FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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コードETD
エドラス城にて・・・
「ぐしゅしゅしゅしゅ。やはり言い伝え通り、アースランドの魔導士は、皆体内に魔力を持っていることがわかりましたぞ」
バイロは不敵な笑みを浮かべながらそう言う。
現在、王都の魔戦部隊隊長たちは、王都の城の一室で会議をしている。
「ん~~、まるでエクシードのようだなぁ」
「しかしその魔力は、エクシードの比になりましぇん」
「ふぬぅ」
バイロの言葉にエドラス王、ファウストがうなる。すると、バイロの横からココが顔をひょっこりと出す。
「ではあのルーシィという女の子も、体内に魔力を持っているの?」
「でしゅな」
「だったら殺すのはスッゲェおしいだろ?」
「それはならん!」
ヒューズの言葉を遮るようにファウストが言う。
「エクスタリアの女王シャゴットより、【抹殺せよ】との命令が出ている」
「女王の命令ですか!?」
ココはファウストの言葉に驚き、青ざめながらそう言う。
「ん~~、我々は、エクシードには逆らえん」
「スッゲェもったいねぇよ!チクショー!」
「まぁ、別に良いではないか」
少し残念そうなシュガーボーイと頭をかきむしるヒューズにシリルが言う。
「半永久的に魔力を吸い続けるなど、あの女の子が苦しむだけだ。
ならば、いっそ早めに楽にしてあげた方が良いだろ?」
「そりゃあそうかもしれねぇけど・・・」
「それに、我々の技術力では、人間の体内から魔力を抽出することはまだ不可能」
「では、滅竜魔導士の二人はどうする?」
リリーがバイロに聞く。バイロはそれに対し、冷静に答える。
「あれは人であり・・・人ではありましぇん。実験が成功すれば、半永久的な魔力が手に入るでしょう」
「おお!スッゲェ!!」
「スッゲェですね」
バイロの言葉を聞き、ヒューズとココが笑いながらそう言う。
「いいぞ、バイロ。すぐに始めよ」
ファウストの言葉に、バイロはうなずく。
「万が一に備え、アースランドの魔力抽出も早々にやれ」
「わかりました」
そこで魔戦部隊長たちの会議は終了し、全員がぞろぞろと部屋を後にする。しかし・・・その中で一人、立ち上がろうとしないものがいた。
ファウストはその者を見る。
「どうした?パンサーリリー」
「陛下・・・最近の、軍備強化についてなのですが・・・」
リリーが気になっていることを聞こうとしたとき、ファウストの目が無言の圧力をかける。
それを見たリリーは、言葉を飲み込む。
「いいえ。失礼しました」
リリーはそう言い、その場を後にする。しかし、ファウストは目を大きく開き、リリーの姿を見送っている。それはまるで・・・反逆者を見るかのように・・・
一方、会議に参加していなかった魔戦部隊長の一人、エルザは、とある所に向かっていた。
エルザがある部屋に近づくと・・・中から声がする。
「エクシード・・・この世界において、天使のような存在・・・その女王シャゴットは、神。
神の言葉は絶対で、人間を管理するのが仕事。その口が死を宣告すれば、その人間は死ななければならない・・・バッカバカしい!どんだけ理不尽な掟よ」
「ほう・・・よく調べているな。この世界のことを」
エルザは牢の中に閉じ込めている、ルーシィの前に姿を現す。
「エルザ!!」
ルーシィはその姿を見て、驚くが、すぐに気を取り直して質問する。
「みんなは無事なの!?ねぇ!!」
「ああ・・・全員無事だ」
「よかったぁ!!」
エルザは牢の柵を開けながらルーシィの質問に答える。それを聞いたルーシィはホッとする。
「よくそんな顔ができるな。自分が置かれてる立場が、わかっているのか?」
「ああ・・・そうだね」
ルーシィはエルザの顔を見上げる。
「顔も声も・・・あたしの知ってるエルザと一緒だから、つい気が緩んじゃって・・・」
「地上の私か」
「あなた、アースランドの世界じゃ、妖精の尻尾の一員なのよ」
「何!?」
エルザはルーシィの言葉に驚く。ルーシィはそれを見て、笑顔で話を続ける。
「強くて、かっこよくて、ちょっと怖いけど・・・みんなからすごい頼られてて、でもね!甘いものが好きだったり、かわいい服が好きだったり、すごく女の子っぽいの!
