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ソードアート・オンラインーもしもあの時、サチが死ななかったらー

作者:Bloo-D
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SAO
圏内事件
  第12話

 
前書き
幽霊の正体が解る辺りまで書きます。 

 
キリト『ヨルコさん〜‼︎』
キリトは窓から身を乗り出して叫んだ。だがヨルコは消滅した。
後に残ったのは、逆棘の付いた短剣だった。
キリトがその姿を目撃した時、屋根の上にいるローブで身を包んだ怪しい人影を見つけた。
キリト『サチ、アスナ!後は頼む‼︎』
サチ『キリト⁉︎』
アスナ『駄目よ‼︎』
サチとアスナの言葉を無視して、キリトは窓から飛び出して屋根の上に飛び乗った。
すると、怪しい人影が逃げるように走り出した。
キリトは徐々に怪しい人影と距離を詰めていく。あと数m辺りまで近づくと、キリトは背中に剣に手をかける。
だが怪しい人影の手には<転移クリスタル>が握られていた。
キリト『⁉︎
クソッ‼︎』
これを見たキリトはピックを3本取り出して人影に投げた。
だが、システム的不死で弾き返された。
『……。』
キリトは更に近づこうとしたが、人影は<転移クリスタル>で転移先を設定した。
しかし、声が聞こえない。
キリト『(転移?何処に行く気だ?)』
キリトが疑問に思った矢先、人影は転移してその場から消えた。
キリト『クソッ!』
人影を取り逃がしたキリトは悔しがった。

アスナ『馬鹿!無茶しないでよ‼︎』
キリトが部屋に戻ると、アスナが細剣をキリトに向けた。表情から見るに、かなり怒っている。
サチ『キリト……』
キリト『すまないなサチ、不安にさせて……もう大丈夫だから。』
サチ『うん……。』
キリトは、サチを不安にさせた事を謝り、慰めた。
アスナ『それで、どうなったの?』
キリト『駄目だ、テレポートで逃げられた。宿屋の中はシステム的に保護されている。ここなら危険はないと思ったが……。』
アスナは結果を聞いた。そしてキリトは、一部始終を話した。

シュミット『あのローブはグリセルダのローブだ。
あれは、正真正銘グリセルダの幽霊だ。俺達に復讐しにきたんだ。
幽霊だったら、圏内でPKするくらい楽勝だよな。はっははは……。』
サチ『……。』
シュミットは人影がグリセルダの幽霊だと確信すると、何やら笑い出した。
一方のサチは、そんなシュミットの姿を見て不安気な表情をした。

キリト『いや。この圏内殺人には、何かシステム的抜け道が存在するに違いない。絶対に……』
『『……。』』
キリトは、圏内殺人のシステム的抜け道があると断言した。
一方のアスナとサチは、少し心配気な表情をした。


ーーーーーーーーーー

それからシュミットと別れた後、3人は今回の事件について議論した。
アスナ『さっきの幽霊、本当にグリセルダさんなのかな?目の前で2度もあんなのを見せられたら、私にもそう思えてくるよ。』
キリト『言うな、それは絶対にない。そもそも、幽霊なら転移クリスタルを使う必要はまずない。』
サチ『じゃあ、人影は紛れもなくプレイヤー?』
キリト『間違いない。』

