僕のサーヴァントは魔力が「EX」です。
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青野北斗のサーヴァント
「ふんふんふ~ん♪ 今日のご飯は~♪ 『熔岩定食』~♪」
第二回戦の対戦相手、フローラと別れた後、とりあえず食事を摂ろうと食堂に来た僕だったが……そこで僕は魅力的かつ画期的なメニューを発見した。
それは僕おすすめの料理「言峰神父監修激辛麻婆豆腐」に炒飯をつけたお得なメニューセット、通称「熔岩定食」。このメニューを見つけた瞬間脳裏に電撃が走り、そしてそのまま即注文。今から食べるのが楽しみである。そりゃあ上機嫌になって鼻唄も歌うさ。
『……マスター。そんなに上機嫌になる食べ物? それ?』
霊体化して僕のそばについてきているアヴェンジャーが何故か呆れた口調で話しかけてくる。
それとは何だ? それとは? この麻婆豆腐より美味しい食事は多分そんなにないぞ。何だったら一口食べてみるか? 多分世界観が変わるぞ?
『マスターの言う通り世界観が変わるだろうけどそれだけはイヤ。絶対にイヤ』
せっかく一口食べさせてやろうと言うのに断固とした態度で断るアヴェンジャー。……何故だ?
『……あっ。ねぇ、マスター。左のテーブルを見てよ』
アヴェンジャーに言われて左のテーブルを見てみるとそこには北斗の姿があった。
へぇ、北斗も一回戦を勝ち残ったのか。……でも北斗の奴、なんだか暗い顔をしてせっかくの料理(僕と同じく熔岩定食)を食べていないし、また何か悩んでいるのか?
「やあ、北斗」
「え? ああ、時行か。久しぶり」
顔を見たので声をかけると北斗も気づいて挨拶をしてくれた。
「北斗も一回戦を勝ち残っていたんだな。……そのわりには相変わらず顔色がよくないみたいだけど、また何か悩み事か? それとも今度こそ体調が悪くなったか?」
「……いや、その……大したことはないよ。……うん」
「ご主人様」
僕の質問に北斗が言葉を濁そうとしたその時、何もない空間に一人の女性が現れた。
現れたのは、桃色の髪をして露出の多い改造された和服を着た、頭と尻に狐の耳と尻尾を生やした女性であった。……もしかしなくても彼女が北斗のサーヴァントか?
「ご主人様。悩み事なんて一人で溜め込んでも何もいいことなんてありませんよ? せっかくこうして相談にのってくれそうな方がいるのですから話すだけ話したらどうですか? 話すだけならタダですし、それだけでも悩みなんて結構軽くなるものですよ」
僕達のそばに現れた狐耳の女性のサーヴァントが北斗に話しかける。その表情を見ると心から自分のマスターの心配をしているのが分かる。
どうやら北斗は自分のサーヴァントとそれなりにいい信頼関係を築けているみたいだな。
「ちょっと待ったぁ!?」
「えっ!?」
「はい?」
「にゃんと!?」
そんなことを考えていると突然アヴェンジャーが大声を上げながら現れ、僕たけじゃなくて北斗も、そして彼のサーヴァントも驚いた声を上げる。
「? どうした?」
「キャスター?」
「………」
「………」
僕が話しかけてもアヴェンジャーは無言で北斗のサーヴァント、キャスターを見てキャスターもまた無言でアヴェンジャーを見ていた。
「………」
「………」
「……………」
「……………」
それからしばらく無言で見つめあうアヴェンジャーとキャスター。一体どうしたのだと思ったその時……。
「「ああっ!?」」
アヴェンジャーとキャスターが同時に睨み合った。二人とも凄い表情だった。子供が見れば一発で泣きそうなメンチの切りあいだった。
「ちょっと貴女何なの? 露出の多い和服で見るからに術師系? 私の真似をしないでくれない?」
「はぁ? 真似をしているのは貴女の方でしょうに。見たところ魅力的な服装で主人の心を癒し、いつでもそばにいるスイーツ系サーヴァントを気取っているみたいですけど、それは私一人で十分なんですよ。というか貴女、何ですかその格好は? ただ肌を見せるだけが色香だと思ったら大間違いなんですからね」
アヴェンジャーの言葉にキャスターが言い返し、それを聞いた彼女の表情が強張る。
「……それ、貴女だけには言われたくないんだけど? というかいい歳をしてそんな格好をして恥ずかしくないの?」
「……何だとコラァ」
「何よ……?」
キャスターの瞳に殺気が宿り、それと同時にアヴェンジャーの瞳にも殺気が宿る。……な、何かヤバくないか?
「キャスター?」
「ちょ、ちょっと二人とも少し落ち着……」
「「マスターは黙っていて!!」」
流石にこれ以上は不味いと思って僕と北斗が止めようとするが、アヴェンジャーとキャスターの怒声で何も言えなくなって。ま、マジ怖ぇえ……って!? あの二人、何で武器を構えているんだよ!
「「………」」
いつの間にかアヴェンジャーのそばには彼女の武器である骸骨の人形が浮かんでいて、キャスターのそばにも一枚の鏡(恐らくだけどあれがキャスターの武器なのだろう)が浮かんでおり、二人ともいつでも攻撃できる戦闘体勢となっていた。……いや、でも何で? 何でこの二人、会ってすぐに戦い合おうとするの?
一触即発の空気が食堂を支配して、このままでは本当にアヴェンジャーとキャスターが戦うかと思ったその時。
「え? 貴方達、何をしているの?」
食堂の入り口の方から聞き覚えのある知り合いの、凛の声が聞こえてきた。
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