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エターナルトラベラー

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第二十三話

半年後。

主人公不在でも木の葉の里は任務でいっぱいだ。

今日は紅先生を含む8班全員での任務。

「封印更新の間の結界術士の護衛ですか」

俺達は火影の部屋の中、新しく五代目火影に就任した綱手様の前にいる。

「そうだ。四凶の一角、窮奇(きゅうき)の封印は30年周期で更新しているのだが。今年が丁度その30年目。お前達には術者の護送と儀式の警護にあたって貰いたい」

聞いた話によると、尾獣には劣るがその一匹で一国を落とせる位の力を持った存在らしい。

四凶と言うからには4体居るのだろうか?

「わかりました。紅班はその任に当たります」

「うむ」

紅先生は一礼すると火影の部屋を後にする。

俺達もそれに続いて部屋を出た。


それから俺達は結界術士をキュウキが封印されている山奥の社へと護送した。

そして今、結界術士の巫女が封印の更新に当たっている。

「気を抜くんじゃない。巫女から聞いた話だと、この更新の時が一番キュウキの封印が弱まるらしい。下手をしたら封印が破られる事もありえる」

「そうなのですか?」

とヒナタ。

「もしも封印が破られたらどうするんですか?」

ソラが紅先生に聞き返した。

「そんな事にはなってもらいたくは無いが、その時は巫女を連れて退却。その後の対策は火影さまにお伺いを立てるしかない」

「…逃げ切れるでしょうかね」

「書物によると尾獣にも匹敵する力を秘めているそうだ」

「それって天災クラスじゃないですか!」

「だから先人達がこの地に封印したのだろう」

そりゃそうだ。

こうなったら無事に封印の更新が済むのを祈ろう。


儀式が始まって20分。

どうにも雲行きが怪しい。

必死に巫女が封印の更新をしているが、眼に見えて結界内部に淀んだ影がうごめいているのがわかる。

それが結界を破らんと猛り狂っている。

そして…

「きゃあああああっ」

パリンッ

ガラスが割れるような音と共に巫女が吹き飛ばされる。

「巫女さま」

紅先生はすぐさま巫女に駆け寄った。

「あ…ああ…結界が!世界が終わる…」

それだけを言って崩れ落ちる巫女。

いやいや、巫女さま。終わられては困るのですが…

てか最後の台詞がテンプレとは…やるな!

なんて俺は少しずれた感想がよぎった所で、結界内部から雄たけびと共に強烈な悪意を持ったオーラが発せられ、この場を包み込んだ。

「ぐ!」

俺とソラ、ヒナタは咄嗟に『纏』をしてそのオーラに対抗する。

「うっ…くっ」

紅先生が苦しそうに巫女を抱えたまま膝を着く。

「マズイ!ヒナタ。バブルバルーンで紅先生達を包み込んで」

「はい!」

オーラで出来た風船の中は、一種の円の様な物。

当然その中に居れば外側からのオーラによる攻撃からも若干ながら守られる。

「ヒナタ…これは?」

「紅先生、今は説明している暇はありません」

ヒナタが紅先生の問いを封殺する。

「しかしマズイ事になった」

「うん」

「紅先生と巫女さまをバブルバルーンで覆って担いだままアレから逃げ切れるとは思えない。それにほら!こっちをしっかりと敵として認めているようだぞ」

視線を移すとドス黒いオーラを放ち、こちらを睨む巨大な牛のような体に針のような体毛を逆立てたキュウキの姿が。

今はこちらの動きを伺っているのか動きは無い。

恐らくこちらが動けばすぐさま攻撃に移るだろう。

「まずいわ。私が囮になるから巫女を連れて逃げなさい」

いやいや無理でしょ。

「紅先生じゃこの風船を超えた瞬間相手の邪気に当てられて気絶…最悪死んでしまいますよ」

「ならどうしてアナタ達は平気なの?」

「それはチャクラで相手のチャクラによる侵食をガードしているからって、どうやらおしゃべりは此処までのようです」

ぬらりとキュウキが動き始めた。

まずい!かなりまずい!

