FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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エドラス王の作戦
シリルside
「な・・・なんだ!?エルザ様がもう一人!?」
「あっちはグレイ・ソルージュか!?」
「こいつ・・・どこかで見たことがあるような・・・」
王国軍をエルザさんとグレイさんを見て動揺している。俺は辛うじて似てる程度の認識みたいだけど・・・
「違う!!アースランドの者どもだ!!」
「「「「「ええっ!?」」」」」
一人の兵士の声で、ますます動揺が広がってるな。だが・・・今はそんなことより
「ウェンディはどこ?」
「はっ!?」
俺の質問の意味がわからなかったらしく、兵士たちは顔を見合わせる。
「魔水晶にされた仲間はどこだ!?ああ!!」
グレイさんが地面から無数の氷を出して王国軍を凪ぎ払う。
「水竜の咆哮!!」
「「「「「うあああああああ!!」」」」」
俺も王国軍に攻撃をする。しかし、エドラスのエルザさんはそれを避け、一番近くにいた俺に斬りかかってくる。だが、
ガキィ
それをエルザさんが防いでくれる。さすがに速い!!
とか感心してたら、二人のぶつかり合った剣の衝撃で、大気が震える。
「エルザ対エルザ!?」
「きゃあああああ!!」
「「!?」」
ルーシィさんがエルザさん同士の対決に驚いていると、遠くからウェンディの声が聞こえてくる。なんだ!?
「ウェンディの声!?」
「近くにいるのか!?」
なんでさっきまで気づかなかったんだ!?あんなにはっきり聞こえるのに!!
「多分この先に!!」
「ナツもいるはずだよ!!」
「急がないと~!!」
シャルルたちが声のした方を見る。
「グレイ!!シリル!!先に行け!!」
「ああ!!」
「わかりました!!」
この場はエルザさんに任せて、俺とグレイさんは先に向かうことにする。
「立てるか?ルーシィ」
「うん!」
グレイさんはルーシィさんに話しかけ、ルーシィさんの手を拘束しているものを破壊する。よし!!
「どうやってここに?」
「今はそんなこと話してる時間はないです!!」
「行くぞ!!」
俺はハッピーたちをひとまず下ろし、ウェンディの声がした方に走り出す。それにしても・・・
「ハッピー」
「何?シリル」
ハッピーはずいぶんとボロボロになっている。だけど・・・それでもシャルルとセシリーを守ってくれてたんだな・・・
「さっきの、かっこよかったぞ」
「いや~・・・」
ハッピーは照れながら頭をかく。いつのまにかシャルルと仲良くなってるみたいだし・・・ずいぶん成長したんだな。
「ねぇ・・・グレイたちは一体・・・」
俺とハッピーが話していると、ルーシィさんがこちらを見てくる。そういえば説明するの忘れてた。
「広場にあった魔水晶覚えてますか?」
「広場にあった魔水晶!?」
「ああ、そうだ」
ルーシィさんは少し上を見上げて思い出しているようだ。
「あれがちょうど、俺とエルザだったらしい」
「ウッソォ!?」
「でもどうやって元に戻ったの?」
「そっか~!シリルが元に戻したんだね~!!」
「それと、ガジルさんもね」
「「「「え!?」」」」
俺がそういうと、ルーシィさんたちは驚いて立ち止まる。というか、ガジルさんがいなかったら、元に戻せなかったかもしれないけどね。
少し遡って・・・
「うおっ!!」
ガジルさんが魔水晶を鉄竜剣で叩くと、魔水晶は光り輝く。
「やった!!」
「どうだ!ギヒッ」
俺とガジルさんはハイタッチして魔水晶を見る。すると、魔水晶ラクリマ はみるみる小さくなっていく。
「え!?」
「何!?」
俺とガジルさんはそれを見て驚く。どんどん魔水晶は小さくなっていき、グレイさんとエルザさんになる。
「どういうことだ・・・」
「たったの二人!?」
あんだけ大きな魔水晶だったのに、出てきたのはエルザさんとグレイさんだけ!?
