我輩は逃亡者である
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番外編
番外編 宇宙キタ!
「くーちゃん、地球は丸…丸っぽい楕円だった」
「いえそこはもう地球は丸かったでよくないですか…?」
「だよね、ぶっちゃけほとんど丸にしか見えないし」
「そういえば束様が見当たりませんがかーくんさん知りませんか?」
「宇宙つくなりテンションMAX、宇宙キタァーー!!とかいって外いったよ」
いつもの格好のままスラスターみたいなのだけ出して。
なんか束さんほどの力があればISの手足なぞ飾りでしかないのだ!とか言いつつ飛び出していった。そのうち帰ってくるだろう。
「相変わらずですね束様は…拾ってくださったときから変わりません」
「あー変わらないねぇ、あれでこそ束先輩だけど」
「あ、それは私もそう思います。楽しそうに笑ってバカやっててくださるのが一番落ち着きますね」
「バカやっててくれるのがいいね」
「ええ、バカが一番です」
バカじゃないよ!?とか聞こえてきた気がするけど気のせいだろう。束先輩はバカだもん、気持ちのいいバカ。
おれは頭の足りない馬鹿だけど、くーちゃんはそうでもない。強いて言うならそれは言っちゃいけねぇよバカ!って時があるだけ。因みにマドッチ、オータムさんはアホの子だと思う。
「変わらないと言えば私たちも変わりませんね」
「そーだね、初めて会ったときからこんな感じだったもんね」
「何か波長というかなんというか」
「息のようなものが合う気がしたんだよね」
「ツーといえばカーと言うような…ぬるぽといえば」
「ガッ」
「と返してくださるような感じですね」
ねえ?確実に3ちゃんねる知ってるでしょ?見てるよねくーちゃん。
「前までは束様以外と過ごすなんて考えもしませんでしたがこれはこれでいいものですね」
「そもそもくーちゃんは他人と会う機会自体なかっただろうしね、コミュニケーション能力は低くないんだし機会さえあれば普通に友達出来そうだよ?」
「そうですかね?かーくんさんは逃亡し始めるまではどうだったんですか?」
「そうだよマドッチも友達になれたじゃん…え、おれの逃亡まで?」
「はい」
えっ、え?どうしてたっけ…た、田中いや田辺?くんとかと話してたかな?
…逃亡をし初めてわかる衝撃の事実。おれ名前覚えられるほど付き合いある友達いなかった。
「あの…どうされました?急に外を眺めつつ遠い目をされて…」
「うん、なんでもないよ。ただくーちゃんほど仲良くなれた人は初めてだなぁって」
「そうですか友好関係の広さは知りませんが浅い人間関係だったんですね」
「うっ…た、確かにね」
「…ですがかーくんさんにとって一番仲の良い人であることはなんだか嬉しいですね」
おお…そう思ってもらえることはこちらとしてもかなり嬉しいよ。くーちゃん可愛いし、今までこんな娘と知り合うこと…いやそれ以外でも親しくなる人なんていなかったし。あれ?気づいてないだけでぼっちだった?
「おれもだよ…うん、くーちゃんに会えてよかった」
「はい。それで、あの…」
なにか言いづらそう。というより照れて見える、めっさ可愛い。カメラどこかな?店員さんお持ち帰りで!
「うん?」
「ずっとこのままいれるといいですね」
「うん、そうだね。今は楽しいしこれからはもっと楽しくなると思うから。そう思うとISを動かせて逃亡を始めてよかったと思うよ」
「ええ、ISを動かせるのに逃亡を始めてくださってありがとうございます」
「こちらこそありがとう、このままずっと一緒にいれるといいよね…」
「はい…」
「束先輩とくーちゃんの三人で」
「束様とかーくんさんの三人で」
「なんでだよ!?」
うおっ!?束先輩帰ってきてたんだ。え、覗いてた?なら声をかけてくれればいいのに。
「何だか二人が良さげな雰囲気だったから気を使ったんだよ!」
「…?」
「…?」
「ああもう!二人とも同じ反応しやがって!会えてよかったとかずっと一緒にいれるといいとか言ってたじゃんか!くーちゃんなんてはじめ照れ臭そうにさ!」
「そう思ってますし言いますとも」
「改めて言うには少し恥ずかしかったので…」
「はぁ…覗いてる分には告白シーンみたいだったよ?」
告白シーンだなんて…宇宙船で外の星を見つつ会えてよかった、これからも一緒にいたいって言ってただけなんだけど。あ、なんかかなりロマンチックな感じになってる。そんなシーンで告白されたらおれ惚れそうだよ。
「告白シー…ッ!」
「あ、くーちゃん!」
「あら?くーちゃん?」
束先輩が告白シーンとか言うからくーちゃんが顔を真っ赤にして走り去っていってしまった。えーと
「ちょっと見てきます。束先輩いつもされてるからってからかい過ぎは駄目ですよ」
「え、あ、うん。行ってきて…別にからかった訳じゃないんだけどなぁ?むしろかーくんは何でそんなに普通でいられるのか私は疑問だよ…」
くーちゃんどこだー、仕返しに束先輩一緒に弄ろー!
