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ソードアート・オンラインーもしもあの時、サチが死ななかったらー

作者:Bloo-D
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SAO
心の温度
  第17話

 
前書き
原作“心の温度”のリズベッドが温かさを知る辺りまで書きます。 

 
55層。主街区には、攻略ギルド<血盟騎士団>本部がある層だ。
一行は、その主街区を出てフィールドに出た。
途中で何度かモンスターと遭遇したが、全て返り討ちにした。ここまでは、リズベッドでもちょろい話だった。

だが…、
リズベッド『はっくしゅん‼︎』
リズベッドは途端にクシャミをした。現在一行がいるのは、55層のフィールドの一角の豪雪地帯、ここに金属のクエストを受ける所があるのだが…、幾らゲームの中とはいえ、クシャミをするのは無理もない。
キリト『服に余裕は無いのか?』
リズベッド『ない。』
幾らリズベッドでも、55層の一角に豪雪地帯がある事は知らなかった。しかも、今は梅雨の季節。雨がっぱはあっても、防寒用のアイテムなど持って来てはいない。
サチ『はい、風邪ひくといけないから。』
リズベッド『ありがとう、気が利くわね。』
サチはウィンドウを操作して、コートをリズベッドに渡した。リズベッドはコートを受け取ると、それを素早く羽織った。
キリト『んじゃ、サッサと行くぞ。』
サチ『うん。』
リズベッド『あっ、チョット待ってよ。』
キリトの言葉で、一行は先を急いだ。

まず一行は豪雪地帯内の村に入り、そこでクエストを受けると急ぎ足で目的地に向かった。目的の金属は、山に住むドラゴンが生成する金属との事。
目的地は村の近くにそびえ立つ山の山頂辺り。とはいえ今は夕方の時間帯、翌日に登ろうと思ったのだが、目的の山がすぐ近くにある事と、ドラゴンが夜行性だと言う話だそうなので、今日中に終わらせるべく山に登っているのだ。その道中に、オベリスクの様な巨大で透き通ったクリスタルが無数に雪の中から突き出ていた。
リズベッド『綺麗。』
その美しさに、リズベッドは魅了されたが…、
キリト,サチ『≪スタスタッ≫』
リズベッド『チョット、待ちなさいよ‼︎』
キリトとサチが無視して歩いて行くので、慌てて追いかける。
リズベッド『あのさ、そんな急ぐ必要ないでしょ⁉︎』
サチ『そんなに長く店を閉めたままに出来ないでしょ?』
リズベッド『うっ‼︎そっ、そうだけど……』
リズベッドは2人に抗議したが、サチに言い返された事で、リズベッドは肯定するしかなかった。

キリト『そうだ、ドラゴンが出て来たら、リズベッドは水晶の陰に隠れていろ。』
リズベッド『私のことはリズでイイわよ。それと、私も強いから、足手まといには……』
キリト『駄目だ‼︎』
リズベッド『⁉︎』
キリトはドラゴンが出て来たら隠れろとリズベッドに言った。その言葉を聞いたリズベッドは反論したが、キリトの一喝で、ぎょっとした。
サチ『ゴメンねリズさん、キリトは本気で貴方の事を心配してるの。』
リズベッド『あっ、そうなの。解ったわ。』
サチの言葉で、リズベッドは、キリトは自分のことを本気で心配しているのだと悟った。そう悟ったリズベッドは、言う通りにする事とした。
その直後…、
≪グオオ〜〜‼︎≫
カン高い雄叫びと同時に、ドラゴンが姿を現した。体長は10mくらい、大きな2枚の翼、全身の無数の棘と氷の様に透き通った身体を持つドラゴン。距離があるとはいえ、その迫力は並のモンスターの比ではない。
キリト『クリスタルの陰に隠れろ‼︎』
リズベッド『解ってろわよ‼︎』
キリトに言われるがままに、リズベッドはクリスタルの陰に隠れた。
その姿を確認したキリトとサチは、武器を装備した。

