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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第七章 歌姫
  第10話 始点

 
前書き
今週の第四話目!

前回の話で美九は彼らを三人の主人公と言いました。さて、これがどう意味を持つか、勘のいい人は分かるかもしれませんね

 

 



上条が外に出ると、そこにはすでに事が済んでいた。

壁に叩きつけられていた士道。もうここにはいない十香。

上条「士道!大丈夫か!?」

士道「だ、大丈夫だ……それより十香を!」

士道が肩を抑えながら指差すその先は、澄み通ったような青空を指していた。

そこに、僅かに見える十香を連れ去っている存在。

士道「あれは、エレンさんだ……!」

上条「エレンさん……!?」

驚愕の色を隠せない。

なぜ、彼女がここに……?

考えてる暇はない。と、上条が思い直し、空を飛んで追いかけようと思ったその時。





「テメェが五河士道か」





声が聞こえると同時、緑色で筒状の閃光が飛んできた。

咄嗟に上条が右手を突き出し、それを防ぐ。

上条「なんだ……?」

その人たちは、どこかで見た事あるような顔ぶれだった。

紅色のドレスのようなワンピースを着た人やオレンジ色のパーカーに短パンの少女、それにピンクのジャージで統一された少女。

麦野「あいつを殺れば全てが終わんのか?」

絹旗「殺さなくても超いいんじゃないですか?」

滝壺「……南南東から信号が来てる」

そして。




一度、本気で殴り合ったことのある少年。





上条「浜面……」

浜面「久しぶりだな大将」

ここにいる人たちは浜面が守ろうと決めた大事な人たち。

でも。

だからこそ。

上条「何でこんなことを……」

気になる疑問があった。

浜面「こっちにも事情があるんでね」

その顔はどう見ても本気ではなかった。

罪悪感しかないのにやらなければ大事なモノが失いそうな悲しい予感。無理にやらされる労働。



まるで、人質に取られたように。




ーーーー
ーーー
ーー



上条「士道は逃げろ。こいつらはタダモノじゃない」

士道「で、でも……!」

上条「多分、″今の俺″じゃお前をかばいながら戦うことなんてできないんだ。だから……」

邪魔、という理由もあるがそれだけではない。

連れ去られたお姫様を助けるために、先に行けと、そういうことだろう。

それを察した士道は何も問うことなく、一言だけ。

士道「……わかった」

そして、士道は全力でエレンが逃げていった方向へと向かう。

それに、すぐさま麦野が反応し、閃光を放ってくるが上条が士道の後を追ってそれを幻想殺しで防ぐ。

それを繰り返していけば確実に士道を逃がせると思っていた。

だが、そう簡単にはいかなかった。

絹旗と浜面が上条にの方へと走ってきたのだから。

上条「……くっ!?」

浜面「うおりゃ!」

絹旗「……ハッ!」

双方のパンチを体制を低くして何とか避けたが、すぐさま蹴りが飛んできた。

体制を低くしてからの素早い蹴りは溝にあっさり命中した。

上条「ぐはっ……」

腹を抱えながらゆっくりと後ずさる。

しかし、その二人はなぜか追撃してこなかった。

理由は一つ。



目的はただの足止めだから。



上条「……、しど……!!」

全力疾走で逃げる士道に麦野が彼を捉え、そして。



なんのためらいもなく閃光を放出した。



ーーーー
ーーー
ーー




美九「仲間を護れ……ですか」

これだけ見れば圧倒的な有利だからこそ、美九は余裕の笑みを浮かべていた。



精霊四人+数百人VS一方通行


いくら自分の能力が通用しない(理由はわからないが)からと言っても、さすがに精霊三人を味方にしていれば問題ないだろう。

いくら喧嘩が強くても、例え数百人の観客を一人で倒しても、この精霊を前にはどう足掻いても勝てない。

そう、考えていた。



だけど、彼女は知らなかった。




彼が、学園都市最強だということに。





美九「面白いことを言いますねぇ」

一方「……」

対して、一方通行は至って冷静だった。

