| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十話 雨が続いてその十三

「私の方で」
「ホテルの予約とかはですね」
「全てお任せ下さい」
「それじゃあお願いします」
「ハウステンボスのホテルですが」
「あそこ人気ありますよね」
 夏休みだから特にだ、僕は畑中さんに確認した。
「予約大丈夫ですか?」
「いけます、あちらには八条グループも進出していますので」
「そういえばそうですね」
「はい、ですから」
「じゃあそっちの関係で」
「ホテルも予約出来ます」
 八条グループ経営のホテルにというのだ。
「そちらもご安心下さい」
「ではお願いします」
「あの場所はいい場所です」
「ええ、ハウステンボスは僕も行ったことがありますけれど」
「非常にいい場所ですね」
「一回行ってそれで気に入りました」
 オランダの街を再現したらしい、オランダには行ったことはないけれどハウステンボスの雰囲気は本当に素晴らしい。
「料理も美味しいですし」
「はい、どのお料理も」
「スペイン料理もイタリア料理もドイツ料理も」
 そのどれもがだ。
「最高に素晴らしいです」
「だからです」
「僕にも勧めてくれたんですね」
「皆さんにもいいと思いまして」
「だからですね、そういえば裕子さんはあちらの生まれでしたね」
 僕はここであの人のことを思い出した。
「長崎の」
「しかも長崎市の」
「あの人には悪いでしょうか」
「故郷への旅行となりますと」
「面白みが欠けますか」
「どうでしょうか、私はそうは思いません」
 畑中さんは僕に何故そう考えるのかも僕に話してくれた。
「里帰りもまた楽しいものです、それに地元といいましても」
「遊ぶことはですか」
「いいものです、ですから」
「それで、ですか」
「大丈夫だと思います」
 裕子さんについてもというのだ。
「特に、ですから」
「長崎に行ってもですね」
「大丈夫です、では長崎ということで」
 こうして話が決まった、後はもう畑中さんがホテルや電車のことも手配してくれることになった。そして僕はその畑中さんにあらためて言った。
「あの、それでなんですけれど」
「何でしょうか」
「旅行に畑中さんも来て頂けますか」
「私もですか」
「はい、奥さんと一緒に」 
 こうお願いした、誘いではなく。
「そうして頂けますか」
「私もご一緒していいのですか」
「長崎お好きですよね」  
 僕は畑中さんにこのことから問うた。
「そうですよね」
「はい、長崎市もハウステンボスも」
「それなら余計にお願いします」
 実際畑中さんに楽しんで欲しかった、たまには夫婦水入らずもいいと思った。それで僕は畑中さんにこうも言った。
「それでその時はゆっくりとされて下さい」
「執事の仕事は忘れて」
「そうされて下さい」
「それで宜しいのですね」
 畑中さんは僕の話を聞いたうえで確認してきた。
「私は休んで」
「どうぞ」
 僕は笑顔で畑中さんにまた答えた。
「旅行を楽しまれて下さい」
「では」
 畑中さんも僕の言葉に頷いてくれた、そしてこうも言ってくれた。
「その時期に休暇を取らせて頂きます」
「そうしてですね」
「同行させて頂きます」
「執事じゃなくて一緒に旅行するということで」
「その様に」
「はい、それで」
 僕は畑中さんに笑顔で応えた、そしてだった。  
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