キュウキのオーラは禍々しく甚大で力の底が見えない。

「アオくん!」

どうするの?とその視線で問いかけるヒナタ。

しかしその体はキュウキの威圧的なオーラに震えている。

『スタンバイレディ・セットアップ』

俺はソルを起動させて構える。

『ロードカートリッジ』

ガシュガシュガシュガシュガシュガシュ

カートリッジをフルロード。

「アオ?」
「アオくん?」
「何をやっているの?」

ソラ、ヒナタ、紅先生の問いかけ。

俺はそれを無視してキュウキを見やる。

キュウキは俺の瞬間的に跳ね上がったオーラを感じ取り身構え、動きを止めた。

しかしそれがキュウキの間違いだった。

グサッ

行き成りキュウキを刺し貫いた巨大な剣が現れる。

「へ?」
「え?」
「なるほど」

ヒナタ、紅先生はなにが起こったかわからないといった表情、逆にソラは納得が行った様で。

更に俺の周りに現れるスサノオ。

俺は『隠』を使い、スサノオを限りなく見えづらい状態にしてキュウキに気づかれないように一撃でその体を貫いたのだ。

卑怯と言う奴も居るかも知れないが、小技を繰り出し、段々大技へ、何ていう事はこういった場合には悪手。

こんな時は、最初から一撃必殺の大技で相手を仕留めるのがベストなのだよ。

なんでわざわざ消耗した場面で大技を繰り出さなければ成らない?

むしろ疲労や怪我などで制御が出来なくなって逆に危険だ。

漫画の主人公は出来ない戦法だけどね!見せ場的な問題で!

漫画の主人公は可愛そうだ。

なんて考えている内にキュウキは十拳剣のひと突きで酔夢の世界へと封印された。

「えっと…任務完了ですか?」

「…そうね」

封印の儀式は失敗したが終り、巫女の護衛も果たした。

まあ里まで送り届けるまでが任務だが、脅威の排除は成功したし、もうこれ以上危険は無いだろう。

「それよりさっきのでっかい剣について聞きたいのだけれども」

「すみません紅先生。これだけは話す事は出来ません」

「…そう。いいわ、火影さまにはキュウキの脅威は消えたとだけ報告させてもらうわ」

「…ありがとうございます」

「それにソラやヒナタもどうしてあの瘴気の中で平気だったかも内緒って事なのよね?」

「…すみません」

ヒナタがすまなそうに紅先生に謝った。

「いいわ、取り合えず里に帰りましょうか」

「「「はい!」」」



四凶の一角であるキュウキを倒してからしばらくすると、火影様から紅第八班に出頭するように命令があった。

「今回集まってもらったのは他でもない。前回四凶であるキュウキを倒したお前達にやってもらいたい事がある」

「は?」

「先日、封印されている四凶の一角である饕餮(とうてつ)の結界の更新の護衛を請け負った。お前達の班からの報告で封印が破られる可能性があるとの事でてだれの者をあてがったのだが…」

読めてきましたよ…

「結界の更新時に案の定結界が破壊されてしまってな、封印されていたトウテツが開放されてしまったのだ。護衛の任に当たっていた忍は全滅、開放されたトウテツは辺りの村々を襲い、見境無しに人を襲い貪り食っているそうだ」

………

「再封印をするにしても瘴気が深くて術者が近づけん。そこで、前回おなじ四凶を打倒せしめたお前達にトウテツの殲滅の任に当たってもらいたい」

「お言葉ですが火影さま、瘴気の中に生身で入れという事ですか?」

俺は綱手さまに尋ねた。

「この前のキュウキの時も瘴気の発生が確認されたと聞いている。その中心地から帰ってきたお前達ならばその瘴気に対抗する術を持っているのではないか?」

「すみません火影様、その術を持っているのはアオ達3名であり、私では瘴気の中での活動は出来ないかと思われます」

紅先生の訂正が入る。

「そうか…ならば仕方ない、アオを隊長としたスリーマンセルで事に当たってもらうしか」

「くっ、ならせめてロック・リーを含めたフォーマンセルで任に当たらせてはもらえませんか?」

「リーをか?」

「はい」

綱手さまは少し考えた後。

「良かろう、リーを含めた4名でトウテツ殲滅の任にあたるよう」

と、リーの編入を認めた。

「はい」





「それで、そのトウテツってやつはどういったやつなんですか?」

リーさんを含めた俺達4人はトウテツ殲滅の為に目標の確認された里まで移動中だ。

「キュウキと同種ならば途轍もなく禍々しいオーラを発していて、自分もオーラで身を守らないとその瘴気でやられてしまう。さらにその戦闘能力は未知数」

「そんな敵をどうやって倒したんですか!?」

「不意を突いて、大技で一気に」

「…アオさんが不意を突かなければ勝てない相手ですか」

いやいやリーさん。俺はそんなに強くないですから!