それから少し間が空き…、
サチ『キリト。』
キリト『何だ?』
サチ『お腹すいてない?お弁当用意してあるけど……。』
アスナ『≪ムッ‼︎≫』
キリト『ああっ、丁度お腹がぺこぺこなんだ。』
アスナ『≪ムカムカ……≫』
サチがキリトの事を気にしてか、お弁当を用意していた。
これを見たアスナはイライラが募って来た。
サチ『解った、直ぐ……』
アスナ『はいっ。』
サチの話が終わる前に、アスナがキリトに包みを渡した。
アスナ『私も用意して来たから、ありがたく頂きなさい。』
キリト『いや、俺には……』
アスナ『いいから頂きなさい‼︎』
キリト『はい……。』
アスナ『ふっ。』
サチ『≪ムスッ‼︎≫』
アスナも用意していたようだ。キリトは断ろうとしたが、アスナの高圧的態度に圧倒されて屈するしかなかった。その後アスナはサチを見て黒い笑を浮かべ、アスナに先を越されたサチは悔し気な顔をした。
アスナのは手作りのサンドイッチ。それに対してサチも手作りだが、キリトの好きな物が入った弁当。キリトなら喜んで食べるだろう。
しかしキリトはアスナの強引な言い口に屈して、アスナのサンドイッチを食べる事となったのだ、悔しがるのも無理もない。
キリト『うまい!オークションに出してもいいくらいだ‼︎』
アスナ『本当⁉︎ありがとう、手作りした甲斐があったわ‼︎』
サチ『くうっ……。』
しかも、キリトから高評価を得たアスナは鼻高々だ。一方のサチは悔し気。
だが、そのサチにもチャンスが到来した。
キリト『うわっ、ととととっ……。』
突然キリトは何かの弾みで手に持ってたサンドイッチを地面に落としてしまった。
アスナ『あららっ、他は有りませんから。』
サチ『じゃあっ、私が用意した弁当を食べて、折角だから。』
キリト『ああっ、ありがとう。』
アスナはズバッと言い切り捨てたが、サチが手作り弁当をキリトに差し出した。
キリトは嬉しそうにサチの手作り弁当を受け取った。

キリト『‼︎』
すると突然、キリトは何かに気が付いた。そしてサチから受け取った弁当をベンチに置き、サンドイッチが落ちた辺りに手を置く。
キリト『そうか、そう言う事だったのか‼︎』
アスナ『えっ?』
サチ『どうしたのキリト?』
キリトの言ってる事が解らないサチとアスナは、キリトに聞いた。
キリト『俺達は何も見えてなかった。そもそも、圏内殺人を実現出来る物なんて、最初から何処にもなかったんだ‼︎』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

所変わって、こちらは19層のフィールド。

そこに何故かシュミットがいた。
シュミット『グリセルダ、俺が助かるには、アンタに謝るしかない。』
どうやら、死んだグリセルダに謝罪しに来たのだ。シュミットがいるのは大木の前。ここにグリセルダのお墓がある。シュミットがいるのは丁度その目の前だ。
シュミット『すまない、悪かった!許してくれ、グリセルダ!まさかあんな事になるなんて、思って無かったんだ‼︎』

その直後…、
『本当に…本当に……』
シュミット『⁉︎』
突然、どこからともなく女性の声がした。すると、後ろから誰かが近づいてくるのを感じたシュミットは後ろに顔を向けた。
『……。』
だがそこにいたのは、プレイヤーを攻撃しない小型モンスターであった。

シュミットが安堵して正面を見ると…、
『……。』
シュミット『ひっ⁉︎』
ローブで身を包んだ人がいた。これには流石のシュミットも驚いた。
『何をした…貴方は私に、何をしたシュミット……』
すると幽霊はローブの中から逆棘の付いた槍を取り出した。しかも声からして女性のようだ。
シュミット『俺はただ、売却が決まった日、ベルトポーチにメモと結晶が入っていて……』
『誰からだ…誰からの指示だ……?』
ローブで身を包んだ幽霊がもう1人姿を現した。声からして男性だ。
シュミット『グリムロック?アンタも死んだのか?』
男性幽霊『誰だ?お前を動かしたのは?』
シュミット『解らない。本当だ‼︎メモには、“グリセルダが泊まった部屋に忍び込めるように、回廊結晶の位置指定をして、それをギルド共通ストレージに入れろ”とだけ書いてあって……』
男性幽霊『それで……?』
シュミット『俺がしたのは、それだけなんだ‼︎俺は本当に、殺しの手伝いをする気なんてなかった‼︎信じてくれ、頼む‼︎』

一連の会話の後…、
『全部録音したわよ、シュミット。』
シュミット『⁉︎』
『『……。』』
聞き覚えのある声がした。シュミットが顔を上げると、そこにはヨルコとカインズがいた。 
 

 
後書き
今回はここら辺で区切ります。次回は“圏内事件”を終わらせる予定で行きます。 
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