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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十九話 試合の後はその十

「変わらないよ」
「そうですね」
「だからあまりね」
 天気がどうであれだ。
「変わらないね」
「そこが馬術部と違いますね」
「雨の時の乗馬は大変だよね」
「濡れますし馬の蹄で泥がはねて」
「馬も人も汚れて」
「本当に大変です」 
 後のことが、というのだ。
「ですからあまりよくないです」
「やっぱりそうだね」
「ですからうちの馬術部もです」
 雨の時はというのだ。
「馬には乗らないとなっています」
「それが一番いいね」
「ニュージーランドにいた時も」
「雨の時はだよね」
「放牧をしていませんでした」
「牛とか馬の」
「羊達もです」
 ここでこの家畜が出るのがニュージーランドだと思った、ジョーンさんの話を聞いていてしみじみとこう思った。
「あの子達も濡れない様に」
「雨の時はだね」
「はい、舎の中です」
 そこから出さないというのだ。
「そうしていました」
「雨だと仕方ないね」
「そうですね。ですがお話は聞いていましたが」
 ジョーンさんはその雨雲を見つつ今度はこう僕に言った。
「日本は雨が多いですね」
「うん、他の国の人によく言われると」
「熱帯程多くはないですが」
「それでもね」
「雨の多い国ですね」
「温暖湿潤気候っていうけれど」
 日本は殆どがこれに当てはまる、中学の授業でも高校の地理でも習った。
「実際にね」
「雨が多いですね」
「今の時期は特にね」
 梅雨はだ。
「そうなんだよね」
「そうですね、ですが神戸はまだ」
「うん、その雨もね」
「少ないですか」
「量はともかく他の場所よりじめじめしていないと思うよ」
 例え梅雨でもだ。
「まだね」
「後ろに山があるからですね」
「そこから風が吹き下りてくるからね」 
 神戸の特徴の一つだ、俗に言う六甲おろしだ。
「その風のお陰でね」
「梅雨でもですね」
「じめじめしていないんだ」
「そのことは有り難いですね」
「これが盆地とかだと」
 風が山から吹き下りてくることは神戸と同じでも神戸がその風が海に抜けてくれる、けれどそこに溜まる盆地だと。
「大変みたいだよ」
「盆地ですか」
「奈良とか京都とかね」
「ああした場所はですか」
「もう湿気がそのまま溜まるから」
「じめじめするのですね」
「神戸よりもね」
 それもかなりだ。
「だから京都の梅雨は大変って聞くね」
「いい街と聞いていますが」
「奇麗なことは奇麗だよ」
 京都が奇麗な街であること僕も否定しなかった、けれど同時に京都の梅雨のことも否定しなかった。嘘はいけないと思って。 
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