八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十二話 テスト勉強その二
畑中さんにだ、こう言った。
「じゃあ今日はこれから」
「学問ですね」
「学問っていうと大袈裟ですよね」
僕はくすりと笑ってこうも返した。
「何か」
「確かに。この場合はお勉強になりますね」
「学問と勉強はまた違いましたよね」
「そうなりますね、確かに」
「勉強は僕達が今している様なのですよね」
「学校の言うならば学生の義務ですね」
「じゃあ学問は」
畑中さんが今言ったそれはというと。
「どうなるでしょうか」
「はい、自身で好んで行う」
「そうしたものですか」
「そうなりますね、私もふと思いました」
「学問はそちらですね」
「関西では商業で値段をまける時に勉強といいますし」
これは関西特有だと思う、特に昔の大阪で使われていた表現だけれどそうしたまける時に勉強といったりする。
「あれは商売のことをですね」
「はい、勉強するという意味で」
「そう言うんですね」
「そして実際のところ」
「実際にとは」
「勉強はすることが決まっています」
それはというのだ。
「学校でのことなので。ですが学問は」
「色々とありますね」
「その分だけ学者の方がおられますし」
「その分野ごとで」
「ですから。学問と勉強の違いは」
「相当なんですね」
「そうなります、確かに学校の勉強には学問にあるものがありますが」
それでもだとだ、僕に話してくれた。
「決まっています」
「狭いものですか」
「教科書だけのことなので」
「学問はさらに深いんですね」
「そうなりますね」
「じゃあ僕達学生はあれですね」
畑中さんとの今の話から僕はわかったことがあった、それは随分と滑稽なことだった。
「狭い分野のことに必死になっているんですね」
「そう言われますと」
「少し、ですか」
「申し訳なく思います」
「そうですか、けれど実際に」
「狭いものに対してですか」
「皆必死なってるんですね」
それこそ小学一年から高校三年の時までだ、十二年の間。
「成績上げようって必死にもなって」
「ご本家の。義政様ですが」
「あの一族きっての秀才の」
僕の従兄の一人だ、一族の顧問弁護士の一人でもある。
「あの人のことですか」
「あの方が仰っていました」
その義政さんがというのだ。
「勉強は何度も何度も同じ問題を解き読んで書く」
「何度もですか」
「繰り返して頭の中に入れれば」
それで、というのだ。
「かなりの点数が取れると」
「そう仰ってたんですか」
「司法試験も。それと」
「それと?」
「それぞれの科目、試験対象の数年分の答案を解答すると」
そうすればともだ、畑中さんは僕に話してくれた。
「かなりいいとのことです」
「司法試験もですか」
「そして公務員試験等も」
そうした入社試験とかもというのだ。
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