美九「でもぉ、まだ彼へのお仕置きは全部していませんからぁ、探してきてください。さっきの女装していたクズを……ね」

その言葉を聞いて、数百人といた観客が一斉に出口へと向かっていった。

そう。

つまり。

今、上条とアイテムの皆が戦っている方へと。

一方「……」

それを、一方通行は変に止めようとしなかった。

美九「あらぁ?ここは任せとけって言ったのにー、見逃すんですかー?」

一方「あァ。目的はテメェら精霊の方だったからなァ」

美九「ふふ、面白いこと言うんですねぇ。でも、あなたみたいな弱そうな人が精霊に勝てるんですかー?」



数秒後、


美九は学園都市最強の垣間を見てしまった。



ーーーー
ーーー
ーー



先ほどまで士道がいた場所に、突如爆発が起こった。

緑色の閃光ーー原子崩し(メルトダウナー)が士道に命中し、『死』を宣告したに等しい光景。

上条「あ……ぁ……」



護れなかった。

一方通行に二人とも護れと言われたのに、何一つこなせなかった。

圧倒的な戦力差ならば仕方がなかった。全力を出して護れなかったのならただの実力不足だけの話になる。

だけど、彼はまだ奥の手を隠していた。



幻想殺しの覚醒。



最初からそれを使えば、少なくても士道を安全な場所に連れていけたはずなのだ。

それなのに……。




と、

ふと気付いた。

爆発して充満していた煙の中に影があったことを。

麦野「……あ?」

士道を殺した″はず″の麦野が眉をひそめる。

すると、黒い煙の中から、一人の女の子の声が聞こえてきた。



「……ふぅ、こちらも間一髪でいやがりますね」



煙から徐々に明らかになっていくシルエット。独特の口調。そしてあの声。


間違いない。あれはーー




上条「……ま、な?」




ゆっくりと、その煙の中から姿を現した。

黄色の半袖に上から黒い袖なしパーカーを羽織り、半ズボンジーパンにスニーカーという如何にも緊張感のない私服姿だった。

その士道に瓜二つの少女は顔に怒りマークをつければ似合うような形相をしていた。

真那「当麻さん、お久しぶりです」

上条「お、おう……真那も元気そうだな」

真那「はい。あいつらをぶっ殺したいぐらいに」

あ、これは完全にブチ切れてるな。

上条「士道はどうした?」

真那「逃がしました。姿が見えなくなるのを確認してから出てきましたから」

つまり、真那は士道を護ったあと、士道を完全に逃がしてから登場したということ。



美九に逃げられつつもエレンを追う士道の気持ちは誰にも分かるまい。

だけど、

目の前で兄を殺されそうになった真那の気持ちも分からない。


それでも。



上条「……あいつらを倒すぞ。協力してくれよ!」

真那「分かっていやがりますよ!私がどれだけ強くなったか、当麻さんに思い知らしてあげます!」

それと同時に二人は駆け出した。



自分への怒りと敵への怒りが支配する上条と真那は、そう簡単には倒されはしない。



ーーーー
ーーー
ーー




その頃、佐天はというと、


佐天「〜〜〜♪」

鼻歌を混じらせなから元気よく歩いていた。

今日は休日。来弾高校の文化祭に行っても良かったのだが、美九の攻略の場でもあったので行くのを控えていたのだ。

買い物に出かけるために家を出たのはいいものの、特にすることがない。

やっぱり帰ろうか、と思い後ろを振り向いた。

その瞬間、佐天の笑顔は驚愕へと変貌していった。

なぜなら、



御坂美琴と食蜂操折が後方一〇メートルのところにいたのだから。


佐天「……え?」

御坂「久しぶりね佐天さん」

食蜂「私とは初めてかしらぁ?私は食蜂操折。御坂さんと同じ学校の人って思ってくれればそれで良いわぁ」

対して二人はニッと笑ってみせた。

まるで、自分に会いに来たように。

佐天「あの、どうしてここにいるんですか?」

御坂「あら、いたら何かマズイことでもあるの?」

佐天「……特に無いですけど」

食蜂「ま、そうよねぇ。″精霊″とあろう人は何も困ることは無いわよねぇ?」

佐天「……」

しばしの沈黙。

ここまでは想定内。誘導尋問に近いことをさせ、何とか彼女の正体を掴みたい。

だが、佐天の顔はなぜかポカンとしていた。

その直後、

佐天「ふふ、あはは……」

突然、腹を抱えて笑いだしたのだ。

