| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

コードETD

エドラス城にて・・・

「ぐしゅしゅしゅしゅ。やはり言い伝え通り、アースランドの魔導士は、皆体内に魔力を持っていることがわかりましたぞ」

バイロは不敵な笑みを浮かべながらそう言う。
現在、王都の魔戦部隊隊長たちは、王都の城の一室で会議をしている。

「ん~~、まるでエクシードのようだなぁ」
「しかしその魔力は、エクシードの比になりましぇん」
「ふぬぅ」

バイロの言葉にエドラス王、ファウストがうなる。すると、バイロの横からココが顔をひょっこりと出す。

「ではあのルーシィという女の子も、体内に魔力を持っているの?」
「でしゅな」
「だったら殺すのはスッゲェおしいだろ?」
「それはならん!」

ヒューズの言葉を遮るようにファウストが言う。

「エクスタリアの女王シャゴットより、【抹殺せよ】との命令が出ている」
女王(クイーン)の命令ですか!?」

ココはファウストの言葉に驚き、青ざめながらそう言う。

「ん~~、我々は、エクシードには逆らえん」
「スッゲェもったいねぇよ!チクショー!」
「まぁ、別に良いではないか」

少し残念そうなシュガーボーイと頭をかきむしるヒューズにシリルが言う。

「半永久的に魔力を吸い続けるなど、あの女の子が苦しむだけだ。
ならば、いっそ早めに楽にしてあげた方が良いだろ?」
「そりゃあそうかもしれねぇけど・・・」
「それに、我々の技術力では、人間の体内から魔力を抽出することはまだ不可能」
「では、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の二人はどうする?」

リリーがバイロに聞く。バイロはそれに対し、冷静に答える。

「あれは人であり・・・人ではありましぇん。実験が成功すれば、半永久的な魔力が手に入るでしょう」
「おお!スッゲェ!!」
「スッゲェですね」

バイロの言葉を聞き、ヒューズとココが笑いながらそう言う。

「いいぞ、バイロ。すぐに始めよ」

ファウストの言葉に、バイロはうなずく。

「万が一に備え、アースランドの魔力抽出も早々にやれ」
「わかりました」

そこで魔戦部隊長たちの会議は終了し、全員がぞろぞろと部屋を後にする。しかし・・・その中で一人、立ち上がろうとしないものがいた。
ファウストはその者を見る。

「どうした?パンサーリリー」
「陛下・・・最近の、軍備強化についてなのですが・・・」

リリーが気になっていることを聞こうとしたとき、ファウストの目が無言の圧力をかける。
それを見たリリーは、言葉を飲み込む。

「いいえ。失礼しました」

リリーはそう言い、その場を後にする。しかし、ファウストは目を大きく開き、リリーの姿を見送っている。それはまるで・・・反逆者を見るかのように・・・

一方、会議に参加していなかった魔戦部隊長の一人、エルザは、とある所に向かっていた。
エルザがある部屋に近づくと・・・中から声がする。

「エクシード・・・この世界において、天使のような存在・・・その女王シャゴットは、神。
神の言葉は絶対で、人間を管理するのが仕事。その口が死を宣告すれば、その人間は死ななければならない・・・バッカバカしい!どんだけ理不尽な掟よ」
「ほう・・・よく調べているな。この世界のことを」

エルザは牢の中に閉じ込めている、ルーシィの前に姿を現す。

「エルザ!!」

ルーシィはその姿を見て、驚くが、すぐに気を取り直して質問する。

「みんなは無事なの!?ねぇ!!」
「ああ・・・全員無事だ」
「よかったぁ!!」

エルザは牢の柵を開けながらルーシィの質問に答える。それを聞いたルーシィはホッとする。

「よくそんな顔ができるな。自分が置かれてる立場が、わかっているのか?」
「ああ・・・そうだね」

ルーシィはエルザの顔を見上げる。

「顔も声も・・・あたしの知ってるエルザと一緒だから、つい気が緩んじゃって・・・」
地上(アースランド)の私か」
「あなた、アースランドの世界じゃ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員なのよ」
「何!?」

