八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十二話 テスト勉強その四
「そうしたらどうかな」
「わかった」
留美さんは僕のアドバイスに頷いてくれた、そうしてだった。
僕にその勉強をしてみることを約束してくれた、そうして考える顔で言ってくれた。
「これで成績が上がったら」
「そうなったら?」
「お礼をする」
それはしっかりとだ、留美さんは言った。
「絶対にな」
「絶対になんだ」
「そうだ」
それでだとだ、僕は答えた。
「私はお礼は返す」
「それじゃあ」
「その時は期待していてくれ」
また言った留美さんだった。
「是非な」
「それじゃあ」
「また勉強だ。そういえば」
ここでだ、留美さんはまた言った。
「今日は雨が降らなかったな」
「朝からね」
「やっと梅雨が明けるか」
留美さんは僕に微笑んでこうしたことを言った。
「長い梅雨だったがな」
「もう夏だな」
「うむ、暦の上でもそうだしな」
「夏は好きだ」
留美さんは微笑んでこうも言った。
「稽古で思いきり汗をかける」
「ああ、剣道だからね」
「そこがいい、剣道は夏だ」
夏にこそというのだ。
「思いきり汗をかくべきなのだ」
「脱水症状には気をつけてね」
「そのことはわかっている」
「水分は摂らないとね」
それこそというのだ。
「さもないとね」
「わかっている、水分は摂る」
留美さんも僕にはっきりと答えてくれた。
「稽古の時に倒れては元も子もない」
「それじゃあ」
「そしてだ」
「そして?」
「私は剣道だけをする訳ではない」
「勉強の方もかな」
「それもあるが剣術の鍛錬だけではない」
こうも言うのだった。
「他の武芸の鍛錬もする」
「弓とか?」
「いや、水練だ」
「泳ぐこともなんだ」
「そちらも励む」
こう僕に答えてくれた。
「夏はな」
「それで身体も冷やすのかな」
「左様、それにだ」
「それに?」
「いや、何でもない」
留美さんは顔をぷいっと向けた感じで僕に言った。
「気にしないでくれ」
「そうなんだ」
「そうだ、しかしだ」
「試験勉強のことだね」
「それをしてみよう」
是非にというのだった。
「何度も書いてだな」
「うん、それに世界史だよね」
「そうだが」
「先生誰かな」
「中川先生だが」
「ああ、あの」
「私から見てもだ」
留美さんはここで眉を顰めさせた、そのうえでの言葉だった。
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