それで・・・」
ルーシィが話していると、エルザはルーシィの髪の毛をいきなり掴む。
「きゃ!」
エルザはルーシィの髪を掴み、牢を出ていく。
「もうしゃべるな。悪いが、私はお前の知ってるエルザじゃない」
ルーシィはエルザに髪を掴まれ引きずられていき、痛みで顔を歪ませる。
エルザは引きずってきたルーシィを、城の壁に投げつける。
ルーシィはそんなエルザを見る。
「お願い!!力を貸して!!あたしは仲間を助けたいだけなの!!
あなたは確かに別の人かも知れない。でも、根の部分は同じな気がするんだ!あなたは人の不幸を笑える人間じゃない!!」
「黙れ!」
エルザはテン・コマンドをメンツでルーシィの手錠を掴み、外へと持ち上げる。
「ひっ!ちょ・・・ちょっとぉぉ!!」
「お前はここで死ぬんだ」
「エルザは無抵抗な人にそんなことしない!!
エルザは優しいんだ!!そんなことするもんか!!」
それを聞いたエルザは、ニヤリと笑う。
「フッ・・・おめでたい奴だな。私は、人の不幸など大好物だ。
妖精狩りの異名通り、妖精の尻尾の魔導士を何人も殺した」
「・・・エルザの顔で・・・声で・・・そんなこと言うな・・・」
ルーシィは目に涙をためて、エルザを睨む。それを見て、エルザはますます楽しくなってくる。
「じゃあな、ルーシィ」
エルザはそう言うと、ルーシィを地面に落とした。
「きゃああああ!!」
ルーシィは目を瞑り、そのまま落下していく。しかし、
「ルーシィ!!」
「!」
ルーシィは自分を呼ぶ声が聞こえ、そちらを見る。
「ハッピー!!シャルル!!」
「エクシード・・・・・」
エルザは二人の姿を見て呟き、ルーシィはそれを見て笑顔になる。
「もう大丈夫だよ!!オイラが助けに来たから!!」
ハッピーはルーシィを掴もうとしたが、勢い余って城の壁に突っ込んでしまう。
「にびゃっ!!」
ルーシィはシャルルとセシリーががっちり掴む。
「ありがと!・・・あれ?あんたたち羽・・・」
「心の問題だったみたい」
「うん!だからもう大丈夫~!!」
「久しぶりで勢いつきすぎちゃった」
ハッピーたちはルーシィを持ち、上昇する。エルザはそれを見て驚く。
「こ・・、これは・・・一体・・・その女は、女王様の命令で抹殺せよと・・・」
「命令撤回よ」
「し・・・しかし、いくらエクシードの直命でも、女王様の命令。覆す権限は、ないハズでは?」
「う・・・」
「ヤバイ・・・」
エルザにそう言われたハッピーとセシリーはどうすればいいかわからず、シャルルの方を見る。
それを見たエルザはシャルルを睨む。
「その女を、こちらにお渡しください」
「頭が高いぞ、人間」
「「?」」
突然腕を組み、エルザを見下ろすシャルルにハッピーとセシリーは驚く。
「私を誰と心得る!?私は、女王シャゴットの娘、エクスタリア王女、シャルルであるぞ」
「「「「!!」」」」
突然のシャルルの告白に、四人は唖然とする。
エルザはそれを聞き、素早くシャルルの前に膝をつく。
「はっ!申し訳ありません!!」
ハッピーたちは、あまりにも突然すぎて、シャルルを見てポカーンとしている。
そんな中、シャルルは一人冷静にエルザに質問する。
「ウェン・・・二人の滅竜魔導士はどこ?」
「に・・・西塔の地下に・・・」
「今すぐ解放しなさい」
「それだけは、私の権限では、なんともなりません」
