魔法科高校~黒衣の人間主神~
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九校戦編〈下〉
九校戦七日目(2)×ミラージ・バットの予選と第三高校の二人について
なぜか一年男子には嫌われているが、一年女子全員はむしろ好まれているのか俺から挨拶すると二科生だろうと関係なく挨拶してくる。無論上級生でも、男子には微妙だが女子には親しい関係とまでは言わないが時々エンジニア同士で話し合う事もある。
それに名無しが誰なんだ?という疑問に思っているのは第一高校以外の者達だけだ。いくら俺が選手兼エンジニアをしていたとしても、名前を明かしてしまうのは割が合わないというより二つを一人の人間がやっている事自体が前例がないからだ。
まあ俺の事はどうでもいいが、女子のみを対象としたミラージ・バットのコスチュームは、カラフルなユニタードにひらひらのミニスカート、袖なしジャケットかベストを着ている。女子ピラーズ・ブレイクではファッションショーかコスプレ大会のようだったが、こちらもまた一味違った華やかさがある。
そのコスチュームで若い女性が空中を舞い踊るので、華やかさは一番誇ってもいいぐらいの魔法競技だろうな。男性ファンの関心よりも注目が集まるのも無理はないが、俺的にはもう少し露出してもいいんじゃないかと思うね。
「にしても、俺はすっかり注目の的の様子だな。こりゃ目立ち過ぎたかな?スバル」
「一真さんらしいからそれはそれでいいと思うよ、僕らにとってもね」
ミラージ・バット第一試合に出場するスバルは、既にスタンバイOKだったが一応俺の手で計測させてからスバルが使うデバイスの最終チェックを終わらせた所。それを渡した所で、会話に入り込んだのは第一高校1-Dの一科生である里美スバルだ。
九校戦でのデバイス調整他、訓練メニュー作成や作戦立案をサポートする役目や各競技での教鞭をしたのも俺であるから自動的に俺が担当の子は名前で呼ばれている。俺は逆に呼び捨てしても怒られないので、必然的に呼び捨てと名前で呼ぶ程の親しみを持った仲だ。
「皆は一真さんを見ているんだよ。ま、スピード・シューティングに続いてピラーズ・ブレイクでも上位独占だもんね。見る人が見れば高度に効率化されたデバイスソフトの貢献が大きいって事だろうし、一体どんなエンジニアが調整したんだ、って考えても一真さんぐらいだもの。どういう風に調整しているのか、興味持っていると思うんだよね」
「これで晴れて各校の警戒された的になったな、それに名無しが誰だという事も第一高校しか知らん情報だ。見事に三種目優勝を果たしたのだから、もう名無しが出てくる事はないからな」
「各校は名無しの事を探そうったて無駄なんだけれどね、実際は選手兼エンジニアだった一真さんなんだから」
「俺も随分と疲れたが、これでエンジニアだけの仕事をする事となったから安心したよ」
スバルとの付き合いは、九校戦発足式後のミーティングから仲良くなった。そこから俺の作戦や各競技での練習などを熟してきたが、スバルはどっちかと言うと異性より同性の方が好かれるタイプだと思う。スバルは少しだけ摩利に似ているからか、例えば摩利とスバルにタキシードを着させるとどうなるか?摩利の方は『男装の麗人』でスバルだと『劇団の美少年役』と言う風な印象に分かれる。
「さてと一真さんからのゴーサインも出た事だし、織斑印の役得で勝たせてもらうよ。このデバイスなら、予選程度で負ける気はしない感じがする」
「当たり前だ。調整はバッチリだし、跳躍に関しての起動式は小さ目にしたのだからな。俺のお墨付きデバイスで、思いっきりやって来い」
競技フィールドへ続く扉前にて、渡したデバイスを右腕にはめてから持ち上げてから、スバルは不敵な笑みを浮かべた。笑みを答えるように、親指を立ててからスバルを送り出した。スバルの言う通り、予選は間違いなく勝ち抜くだろうが俺の調整したデバイスを使うと、必ずと言っていい程な笑みを浮かべるようだからだ。いくら俺がトーラス・シルバーでも、こう言った大会に手を抜くような真似はしないからな。
ミラージ・バットは四人一組で予選六試合を行い、各試合の勝者六人で決勝戦を行う。九校戦で試合数が最も少ない競技だが、それは選手にとっても負担が小さい訳ではないからだ。十五分一ピリオドの三ピリオドという試合時間が、九校戦中では最長時間だと思う。
ピリオド間の休憩時間五分を加えた総試合時間は、約一時間にも達している為なのか時間制限がないピラーズ・ブレイクやモノリス・コードに比べて格段に長いだろう。試合時間中、選手は絶え間なく空中に飛び上がり空中を移動する魔法を発動し続けなければならないので、選手に掛かる負担はフルマラソンやトライアスロン並みと言われている。