「「……え?」」

この展開には二人も予想外だったのか、今度はこちらが驚く番だった。

先ほどの笑みを取り戻した佐天から言われた言葉は、信じたくないものだった。




佐天「やっぱりバレてたんですね」






突如、衝撃波が御坂と食蜂の身体を襲った。

佐天を中心にして、まるで戦闘の開始を告げる音のように、冷酷な怖さだった。

佐天「どこからその事を知ったのは知りませんが……」

特に変わった様子も無く、彼女は平然と立っていた。

佐天「確かに、私は『精霊』になりました。あの日、『あの人』にこの力をもらってから……ね」



あの日ーー六月二二日に琴里と士道が精霊の力を封印するためのデートをした時に、佐天がたまたま会った『あの人』

霊力封印する少し前に観測された琴里ともう一つの霊波反応。

そして、学園都市で御坂と白井の身体を治癒した謎の能力。




その、全てがーー佐天の精霊の力。




佐天「どうします?私と戦いますか?」

その余裕の表情に御坂と食蜂は若干の恐怖を覚える。

学園都市のLevel5とあろうものが、たかがLevel0の笑顔ごときで身を引くなどありえない。

御坂「……それもいいわね。佐天さんの能力もどんなものか気になるし」

食蜂「そうねぇ。でも私は遠くから見守ることにするわぁ。私、そっち向きじゃなーー」

と、ふと言葉が止まった。

御坂「……アンタ、どうしたの?」

御坂が食蜂の顔を見ると、いつもの彼女からは考えられないような顔をしていた。

驚愕と恐怖。それを織り交ぜたような、今にも倒れそうな顔だった。

食蜂「影……」

言いながら、ある一点を指差す。

御坂「……え?」

つられて見ると、そこには驚くべき光景があった。



雲一つない空。今にも日焼けしそうな、濛々と照りつける太陽。

彼女達を影で覆う大きな建物もない。

なのに。




佐天涙子には影がなかった。





佐天「……」


幽霊なんてこの世にいるはずがない。でもならなぜこんな現象が起こっているのだ?


幻覚?本物?精霊の力?


いずれにせよ、今の彼女は只者じゃない。


佐天「そちらからこないなら、こちらから行きますね」

言うと彼女の横の地面から突如黒い何かが渦巻き、その中心からとても大きなモノが出てきた。

それは鎌。魔女が人を殺す凶器のように大きかった。

それは逆さまに、押し出されるように出てきて、彼女はその柄を掴む。

軽々しくそれを担ぐと、佐天は何のためらいもなくこちらに向かってきた。







一方通行VS耶倶矢&夕弦&四糸乃&美九

上条&真那VS浜面&麦野&絹旗&滝壺

佐天VS御坂&食蜂








さあ戦え。







己のため、大切な人を護るために。










 
 

 
後書き
影がない人ってすごく怖そう……

と、いうわけで第七章 歌姫を終えました!いかがだったでしょうか?

美九編は作者にとっても重要な章なので、伏線作ったり回収したりと色々忙しかったですw

そしてとうとう佐天さんの力が明らかになりました!(まあある程度予想されていたとは思いますがw)いずれ一方通行の狂三との契約や、上条さんの模写したような能力の意味もいずれ明らかにする予定です。あ、でも少なくても美九編では明かさないよ?w

では、しばらくこの小説を凍結したいと思います。復帰メドは6月中旬と言いましたけど、実際のところまだ分かりません。もしかしたら6月もずっと凍結するかもしれませんし、案外早く復帰するかもしれません。でもこれだけは言えます。

ストックがほぼ完全になくなったので五月での復帰はありえませぬ。

えー、そんなわけです。はい。また復帰する時にはつぶやきにてお知らせしますので、気長にお待ちいただけたらなぁと思います。

最後に、

とある3人のデート・ア・ライブを見てくださってありがとうございます!!お気に入り登録してくれた方々、本当に感謝しています!!この小説を続けられるのも読者の皆さんおかげです!!

こんな自由で奇想天外っぽい展開を繰り広げたりして意味わかんなくなる時もあるかと思いますが、これからもよろしくお願いします!!!

 
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