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『珍』守府へ、ようこそ

作者:茅島裕
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○○ニ 二人の鎮守府

 
前書き
もうなんか最近音楽を聴くのが楽しくてしょうがないうp主妹紅です
小説を書くときはいつも音楽を聴くのですが、このままでは音楽を聴く為に小説を書いているみたいに...

まぁ、それもそれで良いですかね。どうでもいいです


ああ、あと一レベで神通が改二になる、でもそのあと一レベが焦れったい


本編、どぞ  

 
提督が倒れ、取り敢えずとバケツにタオルと水を用意し、提督の額に水を絞ったタオルを置いて暫し様子を伺う。
この司令室にはデスクの他何もない。つまり提督を寝かせる布団もないのだ... 鎮守府に幾つもある他の部屋にならある。だが、生憎布団を司令室まで運べる力など電は持ち合わせていなかった。故に、提督は木の床に横になっている。バケツとタオルは入渠室から持ってきた物だ、別に持ってきたって誰も怒らないし困らない。何故ならこの鎮守府には電と倒れた提督しか居ないのだから。
水の入ったバケツを提督の横に置き、デスクの上の書類を持ってまた提督の隣に座った。秘書艦としての役目を果たすため、書類整理も欠かしてはならない、だが一に自分を使ってくれる者の管理はなお大切なのだ。電は書類を片手に提督を見た。
こんな調子で大丈夫なのでしょうか。
心配にも考えながら提督の言っていたことを思い出す電。(いなづま)のことを電だとわかると細かいことまで言っていた、つまり私のことは知っていた。でも、私が電だと言うことに驚いていた、どう言うことだろう。それに、自分が司令官だと言うことにさえ驚いていた。
益々意図が掴めなくなり、このままでは自分も提督のように倒れてしまう、そう思った電は胸ポケットに閉まっていた赤い眼鏡を取り出し、スチャっとかける。

「お仕事なのです」

そう言って書類を捲り始めた。


■■■


カチッカチッ と時計の音だけが耳に響く部屋の中、提督はゆっくり瞼を開けた。額に何か感触があったのか、手を当てる。そして掴んだ濡れタオルを見て少し頬が緩んだ。
あの娘がやってくれたのか。
目覚めて数秒は何があったのか忘れていたが、濡れタオルを見て全て思い出したらしい。
ん? そう言えばあの娘...電は何処に行ったんだ?
提督は不思議になり、起き上がろうとしたときだった。身体が重い、自由が効かない、胸ぐらを掴まれている...

「...なの〜ですぅ〜」

スーピースーピーと寝息を発てて電が寝ていた。
そう、提督の自由を奪っていたのは電。腹部に顔を乗せ、提督のコートをギュッと掴んでいるのだ。少し緩んでいた頬がまた一段緩み、微笑みを抑えられなくなった提督は、

「お疲れ様。ありがとう」

そう言ってそっとコートを脱ぎ、電が掴んでいる部分を主とし、被せた。隣に書類が見えたので、それを電が片付けていたと言うことがわかったのだ、秘書艦としての仕事なのだろう。もう一度。気持ち良さそうに寝ている電の顔を見て、お疲れ様、そう思いかけ、書類をデスクに置いた。
さて、秘書が寝てしまった今、自分が何をすべきなのかわからない。ちょっと鎮守府内を散歩してくるか。
提督はそう考え、タオルとバケツを持って部屋を出た。近くにあった流しに水を捨てる。タオルをバケツにかけて、流しの端に置く。流しからちょっと離れたところに中央広間があった。広間の中心に階段があり、下の階へ繋がっている。下の階も下の階で広間になっており、階段を降りた目の前には大きな扉、左右には小さなドアがある。恐らく他の館に繋がっているのだろう、司令室だけの鎮守府なんて酷い。目の前の大きな扉は外に繋がっているらしい。
外はどんな風になってるのかな。
興味を持ち、扉に手をかける提督、扉の隙間から日が差し込み始める。広間全体に陽が満ちた。提督は腕を顔にかざし、半目でやっと外を見る。今まで気づかなかった磯の香りが提督の鼻を擽った、近くに海がある。
本当に鎮守府なのか... まぁ、疑っていてもしょうがなかったな。
光に目が慣れた提督は一歩前に出た、磯の香りと共にやってくる涼しい風が提督を襲う。敷地内辺りに広がる花、花壇だ。
左手に見えるのは大きな館、やはりあのドアは他の館へ繋がっていた。その奥には大きなグラウンド、まるで学校のような。
右手に見えるのはまた違う館が二つ。
両手を広げて伸びながら提督は思った。
そう言えばここはショートランド泊地だったな、こんな大きな鎮守府だったか?
と言うか、あの手紙、なんだったんだ? よく見てなかったからな... 電が持ってるよな、後でもう一度見せてもらうとしよう。
一頻り伸びた提督は一度館へ戻った。その足で電の眠る司令室へ戻る。ドアを開けると、その場にぺたりと座って目を擦る電が居た。

「おはようなのですぅ...」

ふわぁ、と可愛らしいアクビをして立ち上がり、不意に戻ってきた提督に近づき、ボフッと音を発ててぶつかった。

「お、お〜い、電?」

提督が困惑するなか、スースーと寝息が聞こえた。電がまた眠ったのだ、今度は提督の胸のなかで眠ったのだ。
提督はそんな電を見て一度ため息を吐くと、

「寝る子は育つ、ってな」

苦笑し、電をお姫様抱っこして司令室の奥にあったダンボールが二つほど置いてある畳の上に寝かせた...
 
 

 
後書き
「司令室になんでこんな茶の間らしき畳が...」

ダンボールに目線を向ける。
気になったのだ、ダンボールの中には何が入っているのだろう、と...

積み重なっている上のダンボールを開けてみる、中には大量のペンギンのぬいぐるみが入っていた。

「な、なんだこのぬいぐるみ... 電のなのか?」

そしてもう一つのダンボールを開けてみる....

「...は?」

一つの軍艦が入っていた。それもガラスケースに入れられた... 提督、いいや... その場でダンボールの中身を見て絶句している男の家に置いてあった軍艦だ。


ガラスケースの下に書かれる...

『特Ⅲ型駆逐艦四番艦 電』  
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