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歌集「春雪花」

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 侘しきは

  心を濡らす

   露の空

 君居ぬことを

    身に染みにける



 さめざめとした梅雨の雨は、心の中まで濡らすかのようで…。
 こんな日は、特に彼の笑顔を思い出してしまう。不意に現れては笑って私を呼ぶ彼の…。

 今は…もうないのだ…。あの時の彼は…きっと私にとっての救いだったのかも知れない…。

 そう思うと…彼がいないと言う現実が身に染みて、より一層淋しさが強くなる…。



 落ちゆくは

  切れし珠の緒

   零れ散り

 想い降りにし

    君はいずこか



 緒が切れた小さき珠の様に空から落ちる雨…。もはや一つに纏まり様もない…。

 そんな梅雨の想いそぼ降る時節…彼は、どこで何をしているのだろうか…。

 私になぞ関係ない…そう思いつつも、やはり考えてしまうのだ…。

 愛しい人のことを知りたいのは…皆、同じではなかろうか…。



 
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