すでに同じオーラ量での『硬』での攻撃力はリーさんの方が上だ。

単純な殴り合いなら負けるのは必死。

「それで、リーさん『堅』の維持は何分くらいできる?」

「そうですね、45分くらいですか」

ふむふむ。念を覚えて半年にしてはなかなか。

「ならば実質の戦闘時間は20分弱くらいか…」



ターゲットのトウテツが確認されたポイントへと向う。

「あそこだな…此処からでも奴の禍々しいオーラを感じる」

ターゲットまでおよそ2km。

「うん」

同意するソラ。

「どうするんですか?」

リーさんがトウテツに対する方針を聞いてくる。

「出来れば奇襲によって一撃で封印してしまいたいところだ」

「封印する手段は?」

「俺が持っている」

「ならばそれで行きましょう」

「ただ、俺の封印手段はその性質上、相手の動きを一瞬でも止める必要がある」

突き刺さなければ十拳剣の封印効果は得られない。

「だからソラ達3人でトウテツの動きを封じてほしい。動きさえ封じてしまえば後は俺が封印術を行使する」

「わかりました」
「わかった」
「了解」

「さて、方針も決まったところで行きますか」

俺達は瘴気渦巻く空間へ、纏で瘴気をガードしながら進む。

そしてもっとも瘴気が濃い場所に向って進んでいくとそこにトウテツを発見。

体は牛か羊で、曲がった角、虎の牙、人の爪、人の顔。

全長は6メートルほどであろうか。

キュウキもそうであったが、それ以上に禍々しい体躯をしている。

トウテツの双眸が俺達を捕らえる。

「作戦開始だ」

「「「はい!」」」

俺はソルを握り締め、スサノオを発動する。

『ロードカートリッジ』

スサノオに使う莫大なオーラをカートリッジから補う。

ソラ、ヒナタ、リーはトウテツを取り囲むように移動し、攻撃を加えながら俺の方へと誘導している。

「木の葉旋風!」

オーラで強化した回し蹴りをトウテツに放つリー。

しかし、その攻撃を食らいいつつも尻尾でリーをカウンター気味に弾き飛ばす。

「リーさん!」

ヒナタが叫ぶ。

「大丈夫です。それよりトウテツが」

予想外に俺達のチームが善戦し、脅威を感じたトウテツはこの場から逃げようと反転する。

「そうはいかない!」

『チェーンバインド』

瞬間、虚空から現れた幾つもの風の鎖がトウテツを絡め取る。

「ぐぎゃあああああああ!」

しかしそれを引きちぎらんばかりの力で暴れるトウテツ。

「はぁっ!」
「やぁ!」

引きちぎられた鎖をヒナタとリーが掴み、力を込めてその場に高速する。

「今です!」

リーさんが叫ぶ。

「スサノオ!」

俺は隠を解き、右手に持った十拳剣をトウテツに突き刺す。

「封!」

突き刺されたトウテツは必死にもがき、その剣から逃れようとするが発動された封印術になす術もなく封印された。

「封印完了。皆お疲れ」

「強敵でした」
「本当に」

「帰ったら焼肉でも行くか」

「良いですね」

「もちろんアオのおごりだよね?」

「な!?」

「ご馳走になります」
「ごちそうさま、アオくん」

里に戻り、綱手さまに報告後、俺達は焼肉屋に直行。

結局俺のおごりとなり、俺の財布はかなり寂しい事になりました。

とほほ…



更にしばらくしてまた集められる俺達念を使える4人。

「すまない、今度は四凶の一角の渾沌(こんとん)が…」

もはや俺の耳に後半の言葉は入っていない。

マジで勘弁してください…


結局俺達はその後、渾沌と檮杌(とうこつ)という残りの四凶をスサノオの十拳剣で封印する事になるのだった。
 
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