「いいからやりなさい!!」
「はっ!しかし・・・」
「エルザ!!」
シャルルが怒鳴り、なおもエルザが抵抗しようとすると、その横からエルザを呼ぶ声がし、エルザはそちらを向く。
「その三人のエクシードは【堕天】だ!!エクスタリアを追放された者どもだ!!」
リリーが兵隊を連れて、エルザの元にかけてくる。それを見たルーシィたちは、
「何あいつ!!あんたの仲間!?」
「違うと思う!あんなゴッツイ奴、エクシードにいなかったよ!!」
「でも人間にも見えないよ~!?」
「逃げるわよ!!」
リリーの風貌に、あっけにとられる。しかし、自分たちが堕天だとバレたため、シャルルたちは急いで逃げる。
エルザはシャルルたちに騙されたことを知り、地面を殴って怒りを露にする。
「く・・・おのれ~!!」
『全兵士に通達!!堕天が囚人を連れて逃走!!青毛と白毛と茶毛のエクシードは堕天である!!見つけ次第抹殺せよ!!』
王国軍は全兵士に司令を出す。しかし、シャルルたちはすでに逃げていたため、そのアナウンスを聞き取ることはできなかった。
「ありがとう、三人とも」
ハッピーとセシリーに掴まれ、ルーシィは三人を見ながらお礼を言う。
「怒ってないの?」
「え?何を?」
「捕まったのは、私たちのせいだし・・・」
シャルルがルーシィを見ながら言うと、ルーシィは少し笑いながら答える。
「でも、こうして助けてくれたじゃない。ね?ハッピー、セシリー」
「ごめんねルーシィ」
「ごめんなさい~・・・」
「だからぁ、全然怒ってないってば!」
暗いハッピーとセシリーにルーシィは優しくそう言う。
「それよりあんた・・女王様の娘って方が驚きなんだけど・・・」
「オイラも知らなかった」
「プッ」
ルーシィとハッピーが先程のシャルルの言ってたことを聞くと、セシリーが吹き出す。
「何セシリー?」
ルーシィはセシリーに問いかける。
「どうせ、シャルルのウソでしょ~?」
「当たり前じゃない」
「「え!?」」
シャルルに言われてルーシィとハッピーは驚く。その後、ハッピーは少しにやけながら、シャルルの顔を見つめる。
「その顔何よ?ハッピー」
「ううん。いつものシャルルだなぁ、て思って」
「実は腹黒いシャルルね~」
「うるさいわね!!」
(あれ?今ハッピーって・・・)
ルーシィはシャルルがハッピーを呼ぶときの呼び方が変わったことに気付き、セシリーを見る。セシリーはその視線に気づいてニッと笑う。
「そっか」
ルーシィは、シャルルとハッピーがようやく仲良くなれたのだと知り、笑みをこぼす。
「それより、早くウェンディとナツを助けにいくわよ」
「どこに?」
「西の塔よ」
「そこの地下に二人がいるって言ってたよね~」
「そうね」
するとシャルルは、ルーシィが笑っているのが目に入る。
「何笑ってるのよ?ルーシィ」
「別に~!ん?」
ルーシィが何かに気付き、ハッピーたちもそちらを見る。
「あれじゃない?西の塔って!」
「そうみたいだね~」
ルーシィが西の方角に、他の塔よりも大きな塔を見つける。ハッピーたちはそこに向かって飛んでいく。
西の塔に向かっている最中、ハッピーたちの後方から、何か音が聞こえる。
「何!?この音・・・」
ルーシィがその音のする方を振り返る。そこにいたのは・・・たくさんのエクシードたち!
