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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十六話 終業式その七

「誰かと付き合ったことないし」
「ないのかよ」
「そう、ないよ」
 はっきりとだ、進藤君にまた答えた。
「そうした経験はね」
「成程な」
「うん、そうだから」
「それはかえって残念だな」
「残念かな」
「やっぱりあれだろ」
 それこそとだ、進藤君は僕に強く言ってきた。
「御前の親父さんは極端にしても男だったらな」
「ああいう風に?親父みたいに」
「酒池肉林がな」
 これこそがというのだ。
「最高だろ」
「いや、親父は酷いから」
「だからあそこまで極端じゃなくてもな」 
 それでもとだ、進藤君は僕に話した。
「あそこまでなってこそな」
「いいんだ」
「そうだよ、酒飲んで可愛い女の子と付き合ってな」
「子達じゃなくて」
「凄い可愛いなら一人でいいだろ」
 進藤君は何気にこんなことも言った。
「とにかくお酒にご馳走にな」
「女の子なんだね」
「それって最高だからな」
「だから僕は可哀想なんだ」
「そこまで言わないけれどな」
 可哀想とまでは、というのだ。けれどそれでもともだ。進藤君は僕に対してさらに話した。
「とにかく御前はあの人の息子だからな」
「親父は親父だよ」
「いや、血は引いてるんだ」
「それで、なんだ」
「絶対にああなれる」
 親父みたいな遊び人にというのだ。
「ちょっと頑張ってみたらどうだ」
「難しいね」 
 僕は腕を組んで難しい顔で答えた。
「女の子と付き合うとなると」
「自然体でいいんじゃない?」
「そうよね」
 女の子達はこう僕に言ってくれた。
「別にね」
「そんな無理しなくても」
「付き合うにしても自然体」
「それでいいじゃない」
「別に肩肘張らなくても」
「普通でいいじゃない」
 こう僕に言うのだった、そして。
 僕はその言葉を聞いて腕を組んで考えた。するとそこでだった。
「あっ、先生だ」
「先生来たわよ」 
 皆クラスに先生が入って来たのを見て言った。
「じゃあな」
「自分の席に戻りましょう」
 こう話してだ、そしてだった。
 僕達は今学期最後のホームルームを受けてそれからお昼を食べて部活に出た。それで終わった時にだった。
 八条荘に戻るとだ、畑中さんが僕に言って来た。
「旅行の件ですが」
「はい、どうなったんですか?」
「決まりました」
「ってことはホテルの予約が」
「取れました」
 無事に、というのだ。
「いいお部屋が」
「それは何よりですね」
「六人部屋が五つです」
「ええと、一人辺り六人で」
「まずは入居者の方々ですね」
 二十四人のあの人達がだ。 
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