エルザはルーシィの言葉に驚く。ルーシィはそれを見て、笑顔で話を続ける。

「強くて、かっこよくて、ちょっと怖いけど・・・みんなからすごい頼られてて、でもね!甘いものが好きだったり、かわいい服が好きだったり、すごく女の子っぽいの!
それで・・・」

ルーシィが話していると、エルザはルーシィの髪の毛をいきなり掴む。

「きゃ!」

エルザはルーシィの髪を掴み、牢を出ていく。

「もうしゃべるな。悪いが、私はお前の知ってるエルザじゃない」

ルーシィはエルザに髪を掴まれ引きずられていき、痛みで顔を歪ませる。
エルザは引きずってきたルーシィを、城の壁に投げつける。
ルーシィはそんなエルザを見る。

「お願い!!力を貸して!!あたしは仲間を助けたいだけなの!!
あなたは確かに別の人かも知れない。でも、根の部分は同じな気がするんだ!あなたは人の不幸を笑える人間じゃない!!」
「黙れ!」

エルザはテン・コマンドをメンツでルーシィの手錠を掴み、外へと持ち上げる。

「ひっ!ちょ・・・ちょっとぉぉ!!」
「お前はここで死ぬんだ」
「エルザは無抵抗な人にそんなことしない!!
エルザは優しいんだ!!そんなことするもんか!!」

それを聞いたエルザは、ニヤリと笑う。

「フッ・・・おめでたい奴だな。私は、人の不幸など大好物だ。
妖精狩りの異名通り、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士を何人も殺した」
「・・・エルザの顔で・・・声で・・・そんなこと言うな・・・」

ルーシィは目に涙をためて、エルザを睨む。それを見て、エルザはますます楽しくなってくる。

「じゃあな、ルーシィ」

エルザはそう言うと、ルーシィを地面に落とした。

「きゃああああ!!」

ルーシィは目を瞑り、そのまま落下していく。しかし、

「ルーシィ!!」
「!」

ルーシィは自分を呼ぶ声が聞こえ、そちらを見る。

「ハッピー!!シャルル!!」
「エクシード・・・・・」

エルザは二人の姿を見て呟き、ルーシィはそれを見て笑顔になる。

「もう大丈夫だよ!!オイラが助けに来たから!!」

ハッピーはルーシィを掴もうとしたが、勢い余って城の壁に突っ込んでしまう。

「にびゃっ!!」

ルーシィはシャルルとセシリーががっちり掴む。

「ありがと!・・・あれ?あんたたち羽・・・」
「心の問題だったみたい」
「うん!だからもう大丈夫~!!」
「久しぶりで勢いつきすぎちゃった」

ハッピーたちはルーシィを持ち、上昇する。エルザはそれを見て驚く。

「こ・・、これは・・・一体・・・その女は、女王様の命令で抹殺せよと・・・」
「命令撤回よ」
「し・・・しかし、いくらエクシードの直命でも、女王様の命令。覆す権限は、ないハズでは?」
「う・・・」
「ヤバイ・・・」

エルザにそう言われたハッピーとセシリーはどうすればいいかわからず、シャルルの方を見る。
それを見たエルザはシャルルを睨む。

「その女を、こちらにお渡しください」
「頭が高いぞ、人間」
「「?」」

突然腕を組み、エルザを見下ろすシャルルにハッピーとセシリーは驚く。

「私を誰と心得る!?私は、女王(クイーン)シャゴットの娘、エクスタリア王女、シャルルであるぞ」
「「「「!!」」」」

突然のシャルルの告白に、四人は唖然とする。
エルザはそれを聞き、素早くシャルルの前に膝をつく。

「はっ!申し訳ありません!!」

ハッピーたちは、あまりにも突然すぎて、シャルルを見てポカーンとしている。
そんな中、シャルルは一人冷静にエルザに質問する。

「ウェン・・・二人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)はどこ?」
「に・・・西塔の地下に・・・」
「今すぐ解放しなさい」
「それだけは、私の権限では、なんともなりません」
「いいからやりなさい!!」
「はっ!しかし・・・」
「エルザ!!」