「見つけたぞ!!堕天ども!!」
「うわ!!猫がいっぱい!!」
エクスタリアの近衛師団はハッピーたちを見つけると、一気に加速して追いかけてくる。
「空中はまずいわ!地上におりましょう!!」
「うん!!」
シャルルの指示に従い、ハッピーたちは下降しようとする。しかし・・・
「待ってシャルル!!地上にも敵が・・・」
ハッピーの言う通り、地上には王国の魔戦部隊長五人を含む、大量の兵隊たちがハッピーたちを待ち構えている。
「ルーシィ!星霊魔法は!?」
「このベトベトが、魔法を封じてるみたいなの!」
ルーシィはそういって自分の手を塞いでいるものを見せる。
四人は空中にも地上にもいる敵に対し、どうするべきかな対策が立てられないでいた。
「これは一体何事だ?」
城の中からその様子を見たファウストが言う。
「堕天を追って、エクスタリアの近衛師団が、追いかけてきたようですぅ!」
ココがファウストのそばを走り回りながら言うと、ファウストは近衛師団を、眉間に皺を寄せ、体を震わせながら何かを考えている。
「コードETD!!発動せよ!!」
ボォ~オオプオオ~オオ
ファウストが叫ぶと、王国軍はほら貝を吹き始め、城の屋上に赤い旗が上がっていく。
「コードETD!?」
「こんな時に!?」
「何を考えているのだ!?」
魔戦部隊長は旗を見て驚きの声を上げる。その間にも、王国軍は何やらライトのようなものの準備を着々と進めている。
「国家領土保安最終防衛作戦・・・発動か・・・」
シュガーボーイが顎に手を当て、その様子を見ている。
「建物の中に入るのよ!!」
「そっか!!」
「急いで~!!」
シャルルたちは建物の中に兵隊たちがいないのが見え、城の中に急いで向かう。
「コードETD!発動!!」
兵士の一人が叫ぶと、屋上に設置されたライトの光が、ルーシィたちとは違う方向に向かっていく。その先にいるのは・・・エクスタリアの近衛師団。
光を浴びた近衛師団は、皆苦しみ悶える。
「何の真似であるか!!人間ども!!」
苦しみの中、ニチヤが王国軍に向かって叫ぶ。
シャルルたちはそれを見て目を見開く。
「何でエクシードの方を!?」
「どういうこと!!人間にとってエクシードは、天使や神様のような存在でしょ!?」
「つまり、反乱ってこと~!?」
「・・・よくわからないけど、今はこの混乱に乗じるのが得策みたいね。今のうちに、ウェンディたちを助けに行くのよ!!」
「うん!!」
「あい!!」
シャルルたちは誰もいない城の中に気づかれないように侵入する。
しかし、魔戦部隊長、エルザとシリルがその姿を見ていた。
「エルちゃん!堕天が囚人連れて中に入ったぞ!!」
「わかってる!!西塔に向かうはずだ!!守りを固めろ!!」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」
エルザが兵隊たちを連れて建物の中に入っていく。
その間にも、光を浴びた近衛師団たちは、少しずつ形が変わっている。
「おのれ人間ども・・・女王様が黙っておらんぞ!!メェーーン!!」
ニチヤはそういい残し、近衛師団は巨大な猫の形の魔水晶に変わり、地上に落ちた。
王国軍はその魔水晶を見て、皆不安になる。しかし、ファウストが兵隊たちを落ち着かせるように、言い放つ。
「この世に神などいない!!我ら人間のみが有限の魔力の中で苦しみ、エクシードどもは無限の魔力を謳歌している。
なぜ・・・なぜこんなにも近くにある“無限”を我々は手にできないのか。」
王国軍はファウストの言葉に静かに耳を傾ける。
「支配され続ける時代は終わりを告げた。すべては人類の未来のため、豊かな魔法社会を構築するため、我が兵士たちよ!共に立ち上がるのだー!!
