EFFECT
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ホグワーツ魔法魔術学校 2-1
朝だ。
今日から、ホグワーツ魔法魔術学校の生徒となる。
寮生を免除された俺は、校内の隠された部屋の一部で暮らしている。今、校内にいる生徒は俺だけだ。
入学を祝う為の宴は夕刻を過ぎてからになる。どんな子供達が来るのだろうかと考え、リズを傍らに呼んだ。
ああ、リズはこの間の蛇の名前である。
性別が雌である事は分かっていたし、どうせ長く付き合うのだからと可愛らしい『リズ』という名前にしたのだ。
だいぶ昔に赴いたことのある世界の狙撃手の名前を拝借させてもらった。あの人は、可愛らしいというより美人だったか...。
さて、昼過ぎまでリズと話し込む前に朝食にしよう。
出来上がった物は、ドロッとした緑の液体。
なんてことはない。只の野菜ジュースだ。ちょっとばかり魔法を使って五倍くらい凝縮してあるが...。
これを更に凝縮させ、小さな錠剤をいくつも作り出す。
......よし。これでいいだろう。
こんな事をしている理由は、腹を満たす為だ。いつでも、どこでも、好きな時に腹を満たす為の代物だ。
本来ならば食事など摂取せずとも生きていられる体だが、腹が減らない訳ではない。そして、俺はリズと違って大喰らいなのだ。
成人男性の一日分の摂取量が、俺にとってはオヤツ感覚でしかない。以前訪れたことのある世界でも驚かれたくらいだ。
この世界では、一日に摂取出来る時間が少ない。と言うのも、一日の大半を授業を受けて過ごすからである。まあ、俺自身は何の影響も受けないが、周りの生徒達はどうだろうか。「腹の虫の音で集中出来ない」などと暴行されそうになるのではないだろうか?
そんな事にはならないようにしなくては。
人殺しで退学だけは免れたい。
一粒、口へ放り込み胃へ流す。
「ごちそうさまでした」
うん。味も悪くない。腹も膨れた。満足だ。
さあ、リズと話し込むとしよう。彼女の生まれ故郷の話。家族の話。鱗の秘密。......年齢? いくら動物と言えど、女性に年齢を尋ねるのは失礼ではないか?
リズとの会話を楽しんでいる中、突然部屋をノックする音が響いた。この部屋の事を知っているのは、俺以外には爺様と数名の教師くらいしかいない。
「今行く。少し待て」
まあ、こんな事言っても、外側には何も聞こえないのだがな。
扉まで近付くがリズが警戒していない。つまり、扉の向こう側の人間は敵ではないということだ。
扉を開くと、そこには予想通りの人物がいた。
「準備は万端かの?」
「何の用だ、爺様」
「うむ...。一つ伝え忘れていた事があっての。今夜の宴の席で、お前さんには余興をしてもらう事になっておる。今の内に考えて...」
「余興...? まあ、構わんが。何でもいいのか」
このジジイ...。俺が焦る姿を見たかっただけだろう。
その手には乗らん。余興が見たいと言うのであれば、見せてやろうじゃないか。
俺がすんなりと承知すると、爺様は少しつまらなそうに「頼む」と呟いて姿を消した。
さて、どんな余興にしてやろうか...。
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