シャルルが怒鳴り、なおもエルザが抵抗しようとすると、その横からエルザを呼ぶ声がし、エルザはそちらを向く。

「その三人のエクシードは【堕天】だ!!エクスタリアを追放された者どもだ!!」

リリーが兵隊を連れて、エルザの元にかけてくる。それを見たルーシィたちは、

「何あいつ!!あんたの仲間!?」
「違うと思う!あんなゴッツイ奴、エクシードにいなかったよ!!」
「でも人間にも見えないよ~!?」
「逃げるわよ!!」

リリーの風貌に、あっけにとられる。しかし、自分たちが堕天だとバレたため、シャルルたちは急いで逃げる。
エルザはシャルルたちに騙されたことを知り、地面を殴って怒りを露にする。

「く・・・おのれ~!!」
『全兵士に通達!!堕天が囚人を連れて逃走!!青毛と白毛と茶毛のエクシードは堕天である!!見つけ次第抹殺せよ!!』

王国軍は全兵士に司令を出す。しかし、シャルルたちはすでに逃げていたため、そのアナウンスを聞き取ることはできなかった。















「ありがとう、三人とも」

ハッピーとセシリーに掴まれ、ルーシィは三人を見ながらお礼を言う。

「怒ってないの?」
「え?何を?」
「捕まったのは、私たちのせいだし・・・」

シャルルがルーシィを見ながら言うと、ルーシィは少し笑いながら答える。

「でも、こうして助けてくれたじゃない。ね?ハッピー、セシリー」
「ごめんねルーシィ」
「ごめんなさい~・・・」
「だからぁ、全然怒ってないってば!」

暗いハッピーとセシリーにルーシィは優しくそう言う。

「それよりあんた・・女王様の娘って方が驚きなんだけど・・・」
「オイラも知らなかった」
「プッ」

ルーシィとハッピーが先程のシャルルの言ってたことを聞くと、セシリーが吹き出す。

「何セシリー?」

ルーシィはセシリーに問いかける。

「どうせ、シャルルのウソでしょ~?」
「当たり前じゃない」
「「え!?」」

シャルルに言われてルーシィとハッピーは驚く。その後、ハッピーは少しにやけながら、シャルルの顔を見つめる。

「その顔何よ?ハッピー」
「ううん。いつものシャルルだなぁ、て思って」
「実は腹黒いシャルルね~」
「うるさいわね!!」
(あれ?今ハッピーって・・・)

ルーシィはシャルルがハッピーを呼ぶときの呼び方が変わったことに気付き、セシリーを見る。セシリーはその視線に気づいてニッと笑う。

「そっか」

ルーシィは、シャルルとハッピーがようやく仲良くなれたのだと知り、笑みをこぼす。

「それより、早くウェンディとナツを助けにいくわよ」
「どこに?」
「西の塔よ」
「そこの地下に二人がいるって言ってたよね~」
「そうね」

するとシャルルは、ルーシィが笑っているのが目に入る。

「何笑ってるのよ?ルーシィ」
「別に~!ん?」

ルーシィが何かに気付き、ハッピーたちもそちらを見る。

「あれじゃない?西の塔って!」
「そうみたいだね~」

ルーシィが西の方角に、他の塔よりも大きな塔を見つける。ハッピーたちはそこに向かって飛んでいく。
西の塔に向かっている最中、ハッピーたちの後方から、何か音が聞こえる。

「何!?この音・・・」

ルーシィがその音のする方を振り返る。そこにいたのは・・・たくさんのエクシードたち!