ーーーーーーーーーー

キリト『サチ‼︎』
サチ『任せて、キリト‼︎』
キリトの掛け声を合図に、サチは"シャイニング・エコー"を発動。これにより、ドラゴンの回避ダウンとパーティーの攻撃力がアップした。その直後、ドラゴンはキリトとサチに目掛けてブレス攻撃を放った。
リズベッド『避けて‼︎』
リズベッドは2人に注意したが、キリトは"ホリゾンタル"を発動して向え討った。
リズベッドは“あれじゃあ、躱しきれない。”と思ったが、サチの"シャイニング・エコー"の効果もあって、ドラゴンの攻撃を躱せたようだ。
一方のリズベッドは、2人に圧倒されていた。〈青の槍壁〉と〈黒の剣士〉の事は、リズベッドも知ってはいたが、これ程の強さとは知らなかった。

そして、キリトがブレス攻撃を躱したのと合わせるかの様に、サチはドラゴン目掛けて"ヘリカル・トワイス"を放った。攻撃は命中し、ドラゴンは地面に落下した。同時にキリトは、"バーチカル・スクエア"を発動して攻撃。これの攻撃で、ドラゴンの左腕は切断された。それからキリトとサチは、ドラゴンに次々と攻撃を放ち、いつの間にか、ドラゴンのHPは残り2,3割り辺りまで減っていた。

リズベッド『何してるのよ?早くかたずけちゃいなさいよ‼︎』
リズベッドは、クリスタルの陰から出て来て言った。
だが次の瞬間…、
ドラゴンは舞い上がり、リズベッドに突風攻撃を放った。この攻撃でリズベッドは吹き飛ばされ、宙に舞い上がった。リズベッドが真下を見ると、そこには大きな穴が空いていた。
リズベッド『嘘…で…しょ?』
リズベッドがそう呟いた瞬間、リズベッドは穴へと落下した。
キリト『リズ‼︎』
キリトは猛スピードでリズベッドに駆け寄り、リズベッドを抱き締めた。その状態で2人は、穴に落ちていった。

ーーーーーーーーーー

それからどのくらい経過したのか、リズベッドが目を開いた時、目の前にキリトがいた。
キリト『大丈夫か?』
キリトはリズベッドに聞いた。
リズベッド『うん、大丈夫。』
リズベッドは、キリトに大丈夫と言った。
リズベッド『⁉︎そういえば、サチは⁉︎』
キリト『サチは無事だ。今メールが来た。一旦、ふもとの村に戻る様にメールしておいた。』
リズベッド『そう、良かった。』
サチが無事だと聞いて、リズベッドは安堵した。

ーーーーーーーーーー

一方のサチは、キリトのメールの内容を確認すると、下山してふもとの村に急いだ。
サチ『キリト、大丈夫かなぁ。』
サチはこう呟いた。
サチは、キリトが鈍感な事は既に知っている。
その上でサチは、キリトを心配しているのだ。

ーーーーーーーーーー

では、そんなキリトの方はというと…、
キリト『ほい、<ハイ・ポーション>だ。飲んどけよ。』
キリトはリズベッドに<ハイ・ポーション>を渡した。
リズベッド『ありがとう。』
リズベッドは<ハイ・ポーション>を受け取ると、すぐさまそれを口にした。数分後、2人のHPは満タンとなり、落ち着いた2人は、穴から脱出しようと色々やってみた。

まず転移結晶で転移しようとしたが、その穴は[転移無効空間]であった為失敗。
今度は、キリトが壁を走って登ろうとしたが、途中で足元が滑った為、そのまま地面に転落、死にはしなかったが、キリトのHPが少し減った。
色々試しているウチにすっかり夜になってしまい、2人はその穴の中で一夜を明かすこととなった。サチの方は、村の宿で一泊することになった。

ーーーーーーーーーー

キリトとリズベッドは寝袋に入って、ランプに明かりを灯していた。
リズベッド『キリト。』
リズベッドはキリトを呼んだ。
キリト『どうした?』
キリトはリズベッドに聞いた。するとリズベッドは、自分の手をキリトに差し出した。
リズベッド『手を握って。』
キリト『解った。』
リズベッドは、手を握って欲しいと言った。キリトはそれに答え、リズベッドの手を握る。
リズベッド『温かい。』
リズベッドはこう呟いた。紛れも無い人の温かさだ。今まで人の温かさに飢えていたリズベッドにとって、最高の温かさだ。
データの中とはいえ、今まで感じることが出来なかった温かさだ。

そしてリズベッドは安心したのか、キリトと手を握った状態で、そのまま眠りについた。 
 

 
後書き
次回、“心の温度”を終わらせます。
公開は早くとも、今週の終わり辺りの予定。 
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