エターナルトラベラー
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第二十二話
避難所に着き、俺達は少し安堵する。
しかし、未だ里の危機が去ったわけではない。
俺達はそこで避難民の警護にあたる。
「畜生!一体何が起こっているっていうんだ」
その避難所を守っていた先輩忍者の一人がそう愚痴る。
「知りませんよ。ただ、今里は他の忍に攻め込まれていると言った事しか」
もう一人の先輩忍者がそう答える。
「そうだよな。俺少し外を警戒してくる。後を頼む」
「ああ」
扉を開き、避難所から出て行く先輩忍者。
「ぎゃーっ」
扉を閉められてしばらくしてから外から絶叫が響く。
「な、何だ!?」
もう一人の先輩忍者が扉を開き、外に出て行く。
「ぐあっ!」
扉を閉めて幾らも無い内にまた絶叫が響く。
がやがやっ
避難している里の人たちが騒ぎだす。
「マズイな」
「うん。みんな不安がってる」
ドンッ
ドアが叩かれる音が響く。
ドンッドンッ
またドアが叩かれる。
俺達は集まり迎え撃つ為に身構える。
ドガンッ
ついにドアが破られる。
そして現れたのはなんと大人の人間くらいある巨大なサソリ。
「何だ!?」
「巨大なサソリ!?」
何だコイツは?
まずい!侵入者のその容貌に避難した人たちが恐慌を起こしかけている。
俺はソルを握り絞め進入してきたサソリへと飛び掛る。
『サイズフォーム』
「おらぁ!」
鎌に変形し、形成した魔法の刃でサソリを切り裂く。
くっ!なかなか硬い!
何とか俺はサソリを両断した。
そして俺は壊されたドアから廊下に出る。
するとそこにはおびただしい数のサソリと、サソリと同じく人間大の巨大な蟻。
そして廊下に倒れている先輩忍者。
クナイや手裏剣が散乱しているところを見るに迎撃したがその硬い甲殻には通じなかったのだろう。
やばい!今の騒ぎでサソリと蟻がこちらを認識して集まり始めている。
『ロードカートリッジ』
ガシュ
排出される薬莢。
「サンダースマッシャーーーーー!」
俺は廊下を埋め尽くしていたサソリ達の群れに向って射撃魔法を発射。
今の一撃で手前にいたサソリたちを吹き飛ばす。
そして俺はすぐさま踵を返してドアの中へ。
「アオ!」
「アオくん!」
避難民を落ち着かせていたソラ達が駆け寄ってくる。
「まずい!あの巨大なサソリ達に囲まれている。このままじゃ袋のネズミだ」
「そんな!どうすれば!?」
「この部屋に隠し通路は無いのか!?」
沈黙が返って来る。
もしあったとしてもその存在を知っていたのは先に死んだあの先輩忍者達だけだったのだろう。
がやがや
ざわめきが大きくなる。
ちぃっ!
こうなれば正面突破で避難民を他のシェルターに移送しつつ元凶を叩くしかないか?
「すみません皆さん。皆も見たように、巨大なサソリがこの部屋を嗅ぎつけ俺達を殺そうと狙っています。このままでは袋のネズミです。なので俺達でサソリを迎撃している隙に他のシェルターに移ってもらわなければなりません」
俺が説明している間にも攻め入ってくるサソリ。
『サイズフォーム』
ルナを変形させてソラが迎え撃つ。
「時間がありません。時が経てば更に集まってくるでしょう。俺達がけん制しますから落ち着いて正面のドアから出て誘導にしたがって避難を尾お願いします」
それから俺はヒナタの方を向く。
「迎撃は俺とソラがやるからヒナタは避難民の護衛と誘導をお願い!」
「はい!」
「私は?」
ハナビか…本来なら第一に身柄の安全を確保しなければならない所だが…
「ハナビは避難民の先導をお願い」
「わかりました」
「ただし!ヒナタの言う事はちゃんと聞くこと」
「はい」
戦力が足りないのだから仕方ないと自分に言い聞かせて俺はソラに続いて巨大サソリの迎撃に当たる。
「ヒナタ、ハナビをたのんだ」
俺は迎撃に出る前にコソっとヒナタに耳打ちした。
「サンダースマッシャー」
「もう一発」
『サンダースマッシャー』
ソラが放った魔法に追撃するように俺も魔法を放つ。
今の一撃で進路上の巨大蟻と巨大サソリを吹き飛ばす。
「今!」
俺の合図に従ってヒナタが避難民の誘導を開始する。
「落ち着いて!落ち着いて付いてきて下さい」
さてここからが正念場。
俺は先ず近場に居る巨大サソリと巨大蟻の駆除を開始する。
アークセイバーで切り裂いては次、切り裂いては次とドンドン数を減らしていく。
すると遠くの方からこちらに尻を向けて何かを発射する巨大蟻。
俺はそれをギリギリのところで避ける。
振り返ると着弾した地面が熔けている。
酸?