「見つけたぞ!!堕天ども!!」
「うわ!!猫がいっぱい!!」

エクスタリアの近衛師団はハッピーたちを見つけると、一気に加速して追いかけてくる。

「空中はまずいわ!地上におりましょう!!」
「うん!!」

シャルルの指示に従い、ハッピーたちは下降しようとする。しかし・・・

「待ってシャルル!!地上にも敵が・・・」

ハッピーの言う通り、地上には王国の魔戦部隊長五人を含む、大量の兵隊たちがハッピーたちを待ち構えている。

「ルーシィ!星霊魔法は!?」
「このベトベトが、魔法を封じてるみたいなの!」

ルーシィはそういって自分の手を塞いでいるものを見せる。
四人は空中にも地上にもいる敵に対し、どうするべきかな対策が立てられないでいた。








「これは一体何事だ?」

城の中からその様子を見たファウストが言う。

「堕天を追って、エクスタリアの近衛師団が、追いかけてきたようですぅ!」

ココがファウストのそばを走り回りながら言うと、ファウストは近衛師団を、眉間に皺を寄せ、体を震わせながら何かを考えている。

「コードETD!!発動せよ!!」

ボォ~オオプオオ~オオ

ファウストが叫ぶと、王国軍はほら貝を吹き始め、城の屋上に赤い旗が上がっていく。

「コードETD!?」
「こんな時に!?」
「何を考えているのだ!?」

魔戦部隊長は旗を見て驚きの声を上げる。その間にも、王国軍は何やらライトのようなものの準備を着々と進めている。

「国家領土保安最終防衛作戦・・・発動か・・・」

シュガーボーイが顎に手を当て、その様子を見ている。

「建物の中に入るのよ!!」
「そっか!!」
「急いで~!!」

シャルルたちは建物の中に兵隊たちがいないのが見え、城の中に急いで向かう。

「コードETD!発動!!」

兵士の一人が叫ぶと、屋上に設置されたライトの光が、ルーシィたちとは違う方向に向かっていく。その先にいるのは・・・エクスタリアの近衛師団。
光を浴びた近衛師団は、皆苦しみ悶える。

「何の真似であるか!!人間ども!!」

苦しみの中、ニチヤが王国軍に向かって叫ぶ。
シャルルたちはそれを見て目を見開く。

「何でエクシードの方を!?」
「どういうこと!!人間にとってエクシードは、天使や神様のような存在でしょ!?」
「つまり、反乱ってこと~!?」
「・・・よくわからないけど、今はこの混乱に乗じるのが得策みたいね。今のうちに、ウェンディたちを助けに行くのよ!!」
「うん!!」
「あい!!」

シャルルたちは誰もいない城の中に気づかれないように侵入する。
しかし、魔戦部隊長、エルザとシリルがその姿を見ていた。

「エルちゃん!堕天が囚人連れて中に入ったぞ!!」
「わかってる!!西塔に向かうはずだ!!守りを固めろ!!」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

エルザが兵隊たちを連れて建物の中に入っていく。
その間にも、光を浴びた近衛師団たちは、少しずつ形が変わっている。

「おのれ人間ども・・・女王様が黙っておらんぞ!!メェーーン!!」

ニチヤはそういい残し、近衛師団は巨大な猫の形の魔水晶(ラクリマ)に変わり、地上に落ちた。
王国軍はその魔水晶(ラクリマ)を見て、皆不安になる。しかし、ファウストが兵隊たちを落ち着かせるように、言い放つ。


「この世に神などいない!!我ら人間のみが有限の魔力の中で苦しみ、エクシードどもは無限の魔力を謳歌している。
なぜ・・・なぜこんなにも近くにある“無限”を我々は手にできないのか。」

王国軍はファウストの言葉に静かに耳を傾ける。

「支配され続ける時代は終わりを告げた。すべては人類の未来のため、豊かな魔法社会を構築するため、我が兵士たちよ!共に立ち上がるのだー!!
コードETD、【エクシード・トータル・ディストラクション】!天使全滅作戦を発動する!!」
「「「「「「「「「「オオッ!!!」」」」」」」」」」

ファウストの言葉に、王国軍は拳を掲げ、歓声を上げる。

「こりゃあスッゲェことになったな」
「ああ。まったくだな」
「ん~~、是非もなしってことかな?」
「軍備強化は、このためだったのか・・・」

ヒューズ、シリル、シュガーボーイはそれぞれの顔を見て笑い、リリーは一人、歯を噛み締める。

「エクシードの魔力を奪えば、我が国は永遠の魔力を手に入れることができる」
「陛下!女王の攻撃がきますよ!エクスタリアの軍事力はとてつもないんですよ!」

王国軍を城から見下ろすファウストに、ココがあたふたしながら言う。しかし、あくまでファウストは冷静だ。

「この時のために、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を捕らえてあるのだ。神を堕とすのは今しかない。急ぎ滅竜魔法を抽出せよ!!バイロ!!」

