びしている中、1人だけ納得していない男がいた。


「なんでや!」


キバオウの一言で周りは静かになった

多分ディアベルのことか…


「なんでディアベルはんを見殺しにしたんや…」


「見殺し…?」


「そや!自分はボスの使う技知っとったやないかい!」


キバオウがキリトを責める。

キリトがあの武器を知っていて、キリトが避けろと声を出して、俺が何も言わなかったからキリトだけβテスターだと思って責めているんだろうな…俺にも責任はあるな…


「多分あいつ元βテスターだ!だからボスの使う技も知っていて、あえてそれを隠していたんだ!!他にもいるんだろ!?」


1人のプレイヤーがそう言い放つと周りは悪い空気になり、お互いに疑いをかけている。

まずいな…


「おい、アンタ!」


俺はキバオウ達に向けて喋ろうとしたらキリトが狂った様に笑いだした。


「ククク…ハハハハハハハ!!」


「なんや!何がおかしいんや!」


「確かに俺は元βテスターだ…だが俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたい」


「なんやと…?」


「あいつらはレベリングの仕方もわからない素人だ、今のアンタらの方がましさ…それに俺はβテストの時、誰も到達できなかった層まで辿りついた。さっきの野太刀だってもっと上の層の武器だから知っていた。」


キリト…何故進んで悪役を…?

キリトの言ってることはハッタリだ。何故なら俺が誰も到達してない層まで辿り着いたからだ。
何故誰も辿り着いていないなんて分かるかと言うと、βテスト時に誰よりも上の層に着いたものには運営からメッセージが届く。
そのメッセージが実は俺に届いていたのだ。


「他にも色々知ってるぜ?情報屋よりもな!」


「そんなん…そんなんチートや!チートやないか!」


「βテスターでチーター…だからビーターだ!」


キリトの意図が俺には分かった。
進んで悪役を買う事で他のβテスター達に向かう憎しみを全部引き受けようということだ


「ユウヤ…」


ユウキは俺が元βテスターだということを知っていたから気にかけてくれているのだろう。


「ユウヤ…ボクは絶対にずっとユウヤの味方だよ!」


「ありがとな」


俺はニッとユウキに向かって笑い、周りのプレイヤー達に向かって喋りだした。


「なら、俺もビーターだな。俺も情報屋なんて宛にならない程の情報を持っているからな」


周りは唖然としていた。


「ユウヤ…!」


キリトがびっくりした様な顔をしたが、鼻で笑い


「お人好しだな…」


「どっちがだよ…」


俺達は行くという合図をし、俺はユウキの手を引いて次の層へ向かった。


「また何処かで会おうぜ、キリト」


俺はそう言いユウキと次の層に向かうゲートに入って行った。
この日を境に俺とキリトはビーター、ユウキはビーターに付き添うもの好きな子と言われた。


 
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