・・・いや、今はそんなこと言ってられないか。
「おい起きろ!!」
「二人とも!!しっかりしてください!!」
ガジルさんと俺が呼び掛けると、二人はゆっくりと立ち上がる。だけど、意識があるようには見えない。
「「・・・」」
二人が完全に立ち上がると、そこにきてようやく目を覚ます。俺はそれを見てホッとする。
「おお、気がついたか」
「よかった~・・・」
「ガジル!?シリル!?」
「うお!どうなってる!?」
グレイさんは辺りを見回して驚く。そりゃあ、さっきまでギルドにいたって思ってますからね。驚きますよ。
ガジルさんはそんな二人を見て舌打ちする。
「話はあとだ!こっからずらかるぞ!!」
俺たちが一刻も早く逃げようとしたが、
「貴様らぁ!!」
「なんということを!!逃がさんぞ!!」
すでに王国軍が俺たちに向かって来ていた。なんということをって・・・元々の原因お前ら!!
「くっ!」
グレイさんが魔法の姿勢を取る・・・けど・・・
「魔法が使えない!?」
「何!?」
二人は魔法が使えないことに驚く。その間にも王国軍はこちらに突っ込む。
「その話もあとだ」ガジガジ
「ガジルさん!俺、こっちをやりますから」
「任せろ!!」
俺とガジルさんはそれぞれ違う方向を向いて、魔力を口に溜め込む。
「鉄竜の・・・」
「水竜の・・・」
「「咆哮!!」」
「「「「「うあああああああ!!」」」」」
俺の咆哮を受けて王国軍は倒れる。よし!今のうちに!!
「なんでお前らは魔法が使えた?」
俺たちは王国軍を振り切って、建物の間の路地まで逃げてきた。
「まずはこいつを飲むんだ」
ガジルさんはポケットからエクスボールの入ったビンを取り出す。よかった!エクスボール持ってる人いたんだ!!
「なんだ?」
「何があった?詳しく聞かせてくれ」
「お二人は魔水晶にされてたんですよ」
俺たちが事情を話そうとすると、建物の陰から声がする。今の声、もしかして・・・
「おお!来たか」
「ギヒッ。さすがアースランドの僕さん。見事に助け出しましたね」
現れたのはさっき、俺たちに色々と指示や手助けをしてくれたスーツの人!その顔は見た感じガジルさん!この人、エドラスのガジルさんだったんだ!!
「ガジルが!!」
「二人!?」
グレイさんとエルザさんは青ざめながら驚く。そりゃあ、知ってる顔が二つもあったら驚きますよね。
二人のガジルさんは肩を組む。
「エドラスのガジルと言えば、僕と言う訳でして」
「こいつ、結構使えるぜ。この顔は仕事できるって顔だろ?ギッヒヒヒヒ」
嬉しそうに言うアースガジルさん。だけど・・・
「それより、魔水晶にされていたとはどういうことだ!!」
「それよりっておい・・・」
「おめぇらの顔は、どうでもいいってこった」
「「・・・・・」」
あ、ガジルさんが暗くなっちゃった。
「が・・・ガジルさん!俺はガジルさんたちの顔、すごいいいと思いますよ!!」
「おお!わかってくれるのか!!」
「さすがですね、お嬢さん」
「いいから早く事情を説明しろ!!」
なんとかフォローできたみたいで、ガジルさんたちは元気になって事情を説明してくれる。
「妖精の尻尾の魔導士は、全員魔水晶にされてるんです。あなたたちの魔力を狙ってね。広場の魔水晶こそ、それだと思ったんですが」
「あのでかさで、お前たち二人だけとはな。本体はどんだけでかいんだ?」
「魔水晶には、切断面がありましたよね?今にして思えば、一部を切り取っていたんでしょうね」
でもよくよく考えると、その切り取ったせいで俺たちの仲間が半分とか、腕だけなくなってたとかなったらどうするつもりなんだ?運よく二人ともなんともないけど・・・
「聞きたいことはまだまだあるが、さっきの変な物はなんなんだ」
「エクスボールと言って、こっちの世界で魔法を使えるようにする薬だそうだ」
ガジルさんは二人に一つずつエクスボールを渡す。
「あとの話は、そいつを飲んでからだな」
「だそうだ・・・とは?」
エルザさんは薬を見ながらガジルさんに聞く。
「ミストガンからもらったんだ」
「ミストガンから!?」
驚くエルザさん。とりあえず、二人もエクスボールを飲んで魔法を使えるようにする。それじゃあ、
「皆さんのところに行きますか!!そろそろウェンディたちが皆さんの 場所を突き止めてくると思うので」
「本当か!?」
「そうか・・・それなら・・・」
「残念ですが・・・それはありえませんね」
俺がウェンディたちが皆さんを探しに言ったことを教えると、エドガジルさんは首を横に振る。
「どういうことですか?」
「先程、滅竜魔導士を捕らえた、という情報を得ました。恐らく、あなたたちの仲間の方ですよね?」
ウェンディたちが捕まった!?マジかよ!?
