八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十七話 大阪に行ってその八
「外道でござる」
「そう言うんだ」
「あんなものはただのリンチ技でござる」
「相手を痛めつけるだけで一本取られないからね」
「むしろ試合で出したら警告を受けるでござるよ」
「それを中学生に浴びせる先生もいるんだよ」
「日本の先生にも腐れ者がいるでござるな」
マルヤムさんはそうした輩への明らかな嫌悪を見せていた、それは身体だけでなく心も常に鍛えているからこその言葉だった。
「剣道をする資格がないでござる」
「うちの学校ではそうした先生は殆どいないけれど」
「いるでござるか、世間には」
「いるよ、しかもクビにならないんだ」
そうしたことをしてもだ、生徒に。
「あと生徒をどれだけ罵ったり何度も殴ったり蹴ったりしてもね」
「暴力を振るってもでござるか」
「日本ではヤクザ屋さんが暴力振るったら捕まるよ」
そもそも警察にも世間にも常にマークされている、そうした人がいの一番に警戒されることは言うまでもない。
けれどだ、学校の先生はというと。
「先生は聖職者だからね」
「悪事を犯していてもでござるか」
「捕まりにくいんだ」
これは日本の負の一面の一つだ、紛れもなく。
「学校の話は外に出にくいからね」
「厄介なことでござるな」
「剣道をする資格のない人が子供に教えていたりするんだ」
「そうした輩には教わっては駄目でござる」
「剣道をだね」
「あらゆることをでござる」
剣道だけでなく、というのだ。
「学んでもいいことないでござる」
「殴られたり蹴ったりされるだけだからね」
「腐れ者が正しいことを教えられる筈がござらん」
マルヤムさんは忌々しげに言い捨てた。
「決して」
「そうだよね、けれどね」
「そうした輩が教師をしているでござるか」
「剣道も教えているんだ」
「日本の剣道は危ういでござるな」
マルヤムさんの今の言葉と顔は危惧するものだった、それも本気で。
「そうした腐れ者が教えていては」
「それもその県の剣道界で結構有名らしいから」
「余計にまずいでござるな」
「先生は先生っていうだけでね」
まさにそれだけでなのだ。
「特権があるんだよ」
「その立場から信用されるでござるな」
「だから皆信じるし」
本当に学校の先生という職業だけでだ、実際にはその人がどれだけ腐っている人でもだ。職業は恐ろしいものでもある。
「そうした先生も残るんだ」
「そして偉くなっていくでござるな」
「そうなんだ」
「厄介でござるな」
「日本の問題点だよ」
「先生に問題のある人がいる」
「そうなんだよ」
僕はマルヤムさんに難しい顔で話した。
「これがね、やっぱりどの国もいいところばかりじゃないよ」
「悪いところもあるでござるな」
「いいところばかりの国なんてないよ」
それこそ一国もだ。
「ないよ」
「日本もでござるな」
「うん、嫌な部分もあるよ」
「そういえばでござる」
ここでだ、マルヤムさんは。
少し曇った顔になってだ、僕に言った。
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