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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十七話 大阪に行ってその九

「途中ゴミも多かったでござるな」
「大阪の街は結構汚いよ」
「神戸と比べてでござるか」
「汚いんだ、活気はあるけれどね」
「そうした街でござるか」
「いい街なのは確かでも」
 悪いこともあることを僕は話した。
「そうした面もあるから」
「わかったでござる、それでは」
「うん、今からね」
「天守閣に入るでござる」
「ここは資料もあるから」
 戦国時代と安土桃山時代、特に太閤さんに関わるものがだ。
「そうしたものも観てね」
「そしてだよね」
「そう、そして最上階に上がって」
 僕はマルヤムさんにこうも話した。
「大阪の街を観ようね」
「それじゃあ」
「行こうか」
「そうしようね」
 こうしたことも話してだ、そしてだった。
 僕達は遂に天守閣の中に入った、そうしてだった。
 戦国時代の鎧甲やその他のものを色々と観た、大阪城の絵もだ。
 その最初の太閤さんが建てた大阪城の絵、黒くて屋根が金色のその天守閣の絵を観てマルヤムさんは思わず唸って言った。
「この天守閣も観たかったでござる」
「そうだよね、この目で」
「勇壮でござるな」
「その時の大坂城に幸村さんがいたんだ」 
 その大坂の陣の時にだ。
「そして必死に戦ったんだよ」
「素晴らしい戦いだったでござるな」
「獅子奮迅のね。けれど」
「敗れたでござるな」
「そうなんだ」
 僕はこのことは少し残念そうに話した。
「武運拙くね」
「そうでござるな、勝って欲しかったでござる」
「僕もそう思うよ」
「それで幸村殿は生き残ったという説があるでござるな」
「そうした話があるけれど」 
 ここでだ、僕はこう言った。
「それは大坂じゃなくてね」
「他の場所でござるな」
「鹿児島の方に落ち延びたんだ」
「確か九州の南でござるな」
「そうだよ」
 そこにとだ、僕は話した。
「昔は薩摩といったそこにね」
「大坂の陣の後落ち延びられたでござるか」
「豊臣秀頼公と一緒にね」
 主であるその人とだ、あくまで噂で確かな証拠はないけれど。
「あそこに落ち延びて生き残ったって説もあるんだ」
「生きていて欲しいでござるな」
「そうだよね、僕もそう思うよ」
 このことは心からだ、僕も思っている。
「あの人は生きていて欲しいよ」
「そうでござるな」
「首を取られたっていうけれど」
 このことは僕が聞く限りだ、何かの本で読んだのかも知れない。この辺りの記憶はどうも曖昧だ。けれどあの人の首のことは覚えている。
「幸村さんの首は三つあったらしいよ」
「三つでござるか」
「一つは本物かも知れないけれど」
「後の二つは影武者でござるな」
「あの人は影武者もいたらしいからね」
 マルヤムさんにこのことも話した。 
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