「城の西の塔の地下に捕らえてあるということでした。まずは助けにいくべきでしょう」
「だな。俺とエルザが西の塔に向かう!」
「ガジルとシリルはみんなを探して、元に戻してくれ」
「はい!!」
「おう」
俺とガジルさんは返事をする。したけど・・・心配だ・・・ウェンディは大丈夫なのか?
「城はあっちから向かうと近道になってます」
「わかった!」
「行ってくる!」
「待て!!」
グレイさんとエルザさんが城に向かおうとするのをガジルさんが止める。どうした?
「こいつも連れてけ」
ガジルさんはそういって俺の背中を叩く。
「ガジルさん!?」
「別れて探した方が効率がいい。それに・・・」
ガジルさんは俺に笑みを浮かべながら言う。
「小娘が心配なんだろ?ギヒッ」
「!!」
ガジルさんって・・・意外に優しいんだな・・・てっきりただの怖い人かと思ってた。
俺はガジルさんに頭を下げる。
「ありがとうございます!」
「急ぐぞ!!シリル!!」
「はい!!」
俺たち三人は、エドラス城の西の塔へと急いだ。
「そっか!ガジルも滅竜魔導士だから、アニマが効かなかったんだ!!」
「忘れたのはシリルだけじゃなかったんだね~!!」
ハッピーとセシリーが言う。だけどセシリー、忘れたのが一人だけじゃないって喜べることじゃないからな!!
「そして、ミストガンがガジルを送り込んだ」
「あいつ・・・なんで自分はこっちに来ないわけ!?」
「さぁ?」
俺も途中で思ったけど、なんでなんだろ?
「こっちの世界じゃあ、滅竜魔法は色んな役割を果たすらしくてなぁ」
「魔水晶にされた、皆さんを元に戻したのも滅竜魔法なんですよ」
「え~!?」
「本当!?」
「オイラ・・・みんなの魔水晶どこにあるか知ってるよ!!」
「マジか!!ハッピー!!」
「あい!!」
ハッピーはうなずく。ハッピー大活躍だな!!
「ガジルさんがその巨大魔水晶を探すって町中で暴れてる!!ガジルさんをその魔水晶まで連れてける?」
「ガジルなら、みんなの魔水晶を元に戻せるんだね?」
「シリルは?」
「俺はウェンディを助けてからすぐに向かう!!」
「わかった!!ガジルはオイラに任せて!!」
ハッピーは翼を出して飛んでいく。
「ちょっと!!大丈夫なのハッピー!!」
「大丈夫よ」
心配するルーシィさんとハッピーを見つめるシャルル。
「俺たちは早くナツとウェンディを見つけるぞ!!」
「ウェンディに何かあったらただじゃおかねぇ・・・!!」
俺たちは地下に向かって再び走り出す。しばらく走ると、前方に扉を見つける。
「あそこか!!」
グレイさんは扉を蹴破り、俺たちは中に入っていく。そこにいたのは、倒れているウェンディとナツさん。
「「ナツ!!」」
「「「ウェンディ!!」」」
グレイさんとルーシィさんはナツさんに、俺とシャルル、そしてセシリーはウェンディに駆け寄り抱き抱える。
「ウェンディ!!しっかりして!!」
「ウェンディ!!」
「目を覚まして~!!」
「しっかりしろ!!」
「ナツ!!」
二人は俺たちの声にまったく気づく様子がない。意識を失ってるのか!?