コードETD、【エクシード・トータル・ディストラクション】!天使全滅作戦を発動する!!」
「「「「「「「「「「オオッ!!!」」」」」」」」」」
ファウストの言葉に、王国軍は拳を掲げ、歓声を上げる。
「こりゃあスッゲェことになったな」
「ああ。まったくだな」
「ん~~、是非もなしってことかな?」
「軍備強化は、このためだったのか・・・」
ヒューズ、シリル、シュガーボーイはそれぞれの顔を見て笑い、リリーは一人、歯を噛み締める。
「エクシードの魔力を奪えば、我が国は永遠の魔力を手に入れることができる」
「陛下!女王の攻撃がきますよ!エクスタリアの軍事力はとてつもないんですよ!」
王国軍を城から見下ろすファウストに、ココがあたふたしながら言う。しかし、あくまでファウストは冷静だ。
「この時のために、滅竜魔導士を捕らえてあるのだ。神を堕とすのは今しかない。急ぎ滅竜魔法を抽出せよ!!バイロ!!」
ファウストの指示により、バイロがウェンディとナツから魔力を奪う準備を始めた。
西の塔、地下へと向かう階段にて・・・
「なんか、大変なことになってきたね」
「まさか人間とエクシードが戦争を始めるなんて」
「なんでそんなことするのかな~」
「私たちには関係ないことよ。どっちもどっちだし・・・勝手にやればいいのよ」
シャルルたちは階段を走り、地下へと向かいながら話している。
ドカッ
「!!」
「きやっ!!」
「うわっ!!」
「ひゃっ!!」
ウェンディたちを探していたシャルルたちの前に、いきなり槍のような武器が突き刺さり、四人は倒れる。
「この先には行かせんぞ」
その武器を投げたのは、エドラスのエルザ。
「まったくもう!あたしたちに興味なくしたんじゃなかったの!?」
「フッ」
「え!?」
エルザが笑うと、地面に刺さっている槍が光り、
ドコォォン
「あああ!!」
「うあっ!!」
「きゃあ!!」
「うわぁ!!」
爆発を起こしてルーシィたちを吹き飛ばす。
「うう・・・」
「ほう・・・私の魔法をまともにくらって、まだ生きているのか。だが、これで終わりだ」
エルザは武器を拾い上げ、ルーシィに歩み寄る。
「きゃあああああ!!」
すると、遠くからウェンディの声が聞こえてくる。
「ウェンディの声・・・」
「近くに・・・いる・・・の~・・・?」
「あんたたち・・・ウェンディに何してるの・・・」
「コードETDに必要な魔力を奪っているんだ」
エルザはルーシィたちを見下ろしながら答える。
「あああああああ!!」
なおも大きくなるウェンディの悲鳴。
「ウェンディ~・・・」
「や・・・やめて・・・」
「きゃあああああ!!」
「やめなさいよ!!」
シャルルとセシリーは涙を流してエルザを睨む。エルザは二人に近づいていき、槍を構える。
「気にやむな。どうせお前はここで死ぬ」
「ウェンディ~・・・」
「ウェンディを返して!!」
シャルルとセシリーに対し、エルザが槍を降り下ろそうとしたとき、ハッピーが二人の前に手を広げて立つ。
「シャルルとセシリーは・・・やらせない・・・やらせないぞ!!」
エルザはそれに、一瞬驚くが、すぐに笑みを浮かべる。
「ならば、お前からだ」
エルザが槍を振り上げ、ハッピーに向かって降り下ろす。
「やめて~!!」
「ダメーー!!」
セシリーとシャルルは叫び、ハッピーは目を閉じて来るべき痛みを待つ。しかし、
ドッ
「「「「「「「「「「うあああああああ!!」」」」」」」」」」
「!!なんだ!?」
エルザは後方から聞こえた音に気をとられ、後ろを振り返る。そのタイミングで、エルザを脇を一つの人影がすり抜けて、ハッピーたちを抱えてエルザから距離を取る。
「なっ・・・!!」
エルザはその三人抱えた少年と、後方で宙に舞う王国軍を交互に見る。
「オイコラ・・・てめぇら」
「こいつら・・・俺たちの家族だと知ってて手を出したのか?」
王国軍の後ろの男とハッピーたちを抱えた少年が言う。
「ギルドの仲間に手を出した者を、私たちは決して許さない!」
「どうして・・・」
「あんたたちが・・・」
王国軍の後ろにいる二人を見て、セシリーとシャルルは目を疑う。
「てめぇら全員、俺たちの敵ってことになるからよぉ」
「妖精の尻尾のな!!」
その三人を見て、ルーシィは顔を緩ませ、三人の名前を呼んだ。
「グレイ!!エルザ!!シリル!!」
三人は怒りに満ちた表情で、王国軍を見据える。
後書き
いかがだったでしょうか。
この話のハッピーかっこよすぎて泣けてくる・・・(涙)
やっとシリルが帰ってきました。
次回にエドラスのシリルの魔法が出てくる予定です。
次回もよろしくお願いします。
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