「なんてこと言いながら探すのさ!?」
▽▽▽▽
「あ、くーちゃん見っけ」
「ヒッ!」
「その反応は正直今までで一番傷つくよ…」
悲鳴をあげられそうになるとは。もしかして恥ずかしかったので逃げたとかじゃなくてあんなこと言われたのが嫌すぎて逃げた…!?
「ちょっと生身で宇宙にダイブしてくる」
「違っ、驚いただけなんです!かーくんさんが探しに来るとは思わなかったので!」
「いや気にしなくていいよ、うん。大丈夫おれは極めていつも通りだよ。いつも通り宇宙にダイブしてくる」
「いえ、奇行はある意味いつも通りですが生身で宇宙に飛び込むのはどう考えてもおかしいですよ」
「だよね…落ち着いた?」
「あ…はい」
ならよかったよかった、まあ初めは結構本気でいったんだけどね!
「それで…!あの、あれは告白とかそういうのではなくて!その…」
「うん」
「そういうことは考えず本当にこのまま居れたらいいなと思ったので。あ、ああいう風にいったので…」
「わかってるよ。そんなこと言ったら告白したようになってるのはおれもだよ、まあくーちゃんのことは好きだけど」
「…ッ!?私も、好き…です。かーくんさんはよく真っ正面から真顔で躊躇いなく言えますね」
「恥の感情が家出したまま帰ってこないんだ」
「私はこの頃その感情がやってきて戸惑ってますよ…」
「ならおれに別けておくれ」
「いーえ。これは私の感情、気持ちです。いくらかーくんさんや束様でも別けれません」
そう言ってくーちゃんは微笑んだ。そっか、うん。それはいいことだと思う。くーちゃんは普段感情を見せにくくしてる感じだったけどこの頃は表情がコロコロ変わってるから見てる方もしても和むし。
「じゃあ束先輩のとこに戻ろうか」
「そうですね…束様にもこの気持ちぶつけます」
「よし好きだ好きだって言ってやろう。あの人自分から言うのは慣れてそうだけど言われるのは慣れてなさそうだしね」
「はい、先ほどの仕返しです。倍返しです」
――その後
「束様大好きです!このまま暮らしたいです!」
「束先輩好きだよ!ずっと一緒にいよう!」
「えっ、えっ?二人とも急にどうしたの!?」
「好きです」
「好きです」
「え…あの二人とも落ち着いて。まっすぐ目を見て真顔で言われるとさすがに束さんも恥ずかし…」
「いつも明るいところが。面白い発明をしてくださるところが。私たちといてくださる束様が大好きです」
「いつも笑ってるところがいつもふざけてるようでおれたちのことも考えてくれる束先輩が大好きです」
「あ…あう、その…私も二人とも好きだよ!大好きだよ!」
「やりました!かーくんさん!今の音声録音できました!」
「よっしゃ!編集して[100分耐久束先輩の二人とも好きだよ!大好きだよ!]をつくるぞ!」
「ぎゃにゃぁぁぁぁぁ!?なんてことをしてくれてるのさ!?か、かーくんの音声だってあるよ!」
「はぁ…?好きなだけ編集してください、面白いの期待してます」
「ああ!かーくんは恥ずかしがらないんだった!?ならくーちゃんに…もういない!?」
その後宇宙船内では束先輩の好きだよ!大好きだよ!という音声が無限ループで流れた。束先輩は顔を真っ赤にしつつ音声を止めにいったのであった。
――本当に束先輩、くーちゃんの二人と過ごせることは楽しいし幸せであると思う。
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