蟻だけに蟻酸ってか!?
洒落か!?
更に一斉に飛ばされてくる蟻酸を俺は空中に飛ぶ事で避ける。
「ハーケンセイバー!」
振り下ろしたソルから放たれた光刃が回転しながら巨大蟻の一段へと襲い掛かり、切り裂いて沈黙させる。
「きりが無い!」
俺は一旦下がり避難民に併走する。
このままではジリ貧だ。
やつらはどういう訳か無限に湧いてきているようにも思える。
「きゃあああ」
その悲鳴で振り向くとそこには全長10メートルを越す超巨大サソリと超巨大蟻が一匹ずつその進路を遮るように現れた。
そしてその超巨大蟻達がひと鳴きするとその腹の下から無限に口寄せされて来る巨大蟻達。
ちょ!そんなの有りかよ!
「アオ!」
「わかっている!」
『フォトンランサー』
ソラの言葉にそう答えて俺は遅い来る巨大蟻達に魔法を叩き込む。
「だけど、あのでかいのを何とかしないと無限に沸いてくるぞ!」
「ねえ!アオくん。さっき巨大蛇を倒した時のやつであのでかいの倒せないかな!?」
ヒナタが俺に近づいてきてそう言った。
「出来るが、無理だ!」
「な!なんで!?」
ヒナタも近づいてくる巨大サソリに拳をたたきこみながらなおも聞き返す。
「アレは俺とソラ、2人がかりでようやく放てる物だし、発動に時間が掛かる上に対象は一体だ。今のように離れたところに居る二匹を一遍に狙えるような技ではない。それに俺達が迎撃に出なくては避難民をヒナタ一人で守る事になる」
「そ、そうなんだ」
しかし、そうはいってもあのでかいのをどうにかしない事には避難民を無事に送り届ける事も出来ない。
「ソラ!」
俺は覚悟を決めてソラに呼びかける。
「何?」
魔法で巨大サソリをけん制しつつ俺のところまで走りよるソラ。
「スサノオを使う」
それだけでソラには通じたみたいだ。
「…わかった」
了承の言葉を得ると俺は超巨大蟻に、ソラは超巨大サソリの方へと向き直る。
「え!?なに?アオくん達どうするの?」
「今から大技であのデカブツ二匹を倒す!ヒナタは避難民の安全確保!」
「う…うん。でもどうやって!」
「いいから。任せろ!」
そして俺はソルの首もとにあるリボルバーにカートリッジを補給する。
そして万華鏡写輪眼を発動。
「「スサノオ!」」
掛け声と共に俺の周りのオーラが具現化し、巨大な益荒男が現れる。
「な?何!?」
驚愕しているヒナタを置いておき、俺は十拳剣を顕現させる。
現れた巨大な剣で近場の巨大蟻を薙ぎ倒す。
俺は巨大蟻をなぎ払いつつ超巨大蟻へ向けて歩を進める。
『ロードカートリッジ』
消費の激しいスサノオを維持するためにカートリッジを使用しながらひたすら敵を粉砕する。
ソラの方も同様に巨大サソリを蹴散らしながら進んでいる。
そして俺はついに超巨大サソリと対峙する。
ギチギチギチ
超巨大蟻の尻がこちらに向けられる。
げ!