「ごめんね!ごめんね!ウェンディ!!」
「シャルル~・・・」
意識のないウェンディを見て、シャルルは抱きつき涙を流し?セシリーは背中を擦る。
「おいナツ!!いつまで寝てんだ!!いい加減起きろ!!」
「ちょっと!!グレイ!!」
グレイさんはナツさんを揺すって起こしてみようとしてるけど・・・まるで起きる気配がない。
「とりあえずエクスボールを飲ませるんだ。シリル!!」
グレイさんはそういって俺にエクスボールを渡す。
「ウェンディ!!口開けて!!」
「コラ!!口開けろナツ!!」
グレイさんはそういってナツさんにエクスボールを飲ませる。
「ゲホッ!ゲホッ!」
飲むには飲んだようだけど・・・ナツさんは咳をして苦しがっている。ウェンディに飲ませるの気が引けるなぁ・・・
「シリル!!あんたの水で流し込みなさい!!」
「おお!!その手があった!!」
「シリル早く~!!」
俺はウェンディの口にエクスボールと水を流し込む。すると・・・すんなり入ったような気がする。
ゴッ
突然地面を殴る音が聞こえて、俺がそちらを見ると、意識を取り戻したナツさんが地面に拳をぶつけている。
「と・・・止めねぇと・・・」
「止める?」
「んがあああああああ!!」
ナツさんはいきなり炎を吐き出すと、俺たちが入ってきた扉から外に出ていく。
「ナツ!?」
「おい!!てめぇ!!」
「どうしたんですか!?」
ナツさんの行動に俺たちが驚いていると・・・ウェンディも目を覚ます。
「シリル・・・シャルル・・・セシリー・・・」
「ウェンディ!!」
「気がついた!!」
「やった~!!」
俺たちはウェンディが意識を取り戻したことに安心する。
「大変なの・・・ギルドのみんなが・・・」
「ウェンディ!!無理してしゃべるな!」
俺がウェンディを心配して言うと、ウェンディは体を起こして、俺たちに話始める。
「王国軍は・・・エクスタリアを破壊するために、巨大魔水晶を激突させるつもりなの」
「「「「「!!」」」」」
「私たち妖精の尻尾のみんなを、爆弾代わりに使うつもりなんだ!!」
ウェンディの言葉を聞いて、俺たちは驚いてしまう・・・王国軍の連中・・・どこまで最低な奴らなんだ!!
「おい!エクスタリアってどこにあるんだ!!」
「空の上~」
「「はっ!?」」
俺とグレイさんはセシリーの解答に間抜けな声を出す。空の上って・・・どういうこと?
「エドラスには、空に浮いている浮遊島があるの。みんなもいくつか見たでしょ?」
そういえば、いっぱい浮いてたな。
「あれはエクスタリアの魔力で浮いてるらしいわ。世界の魔力のバランスをとってるって本に書いてあった」
「魔水晶にされた仲間も、その島の上にいるのか?」
「エクスタリアのすぐ近くにね」
シャルルは落ち込みながら言う。責任を感じてるのか・・・だけど、お前は全然悪くないぞ!
「今、私たちのいる王都上空に、エクスタリアと魔水晶が浮いているのよ」
「その浮遊島に滅竜魔法を当てることで加速させ、エクスタリアに激突させるのが王国軍の狙いなんです」
「そうすると・・・」
「どうなるんだ?」
俺とグレイさんがウェンディに問いかける。
「エクスタリアの魔力と、妖精の尻尾の魔力がぶつかることで融合し、永遠の魔力かわこの国に降り注ぐって・・・」
「弾けて融合するって・・・」
「そんなことしたらギルドのみんなは・・・」
「消えちまう!!」
俺たちが怒りに震えていると、
ドタドタドタドタドタドタドタ
何かがこちらに走ってくる音が聞こえる。
「誰か来やがった!」
「敵!?」
「いえ・・・この匂いは・・・」
グレイさんとルーシィさんが敵だと思って構えるけど・・・この匂いは・・・
「ナツさんです」
「いやああああああああああああ!!」
「ナツかよ!!」
ナツさんが顔面蒼白で走ってきた。どうしたのかな?
