病でも元気
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第五章
「実は」
「ああした風になるんですか」
「応援の時は」
「そうなのです」
こう看護師達に話した。
「ついつい」
「いつももの静かと思っていましたけれど」
「そういう一面もあるんですね」
「先生にも」
「そうなんですね」
「はい、恥ずかしいので隠していました」
そうしたことがわかるとだ。
「ですから」
「いや、別に」
「誰でもファンになればそうですから」
「普通にああしてはしゃぎますよ」
「私もそうですし」
「私もですよ」
看護師達はテディーに口々に言ってそうしたことはと答えた。
「別に」
「そんなに気にされることないですよ」
「誰でもそうですから」
「それこそ」
「だといいですけれど」
テディーは彼女達の言葉を受けて幾分か気を取り直した感じになった、だが話はこれで終わりではなく。
むしろこれからだった、看護師達はテディーにこのことも問うた。
「ただ。先生は」
「お身体弱いですよね」
「心臓が」
「そうですよね」
「はい、そうです」
その通りだとだ、テディー自身も答えて認めた。
「そのことも子供の頃からです」
「それではしゃがれるのは」
「危ないんじゃ」
「試合会場でも言いましたけれど」
「心臓に負担かかりません?」
「大丈夫ですか?」
「少し位ならいいとのことなので」
こう返したテディーだった。
「そちらのお医者さんに言われました」
「あっ、はしゃぐ位ならですか」
「大丈夫なんですか」
「それ位なら」
「いいんですね」
「はい、診察でそう言われました」
だからだというのだ。
「ああした応援もです」
「短いとですか」
「いいんですか」
「確かに激しい運動は出来ません」
テディーはまた自分のことを話した。
「心臓に負担がかかるので」
「だから、ですね」
「激しい運動は、ですね」
「無理ですね」
「そうです、ですから体育の時間もです」
それもというのだ。
「子供の頃からです」
「そうですよね」
「激しいスポーツは」
「けれど応援はですか」
「短い時間なら」
「そう言われたので、せめてもと思いまして」
スポーツ観戦を楽しみにして、というのだ。
「楽しみにしています」
「そうだったんですね」
「それで、ですか」
「ああしてフェンシングの観戦も」
「楽しんでおられたんですね」
「そうでした、ですが見付かるとは」
またこのことについて言うテディーだった、それも気恥かしそうに。
「困りました」
「あっ、言わないですから」
「誰にも」
「私達だけのことにして」
「内緒にしますから」
「このことは約束します」
看護師達は口々にテディーに約束した。
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