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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十二話 テスト勉強その五

「あの先生はよくない」
「評判悪いんだ、昔から」
「強引に教科書を進めるな」
「一気に十ページとかね」
「そしてやたらと遅れているというが」
「テストには気をつけてね」 
 その中川先生の作るテストについてもだ、僕は留美さんに忠告した。
「物凄く難しいから」
「不自然な位にだな」
「あんなのじゃまた何処かに飛ばされると思うけれど」
「これまでも何度か転勤になっているな」
「評判悪いからね、あの先生」
「それでまたか」
「うん、反省しない人だからね」
 だから自分を改善出来ない、それで殆ど一年ごとに転勤となっている。そうした状況だからだ。
「だからね」
「この一年でか」
「また転勤になると思うけれど」
「私達はその一年の間はだな」
「我慢するしかないよ」
 理不尽だと思うけれどだ。
「授業もテストもね」
「そのテストもか」
「うん、しっかり勉強してね」
「わかった、では覚悟して勉強しよう」
「ああした先生もいるんだ」
 うちの学校にもだ。
「あからさまに資質ない人がね」
「本当にあからさまだな」
「そこは我慢するしかないんだ」
「困ったことだな」
「それでも仕方ないからね」
 これは僕自身にも言い聞かせている言葉だ、とにかく今はそれしかなかった。僕も試験勉強に励み続けた。
 そうしているうちに完全に梅雨が終わってだ、終わった時には。
 アパートもクラスもだ、もう試験前の状況だった。朝御飯の時にラブポーンさんがマルヤムさんに納豆御飯を食べながら問うていた。
「昨日の夜寝た?」
「一応は」
「一応ってどれ位?」
「五時間でござる」
 それだけとだ、マルヤムさんはラブポーンさんに答えた。
「ずっと勉強していたでござる」
「そう、私もね」
「五時間でござるか」
「うん、もうお風呂と食事の時以外はね」
「勉強でござるな」
「そうしていたわ」
 こう困った様な顔で言葉を返していた。
「いや、噂には聞いてたけれど」
「日本の試験というものは」
「必死よね」
「修羅場でござる」
「これが普通だけれど」 
 二人に美沙さんが言った、鮭の塩焼きの皮を食べつつ。鮭の中でも最も美味しいその部分をおかずにして納豆御飯を食べている。
「日本だとね」
「これがなの」
「普通でござるか」
「うん、そもそも二人共ね」 
 また二人に言った美沙さんだった。
「しっかり勉強してるでしょ、普段から」
「そう言われると」
「少しずつしているでござるが」
「だったらね」 
 それならというのだった。
「大丈夫よ」
「赤点にはならない」
「そうでござるか」
「普通に勉強してたらね」
「悪い点も取らない」
「そうだといいでござるが」
「大丈夫よ、私は結構ヤマカンとか教えてもらったりだけれど」
 それでもというのだ。
「結構何とかやってるし」
「美沙はかなりネ」
「そうしたとこあるあるな」
「勉強は要点だから」
 それで、とだ。美沙さんはジューンさんと水蓮さんにも話した。 
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