「エルザが二人いたーー!!何だよアレ!!なんなのアレ!!」
ナツさんはアースエルザさんとエドエルザさんを見て驚いてたのか。確かにエルザさんが二人もいたらナツさんにとったら怖いですよね。
「怪獣大決戦か!?この世が終わるのかー!?」
「そこまで言いますか!?」
ナツさんのあまりの慌てように思わず突っ込んでしまう。するとナツさんは何かに気づく。
「グレイじゃねーか!!」
「しまらねーし、落ち着きねーし、本当うぜぇな、お前」
「アースランドの・・・あたしたちの知ってるグレイよ」
「何!?」
あきれるグレイさんとルーシィさん。ナツさんは驚きを隠せない。
「ほら!服着てないでしょ?」
「本当だ!!」
「うお!!いつのまに!!」
「最初からだけどね」
俺がグレイさんが上半身裸なことを言うと、ナツさんは納得し、グレイさんは驚く。本当に意識ないんですね。
「あれ・・・本当だ・・・グレイさんがいる・・・」
「え?今気がついたの?」
「ウェンディ~、鈍感すぎ~」
「おや?地下だから陽が当たんねーのかな?自分の影が薄く見えるぜ」
「ぐ・・・グレイさん・・・」
グレイさんはウェンディに気づかれていなかったことにショックを受けて、涙を流していた。なんかすみません・・・
「もしかして、お前らが俺たちを助けてくれたのか?ルーシィも無事だったんだな!!」
「あたしのことも今気づいたんだ・・・」
「私ってば、一番最初に言わなきゃいけないことを!!あ・・・ありがとうございます!!」
「き・・・気にすんな・・・」
ルーシィさんもナツさんに気づかれてなかったことにショックを受け、ウェンディはグレイさんに何度も頭を下げる。グレイさんはいまだにひきずってるみたいだけど・・・
「シリルがグレイを元に戻したのか?」
「ガジルさんも一緒にやってくれました!」
「何!?」
「エルザも元に戻ったんだ。そんで向こうのエルザと対決してる」
「そ・・・そうなのか・・・」
ナツさんはようやく納得してくれたようだ。
俺たちが話していると、ウェンディが後ろでシャルルとセシリーを抱き締めている。
「やっぱり、シャルルとセシリーも私たちを助けにきたくれた。ありがとう」
「えへへへ・・・」
「・・・」
セシリーは照れたような顔をしてるけど、シャルルはブスッとしている。気にしすぎなんだよ、シャルルは。
それからしばらくして、グレイさんが服をどこからか持ってきたので俺たちは部屋から出る。
「おし!!準備完了!!王様見つけて、魔水晶ぶつけんの止めるぞ!!」
「おお!!」
「うん!!」
ルーシィさんとグレイさんが走り出していく。しかし、ナツさんがそれを止める。
「待て!!そっちは怪獣が二匹もいる!!こっちだ!!」
「エルザは放っておいて大丈夫?」
ルーシィさんは心配そうにいう。
「問題ないですよ」
「あのエルザだぞ?」
「相手もだけどね」
ナツさんを先頭に、グレイさん、ルーシィさんもエルザさんたちのいない道にいく。だけど、ウェンディたちが付いてこない。どうした?
「ウェンディ?」
「シリル!私たちはエクスタリアに向かうわ」
「な・・・なんで!?」
ウェンディの提案に、シャルルが驚く。ウェンディはシャルルの方を向く。
「王国軍の攻撃があることを伝えて、避難させないと」
「私たちは、その攻撃を止めるんでしょ!!」
「もちろん止めるよ!!絶対にやらせない!!」
そういってウェンディは俺の方を見る。
「それはシリルたちを信じてるから!!
でも・・・王国軍は他にどんな兵器を持っているかわからない!万が一に備えて、危険を知らせなきゃ!!私たちにはそれができるんだから」
「いやよ!!戻りたくない!!私・・・エクシードなんてどうなってもいいの」
シャルルはウェンディの提案に首を振り続ける。よっぽどいやなことでもあったのか?
ウェンディはそんなシャルルに目線を合わせる。
「人間とか、エクシードとかじゃないんだよ?」
「・・・」
「同じ生きるものとして、できることがあると思うの。私がずっとそばにいるからね、怖くないよ。ね?」
「・・・わかったわ」
シャルルもようやく納得したようだな。それじゃあ、
「ウェンディ!俺はナツさんたちを追いかけるよ」
「うん!必ず止めてね!!」
「もち「どわあああ!!」なんだ!?」
俺とウェンディが話していると、ナツさんの悲鳴が聞こえてくる。なんだ?
