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我輩は逃亡者である

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第二章 世界からの逃亡者三人。
  19.ハジメテノオツカイ

さて、また来てしまった。今度はくーちゃんがいるんだけどね、一人だとぶっちゃけ悲しいしよかった。


「かーくん、くーちゃんお使いに行ってもらえないかな?」
「わかりました束様」
「んーどこにですか?」
「IS学園」
「……さらば!」
「束さんからは逃げられない!とうっ!」

▼翔は逃げ出した!!
▼しかし束先輩に回り込まれた!!

この先輩……頭上飛び越えて来やがった!?ロングスカートだし中身が見えない!良いことなしじゃん!

「ちょっ!?人の頭の上バク転しながら飛び越えて逃げ道塞ぐな!てかIS学園とか行かないから!」
「いやいや、落ち着いてよかーくん。今回は一人じゃなくてくーちゃんも一緒だしそうそう見つからないよ」
「寧ろくーちゃん連れて行かせることに抵抗はないんですか?」
「あるけど前言ってた今作ってるものを使うための仕上げに必要なんだよ」
「ああ……あれですか、わかりましたよ。行こうかくーちゃん!二人でお出掛けだよ!二人で!束先輩をほっとて!デートだね!」
「そうですね、行きましょうかかーくんさん」
「かーくんなんで束さんハブってるみたいに言うのさ!?」

いや、束先輩の目が少し真剣っぽかったのでいつもの空気にしてから行こうかと。

「まあ、楽しみにしてますよ」
「うん、かーくんもくーちゃんも心の底から楽しめるはずだよ!」
「心待ちにしております。では行ってきます束様」
「いってらっしゃーい!気をつけてね!」



▽▽▽▽



そうして三度IS学園まで来たのだが……なんでマドッチもいるの?

「いや、前に復讐を手伝ってもらったからな。私も暇だから手伝おうかと」
「いい子すぎるぞマドッチ……でくーちゃん束先輩は何を盗って、取ってこいと?」
「IS学園地下にある暮桜のコアを取ってきてもらいたいと仰ってました」

へー暮桜ってISのコアねぇ。え、結構これヤバい?
……ん?なにマドッチ、私のISも盗って……借りてきたやつだから気にするな?
ならいいか、くーちゃん曰く後でまた返すみたいだし。

「それでは行きましょうか」
「おー!さっさと終わらそう!」
「いざというときは私のISで逃げるか」




……くーちゃんのISの力で周りの意識に入らないようにしてIS学園に入り込んだのはいいけど、学園に入る手前で特殊部隊みたいな格好した人たちが捕まっていた。

「あれなんだったんだろうね?」
「学園に侵入しようとして捕まったのでしょう、以前よりセキュリティが上がっていたみたいですね。束様特製のステルス玉には反応しませんでしたが」
「あんな白昼堂々軍人コスプレして女子高に侵入しようとか気持ち悪いやつらだな」
「流石におれも引くわー……まああんなの別にどうでもいいし早く取るもの取って帰ろうか」
「そうですね、早くいきましょう」

――途中料理を食べて泡吹いて倒れてる織斑一夏を見かけてマドッチが笑いそうになった。
……がドンドン顔が青くなるのを見て笑えなくなっていた。近くにいた他の娘たちに彼の生死がかかっているのだろう、強く生きてほしい。




▽▽▽▽



その後無事誰にも気づかれることなく地下へと侵入、コアをgetしたのであったが

「無事ゲットできてよかったよかった」
「そうですね、マドカさんのISで緊急離脱ということがなくてよかったです」
「まあ私からしたら仕事がなかったのだがそれはそれでよかった」
「いやー怖いぐらいすんなりいった、初めてじゃないかなこんなの?」
「ほう、そうか残念だったな。その初めてはお預けだ」
「え?」
「え?」
「え?」

――後ろを振り返れば背後に修羅を携えた世界最強ブリュンヒルデ……織斑千冬がいた。

「うぁぁぁぁぁぁあああ!?」
「アホの特殊部隊がセキュリティにかかってようやく侵入者を阻止できたと思ったら貴様らのような鼠が入っていたとはな」
「くっ、ワールド・パージ!」
「こい!サイレントゼフィルス!」
「逃げるぞくーちゃんマドッチィィィィ!!」

くーちゃんのワールド・パージで時間を稼ぎマドッチのISで逃亡しようとしたのだが……

「ふっ、大気成分を変質させ幻影を見せる能力か……確かに凄いが、私には効かんぞ!」
「なっ!?」
「マジ理不尽だ!」

ワールド・パージが発動してるとは思えない…というか言葉通り効いてないのかまっすぐこちらへ向かって…せめてくーちゃんの盾に……え?

「ちょっ、ガードすり、抜け……っ!マドッチ頼んだぁぁぁ!ごぱっあ!?」
「む、飛ばしすぎたか……」

蹴りがガードしてた腕すり抜けてきた!?そのまま自分が海へとブッ飛ばされたって現実が現実として思考に追い付かない……!




▽▽▽▽




「に、逃げるぞクロエ!ステルス玉の準備を!」
「ええ!海へ行ってくださいマドカさん!」
「逃がすか!フンッ!!」

――そういって点火直前のスラスターに千冬がまるで砂糖菓子のように蹴り抜いたコンクリートが散弾のように直撃し……左スラスターが爆ぜた。

「なんてチート系姉さんだ!?」
「バリアーシールドはどうなってるんですか!織斑千冬が放つ攻撃には零落白夜が常に発動してるとでも!?」
「チッ、狙いがずれたか。次は外さん」

そのことにマドカとクロエが驚き錯乱しかけてる間に千冬は無情にも再度蹴りによるコンクリート散弾を放とうとしていた。

「く、クロエ!このまま海に突っ込むぞぉぉぉ!」
「はい!直撃したらスラスターどころか死にます!あれは束様しか対応できませんッ!」
「フンッ!!」
「うぉぉぉぉああああ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

千冬から放たれたコンクリート散弾第2波を片スラスターでバレルロールのような軌道で紙一重……もとい運よくかわして海へと突っ込んだマドカとクロエであった。




▽▽▽▽




織斑さんの理不尽キックにより海へブッ飛ばされた沈んだおれだったが息継ぎをしようと海面へ向かう途中マドッチがくーちゃん抱えながら海中を突っ切ってきた。

「ごぽぉぉぉ!?……ん?マドッチに抱えられたら息ができるように、ISの機能か。にしてもマドッチ、背中の翼片方壊れてない?」
「姉さんだ!地面のコンクリートを蹴りでぶち抜いて散弾のように撃ってきたんだ!」
「しかもガードどころか防御貫通です!あれは人なんですか!?」
「うわぁ……ホント理不尽だ。チート過ぎて正面からの対決とか束先輩呼ばないとヤバい」
「取り敢えずこのまま海中を使って逃げるぞ!」
「はい既にステルス玉はオンにしてます!に、逃げ切れてよかったです……ワールド・パージを完全に無視されるとは予想外でした」

……一人だったらホントに無理だった、前におれ10人いたら何とかなるかもとか束先輩言ってたけど99人が肉壁として盾となってもトイレットペーパーを濡れた拳で貫くが如く残り一人のおれを捕らえるだろう。もう追われたくない相手No,1である。


――こうして無事暮桜のコアを取り……命からがら逃亡を果たした3人であった。 
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