一日に二試合あるが、スタミナ面で見えばクラウド・ボールやモノリス・コード以上に過酷な競技とも言われている。選手の疲労を考慮した予選と決勝のインターバルが長く取っているのも、ミラージ・バットの特徴と言える。第一試合の開始時間は朝八時、二つのフィールドを使用しているので、正午になると予選が終了となる。決勝は午後七時なので、九校戦唯一のナイター戦である。
「今の所は問題なさそうですね一真様」
「そうだな、今の所は例の組織からのちょっかいは無さそうだ。ミラージ・バットが本来夜に行われる事を知っているか?」
「もちろんですよ。ま、予選と決勝を一日でやるのは無理がありますがこういうスケジュールには理由がありますからね」
「蒼太も知っているなら、尚更だがミラージ・バットは空中に投影したホログラム球体を魔法少女のスティックで打つ競技だ。ホログラム球体は立体映像球体で、現代の空中結像技術は厳密な意味でのホログラフィーという映像形成の原理とは異なっている」
「十メートル上空の現像が地上から見分けられなければ成り立たない競技となっていますが、真夏の明るい日差しの下で行う競技ではありません。今日一日晴れの場合は第三試合だと、飛行船が日除けのスクリーンを広げる事もあります」
俺も蒼太も言っているが、本来はナイター戦のはずが立体映像自体が選手の身体で投影の光線が遮られて幻像が消えてしまわないように、フィールドを円形に取り囲む照明塔の頂上に設置されている事からも、この競技がナイターを前提としたもんだと理解は出来る。
第二試合が終わったのだが、予定通りほのかとスバルは二人とも予選を勝ち抜いた。俺と蒼太らは、一度ホテルに戻って風間少佐殿からお呼ばれがあったので俺、蒼太、沙紀の三人と一緒にこの前もティータイムとなった客室へ向かった。
「失礼します。織斑一真以下三名、風間少佐殿に呼ばれて参上致しました」
外にいた警備兵が、身元確認を終えてから俺ら三人は入室許可を取ってから入った。そこにいたのは、風間少佐殿以下五名がテーブルの円形にて腰かけてた。俺らが入室後、防音結界と人払いの結界を張って本来の姿となった。黒い戦闘服にサングラスとなり、擬態前の織斑一真少将となった。
「ふうー、一応関係ない者らが聞いている時には風間少佐殿と言わなきゃいけないのが、すごーく面倒だがしょうがないか」
「お疲れ様です織斑少将。今は一真さんだったか、さあさあそこで突っ立ってないで座ってくれたまえ」
「こうやって集まるのは九校戦初日ですね、蒼太に沙紀もこちらに座って下さいな」
座ってから、本来なら酒だが今夜決勝戦なのでまた紅茶で乾杯という事になった。ほのかとスバルもそれぞれの部屋に戻って、サウンドスリーパーで熟睡中のはずだ。ま、俺らはそんなのが無くとも寝れるし、自然に寝れるのがいいからだ。ミラージ・バットに決勝に備えた体力回復は不可欠。選手兼エンジニアの俺だが、やっと選手の出番が終わったのでエンジニアだけど神経を休める事もいいと思ったからな。
「こうして集まるのは、実に九校戦初日振りですな。織斑少将は選手お疲れ様でした、我々も観戦していましたがハンデ有り無しでも充分な力が発揮しましたな」
「そうですね、早撃ちに波乗りと氷柱破壊は各ハンデがありましたがほとんどがエレメンツでしたね」
「俺としてはエレメンツのみにしたかったが、ピラーズ・ブレイクだけは滅と無効化を使ったよ」
「それよりも、織斑少将の邪魔をした事が一番の議題に上がっております。現在国防軍と蒼い翼は、大会委員会に文句を言いましたからな」
「それもそうですが、織斑少将は休まなくてもよろしいので?確かエンジニアでも休まないといけないのでは」
今はエンジニアとして活躍しているが、感覚遮断カプセルを使うはずが俺ら織斑家は使わないのでベッドに横になるはずが俺は普通の人間とは違うからだ。外見人間で中身は神様なので、体力や気力が違うからだ。今頃ミラージ・バット第三試合が行われているが、俺らCBと独立魔装大隊のメンツらと話をするという事は無頭竜や他についてを話す事となっていた。
「織斑少将を見ていると完全回復のようですな、それにしても『トーラス・シルバー』のように最新技術を使いまくりのようですな。いずれバレますぞ?」
「それに関しては問題ないだろう、いくら秘匿だろうとも織斑少将が『トーラス・シルバー』だと知らされようとも、記憶をいじりますからな」
「ミラージ・バットは今第三試合が行われてますが、第一試合と第二試合に割り振られたからこうして一真さんと話が出来たのですから」
「一時間しか違わないが、体力回復と精神力の回復に大きく影響するのは知っていますが、俺としては一真さんが回復魔法をしてしまえば大丈夫かと」
「連、仙術や太陽光からの精神疲労を取るなどの回復魔法は治癒魔法とは大違いなんだからな。幸典のような一級治癒魔法師と俺では大違いなのだから」
「元々私と織斑少将の治癒と回復は違いませんな、それより気になる事がありますが『クリムゾン・プリンス』と『カーディナル・ジョージ』が出ている第三高校だと思います。果たして第一高校の連中らは、モノリス・コードにて勝てるのでしょうか?」