「うわああああ!!」
「きゃああああ!!」
今度はグレイさんとルーシィさんの声が聞こえた・・・と思ったら、先に王様のところに行ったはずの三人がこちらに飛んでくる。
「ナツさん!?」
「グレイさん!?」
「ルーシィさん~!?」
「あんたたち、どうしたの!?」
俺たちが飛んできた三人を見ると、奥から声が聞こえてくる。
「なんだ。まだいたのか。ずいぶんと増えすぎているようだな」
「誰だ?」
俺が声のした方を見ると、そこから水色の髪をした、長い杖を持った男が現れる。
「なんだ。俺を知らないのか?まったく・・・とんだ無知な女の子だ・・・いいだろ?教えてやろう!!」
男はそういうと、親指を立てて、自分を指さす。
「強い上にトークも切れる!さらにこの美形!!天は俺に三物を与えた!!エドラス一の美形魔導士、シリル・ブランドとは、俺のことだ!!よろしく!!」
「「「「「「「・・・」」」」」」」
あまりの自己紹介に、俺たちは言葉を失う。
「どうした?戦う前から俺のすごさが伝わってしまったか?」
「えぇ・・・すごいバカですね・・・」
呆れてしまう俺たち・・・こんなのがこっちの世界の俺かぁ・・・泣きたくなってきた・・・
「やろう・・・」
「シリル・・・こいつ強ぇぞ」
ナツさんとグレイさんは口から出ている血を拭いながら言う。二人が認めるってことは、実力は本物か?
そこで俺はようやく気づいた。エドラスの俺が持っている魔法、ミストガンが背中に背負ってた杖と一緒だ!!
「その杖・・・」
「ああ・・・なんでも、昔俺と仲のよかった奴がくれたものらしい。俺も覚えていないがな」
覚えてない?洗脳の効果なのか?
「さて・・・悪いが君たちには、ここで大人しくしていてほしい。そうすれば、命くらいは助けてやるぞ?」
ブランドは杖を振り回しながらそう言う。だけど・・・俺たちは仲間のために、いかなきゃいけないんだ!!
「ナツさん!グレイさん!ルーシィさん!ウェンディ!こいつは俺がやります!!先に行ってください!!」
「いけんのか?」
グレイさんが心配そうにいう。
「やります!!」
仲間のために・・・それに・・・エドラスのウェンディに連れて帰ってきてと言われたから・・・こいつは俺が倒さなきゃいけない!!
「ほう・・・一人に足止めさせて、他の者は目的地に向かう・・・正しい選択だな。いいだろ、行くがいい」
ブランドはそういって道を開ける。ずいぶん物わかりのいい人だな。
「気を付けろよ!シリル」
「頼むぞ」
「みんなはあたしたちが助けるから」
「気を付けてね、シリル!」
「負けないでよ!!」
ナツさんたちはブランドの脇を抜けていく。
「僕は残るよ~。シリルをあとで魔水晶まで連れていかなきゃいけないからね~」
セシリーはそういってその場に残る。
「ありがとう、セシリー」
「ううん。みんなのためだからね~」
俺はお礼を言ったあと、ブランドに向き直る。
「さあ、始めようぜ!!」
「うむ。いい目をしているな。そして可憐だ」
「うるせぇぞ!!水竜の鉄拳!!」
俺が水を纏った拳でブランドに突っ込む。ブランドは体の前で杖を振り回し始める。ブランドが杖を振り回すのをやめたかと思うと・・・そこには大きな魔方陣が出来上がっていた。
「第四水魔法!水しぶき!!」
「うわああああ!!」
ブランドの魔方陣から出てきた、勢いのある水しぶきによって、俺は弾き返された。
後書き
いかがだったでしょうか。
エドシリルの魔法は、ミストガンが、子供の頃に持っていた杖と一緒にしました。(わからない人はアニメか漫画で確認してね♪)
ちなみに、エドシリルの魔法でヴァッサァというのが出てきましたが、ドイツ語で水という意味です。
シリルの親のヴァッサァボーネは、ヴァッサァはドイツ語の水、ボーネはフランス語のドラゴンの呼び方の一部をとったもの・・・だったと思います・・・(汗)
ちなみに、ドイツ語の理由は、高校の部活で、「ありがとう」をドイツ語で言う謎の習慣があったため、そのようにしました。
次はシリルとシリルの戦いです。
次回もよろしくお願いします。
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