ファウストの指示により、バイロがウェンディとナツから魔力を奪う準備を始めた。
















西の塔、地下へと向かう階段にて・・・

「なんか、大変なことになってきたね」
「まさか人間とエクシードが戦争を始めるなんて」
「なんでそんなことするのかな~」
「私たちには関係ないことよ。どっちもどっちだし・・・勝手にやればいいのよ」

シャルルたちは階段を走り、地下へと向かいながら話している。

ドカッ

「!!」
「きやっ!!」
「うわっ!!」
「ひゃっ!!」

ウェンディたちを探していたシャルルたちの前に、いきなり槍のような武器が突き刺さり、四人は倒れる。

「この先には行かせんぞ」

その武器を投げたのは、エドラスのエルザ。

「まったくもう!あたしたちに興味なくしたんじゃなかったの!?」
「フッ」
「え!?」

エルザが笑うと、地面に刺さっている槍が光り、

ドコォォン

「あああ!!」
「うあっ!!」
「きゃあ!!」
「うわぁ!!」

爆発を起こしてルーシィたちを吹き飛ばす。

「うう・・・」
「ほう・・・私の魔法をまともにくらって、まだ生きているのか。だが、これで終わりだ」

エルザは武器を拾い上げ、ルーシィに歩み寄る。

「きゃあああああ!!」

すると、遠くからウェンディの声が聞こえてくる。

「ウェンディの声・・・」
「近くに・・・いる・・・の~・・・?」
「あんたたち・・・ウェンディに何してるの・・・」
「コードETDに必要な魔力を奪っているんだ」

エルザはルーシィたちを見下ろしながら答える。

「あああああああ!!」

なおも大きくなるウェンディの悲鳴。

「ウェンディ~・・・」
「や・・・やめて・・・」
「きゃあああああ!!」
「やめなさいよ!!」

シャルルとセシリーは涙を流してエルザを睨む。エルザは二人に近づいていき、槍を構える。

「気にやむな。どうせお前はここで死ぬ」
「ウェンディ~・・・」
「ウェンディを返して!!」

シャルルとセシリーに対し、エルザが槍を降り下ろそうとしたとき、ハッピーが二人の前に手を広げて立つ。

「シャルルとセシリーは・・・やらせない・・・やらせないぞ!!」

エルザはそれに、一瞬驚くが、すぐに笑みを浮かべる。

「ならば、お前からだ」

エルザが槍を振り上げ、ハッピーに向かって降り下ろす。

「やめて~!!」
「ダメーー!!」

セシリーとシャルルは叫び、ハッピーは目を閉じて来るべき痛みを待つ。しかし、

ドッ

「「「「「「「「「「うあああああああ!!」」」」」」」」」」
「!!なんだ!?」

エルザは後方から聞こえた音に気をとられ、後ろを振り返る。そのタイミングで、エルザを脇を一つの人影がすり抜けて、ハッピーたちを抱えてエルザから距離を取る。

「なっ・・・!!」

エルザはその三人抱えた少年と、後方で宙に舞う王国軍を交互に見る。

「オイコラ・・・てめぇら」
「こいつら・・・俺たちの家族(なかま)だと知ってて手を出したのか?」

王国軍の後ろの男とハッピーたちを抱えた少年が言う。

「ギルドの仲間に手を出した者を、私たちは決して許さない!」
「どうして・・・」
「あんたたちが・・・」

王国軍の後ろにいる二人を見て、セシリーとシャルルは目を疑う。

「てめぇら全員、俺たちの敵ってことになるからよぉ」
妖精の尻尾(フェアリーテイル)のな!!」

その三人を見て、ルーシィは顔を緩ませ、三人の名前を呼んだ。

「グレイ!!エルザ!!シリル!!」

三人は怒りに満ちた表情で、王国軍を見据える。








 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
この話のハッピーかっこよすぎて泣けてくる・・・(涙)
やっとシリルが帰ってきました。
次回にエドラスのシリルの魔法(ぶき)が出てくる予定です。
次回もよろしくお願いします。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