山中少佐=幸典から聞いた『クリムゾン・プリンス』と『カーディナル・ジョージ』については、俺もとても気にはなった。宣戦布告までしてきたが、一条将輝と吉祥寺真紅郎の事について、議題として挙がった。外見同じ年齢ではあるが、俺と深雪は生きてる年数違うし年長者でもあるからか人生の先輩としてはこの先どうなるかはだいたい推測できる。この二人は、魔法師世界において既に確固たる名声を確立している天才少年とされている。
「二人について知っている情報を出すか、全員通信機を付けたな?フェルト『何でしょうか?』ヴェーダ、フォルダ名クリプリとジョージをオープンしてくれ『了解しました』」
「クリプリとジョージって、いくら何でも略し過ぎでは?」
『長いですからね、艦長が考えた事なのですから。一条将輝と吉祥寺真紅郎についての情報開示させます』
ヴェーダからの情報公開させたので、俺が持っていた投影型端末で映し出されるがまずはクリプリ=一条将輝についてをいくつか纏めるか。三年前の大亜連合による沖縄侵攻に同調して行われた新ソ連の佐渡島侵攻作戦に対して、弱冠十三歳で義勇兵として防衛戦に加わり、一条家現当主一条剛毅と共に『爆裂』を以て数多くの敵兵を葬った実戦経験済み(コンバット・ブローズン)の魔法師。こちらも一応CBが武力介入させたが、コイツらがやる為CBは後方支援するだけだった。小規模な戦闘だったが、彼はこの実績により「一条のクリムゾン・プリンス」と称せられる事となった。
「確か新ソ連は、佐渡へ侵攻した武装集団との関係を否定していますがその証拠については持っていると言っていい。沖縄海戦と同時刻に行われたが、CBとしてはガンダムハルートを向かわせた。ま、コイツらが活躍させないとクリプリと呼ばれないから後方支援だけするように言っといた」
「にしてもクリムゾンを血塗られたという意味でしたよね?要するに敵味方関係なく血塗られて戦い抜いた、という敬意の表れであって血に飢えたという意味ではないですから。一真さんも戦国†恋姫の時は、随分と返り血を浴びながら戦ってましたよね?」
「私も現地におりましたが、その時の一真さんは森親子のように戦ってましたからな」
「響子も玄信も鬼を葬っている時に前線いたからな、にしても森親子との戦は楽しかったな。さてとクリプリはこんな感じで、次はジョージについてだ」
そう言ってからフェルトに指示を飛ばしてから、フォルダの中を再び開示した。吉祥寺真紅郎は弱冠十三にして、仮説上の存在だった『基本コード』の一つを発見した天才魔法師。本名の吉祥寺と彼が発見した『基本コード』から付けられた『カーディナル・ジョージ』の異称は、魔法式の原理論方面の研究者なら知らぬ者はいないと言われる程の注目とされている英才。
「この二人が同じ第三高校にいる事自体が、最早反則級ですよね。偶然と言うより、仕組まれた方がいいと言った方がいいでしょう」
「それにだ、あの二人がチームを組んで出場しているモノリス・コードは新人戦のレベルでは敵無しだと思える。正直に言って第一高校の奴らでは勝てる訳がない程の実力を持っているが、森崎達は気の毒と言える」
「ですが一真様は、この先では四種目出場する事を未来予知されています」
「そうなのですか?一真さん。まあ救いがあるとすれば、『爆裂』が殺傷性Aランクなのだという事をですわね」
「一条家の切り札『爆裂』は、対象物内部の液体を気化させる発散系魔法で名無しとのバトルでも使いましたね。その時は氷柱内にある水分を気化させてから使いましたけど」
「生物なら体液が気化させて身体が破裂だから、グロ映画を見るようなもんだ。内燃機関動力の機械なら燃料が気化して爆散、燃料電池でも結果は同じだが可燃性の燃料を搭載してなくとも、バッテリー液や油圧液や冷却液や潤滑液などの液体を使用していない機械は、CBが持つ機械以外は存在しないから『爆裂』が発動すれば、CB以外のあらゆる機械が破壊され停止される」
「現時点で液体無しで動く機械は、GNドライブがあるMSやISにスナイプ・ゼロぐらいでしょうな。兵士や機械の区別が無い葬り去る戦闘用魔法は、純粋に軍事目的として開発された『爆裂』はモノリス・コードのルールに引っ掛かります」
『クリムゾン・プリンス』の異名を取る十師族次期当主の手持ちカードが『爆裂』だけではない事も知っている。そんでしばらく話し合った後、話題を二人からモノリス・コードについてを考えていた。俺の未来予知は百%当たるので、もしかしたら出場するかもしれないので一応準備だけはしている。もうすぐ一高の二試合目が始まるとしても、最下位の四高に勝てないと一高はプライドを持ちすぎたタダのバカだ。しばらく話し終わったので、擬態後の姿となってから自室に戻ってから少し寝た。
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