インフィニット・ストラトスGM〜天空を駆ける銀狼〜
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やっと取り戻した普通の日常
「出血性ショックだと?」
「そうみたいですね」
とあははと苦笑いしている那珂の頭を軽くはたいてから、椅子に腰を掛ける。
「しかし、織斑先生がお見舞いに来てくれるなんて珍しいこともあるんですね」
「なんだ?私が来たら何か不満か?」
「いえいえ」
那珂は全力で否定しながら、私を見つめる。
どうやら、私が言いたいことが分かっているようだ。
☃☃☃
「………」
どうしよう、どうしよう。
思わず、お見舞いに来てしまったけどどうすればいいか分からない。
「シャルル?そこで何をしているんですか?」
「ひぃあぁあ!!」
「なんて悲鳴あげてるんですか……」
そう言って、笑う優里はいつもの優里で。僕はほっとする。
「お見舞い来てくれたんですね。ありがとうございます」
ぺこりとお辞儀する優里はベットから僕に手招きする。
「今日はたくさんの人がお見舞いに来てくれました。いやぁ〜〜私ってそんなに人望あったんですね……」
「いや。人望っていうか、ただただみんな優里が心配だったんじゃないかな?」
「心配……?」
「なんで、そこで不思議そうな顔するのさ……」
その後、世間話を少しして僕は保険室を後にした。
☃☃☃
数日後、無事 怪我も治ったとの事で私は授業に出ていた。教室に入るとクラスメートに囲まれ キャーキャーと黄色い声を出しながら 祝福された。ベタベタ、身体を触られ やっと離された時には次の授業まで五分前だった。自分の席について、教科書を出して眺めていると
「那珂 優里」
「?」
呼ばれて、後ろを振り返ると
「ん……」
胸倉を掴まれて、唇を奪われた。目を白黒させている私にその人物はグイグイと私に近づいてくる。
「????」
「んっ」
「……」
唇を離した人物は絶句の私を指差して、宣言した。
「お、お前を私の嫁にする!」
「はぁ……。………………、はぁ!?」
驚きと戸惑い、少し羞恥心で複数の変な顔を作りながら 私は素っ頓狂な声を出す。
「いやいや。私達、女同士ですし」
驚きが少なくなるとなんとかツッコミを入れることが出来る。しかし、相手はそんな事関係なしで。
「関係ない」
と一喝するくらいである。
「………………………………」
「……」
私は後ろに感じるどす黒いオーラに恐怖を感じる。振り向きたい衝動に駆られるがその衝動に従ったら、大変なことになりそうだ。
「………ねぇ……、優里…………」
「……」
(声がいつもより低い気がするんですが……)
私は壊れたロボットのようにゆっくり振り返るとそこには満面の笑顔を浮かべたシャルルが立っていた。その笑顔につられて、此方も笑うがこの状況はどうにもならないらしい。
(目が笑ってない、目が笑ってない、目が笑ってない!)
「優里って、他の女の子の前でキスしちゃうんだ。僕、知らなかったな」
「………その、シャルル?これは不可抗力っていうか。それに私とボーデヴィッヒさんは女同士ですし……それより、なんでISを起動しているんですか?」
女同士の所で笑みが深くなった気がする……。気のせいですよね……多分……。
「さぁ?どうしてだろう?」
右腕の盾がパージされ、それに隠された【盾殺し】を見て 冷や汗をダラダラ流す私。
こちらを向くのを確認するとこちらもISを展開し、逃げる。
(分からない……分からない……、乙女心って分からない……)
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