そこから発射される先ほどのとは比べ物にならないほど大きな蟻酸。
やばい!これを避けると後ろに居る避難民にも被害が!
『ロードカートリッジ』
俺はそれを受け止めるためにカートリッジをロードしてオーラの総量を増やす。
そしてその蟻酸をヤタノカガミで受け止めた。
さらにカウンター気味に十拳剣を超巨大蟻に突き刺す。
十拳剣は刀そのものが封印術を帯びている。
ギチギチギチ
超巨大蟻は断末魔の声を上げると、十拳剣に封印された。
超巨大蟻を封印した事を確認して俺はスサノオを消す。
「はぁ、はぁ…しんど」
流石にスサノオの行使は未だ成長途中のこの身では反動がきつい。
ソラの方を確認するとどうやらソラも超巨大サソリを封印したようだ。
「はぁ、はぁ…よし!」
俺は気合を入れなおすとソルを握り締め、未だ残っている巨大サソリの残党達を駆除していく。
ようやく避難民を別のシェルターに避難させる事が出来た。
途中他国の忍びが襲ってこなかった事は幸いだった。
もしかしたら先ほどのサソリと蟻は敵味方を認識できる物ではなく、近場の者を攻撃するように命令されていたために近くに居なかったのかもしれないが…
何にしてももう無理!
「お疲れ様です、兄様」
「ハナビ…だから兄様はやめろと…はぁ、今は反論する気力も無い」
「良いじゃないですか!それよりさっきのデカイのを倒したあの術は何というんですか?」
「秘密」
「えー。ケチです。教えてくれても良いじゃないですか」
少し可愛く拗ねて見せているハナビ。
う…可愛いです。
だけど教えるわけにはいかない。
もう見せてしまったけど一応俺達の切り札だからね。
「ソラもヒナタもお疲れ」
「うん…ちょっとオーラを使いすぎた。今日はもうこれ以上は勘弁して欲しい」
「確かにね」
ソラの発言に俺は同意する。
中忍試験の後にあの数の敵を相手にして、更にプラズマザンバーとスサノオの使用。
とっくに限界を超えている。
「私はアオくん達に比べればまだ消耗は少ないから、周りの警戒に当たるね」
「任せた」
そして俺達は避難民に紛れて休息を取った。
何時間そこに隠れていただろうか。
ようやく厳戒態勢が解除された時には里への被害は甚大で、かなりの建物が倒壊している。
その後の情報で、今回の騒ぎの首謀者である砂隠れの里の全面降伏で今回の騒ぎは決着がついたようだ。
しかしこちらの被害も甚大だった。
特に問題なのは三代目火影がこの事件で戦死された事だろう。
皆、火影の死を悲しんでいる。
しかし悲しんでばかりも居られない。
しばらくは里の復興が俺達の任務だ。
その後新しく五代目に初代火影の孫である綱手様が就任された。
さらに俺達8班と奈良シカマルの4名に中忍への昇格が言い渡された。
砂の忍によって中断された中忍試験。しかし行われた試合に関してはちゃんと合否を判断したらしい。
ナルトに負けた俺が合格でナルトが不合格なのは恐らく会場で開放してしまった九尾のチャクラが原因で九尾がナルトに封印されている事を知っている上層部がナルトの昇格に待ったをかけたのではなかろうか。
取り合えず、晴れて俺達は中忍に昇格した訳だ。
うーん、結局こうなるとばらばらに任務に就くこともありえるから中忍昇格は逆効果だったか?
里の復興に尽力しているとうちはサスケが里抜けしたと知らされた。
さらにナルトが木の葉の伝説の三忍である自来也と共に修行の旅に出てしまった。
サスケの里抜けを止められなかった実力不足を嘆いての事らしい。
聞いた話では3年ほど自来也に着いて修行するようだ。
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