八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十二話 テスト勉強その十
「オウム真理教、麻原彰晃絶賛してたから」
「あいつを!?」
「あの麻原を」
「オウムを」
「そうだったよ」
「そうだよ、麻原を最も浄土に近い人とかね」
言っていたというのだ。
「もうその時の言ってること酷いから」
「いや、それないよ」
「アレフでしょ、オウムって」
「麻原ってずっと裁判やってるけれど」
「あいつはないでしょ」
「浄土とか」
皆顔を顰めさせて言う。
「信者にはまずいもの食べさせて」
「自分はメロンでしょ」
「あとはパーコー麺」
ロイヤルホストの人気メニューだ、醤油ラーメンの上に豚カツを乗せたボリュームのある麺である。僕も好きだ。
「それに愛人もいて」
「何人も子供作ってるんでしょ?」
「お金にも汚くて」
「宙吊りの部屋に隠れてね」
そうして警察から隠れていたらしい。
「それの何処がね」
「浄土に近いのよ」
「煩悩全開だろ」
「全然聖者じゃねえよ」
「もう屑」
「完全にな」
皆言う、そしてだ。
小山田君もだ、難しい顔でまた言った。
「皆そう思うから」
「普通はな」
「そうよね」
「何処が聖者だって」
「解脱者だってな」
「思わないだよ」
「宗教家とも」
本当に皆あの男にはこう言う、僕にしてもあの男は宗教家ではなく詐欺師それもかなり悪質なそれにしか思えない。
「サリン撒いてね」
「弁護士一家も殺して」
「信者の中でも殺してるし」
「クーデターも考えてて」
「権力志向も強いし」
「とんでもない奴だろ」
誰がどう見てもというのだ。
「それこそ」
「それでもだよ」
ここでまただ、小山田君は言った。
「吉本隆明はあいつを偉大な宗教家とも言ってたんだ」
「何処が?」
「どの辺が?」
皆心から問い返した。
「そんな奴の何処が偉大な宗教家?」
「最も浄土に近いの?」
「それ相当酔って言ったの?」
「正気だったの?」
「僕もそれがわからないよ」
小山田君本人もというのだ。
「それこそね」
「思想家?本当に」
「おかしなこと言う人にしか思えないけれど」
「そんなこと言う人が戦後最大の思想家って」
「何かね」
「おかしいんじゃ」
こう言った皆も。
「幾ら何でも」
「麻原は最低でしょ」
「最低の奴だろ」
「あの所業見てそう言う?」
「常識がないんじゃ」
「どう考えても」
「それがね」
また言った小山田君だった。
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