黄金バット 第三話宿敵黒バット
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第三章
「出るんじゃない?」
「えっ、黒バットってビルの屋上にいるんじゃ」
「そこから出て来るんじゃないの?」
「黄金バットと同じで」
「そうじゃないの?」
「いや、何処からでも急に出て来るみたいだよ」
今度はこうしたことがお話されるのでした。
「どうやらね」
「えっ、そうなんだ」
「じゃあ本当にマンホールから出て来たりするんだ」
「ビルとビルの隙間とか」
「不意に後ろからとか」
「あるみたいだよ」
これも何処かから出た噂話ですが子供達は真剣です。
「もう何処からでも出て来てね」
「子供を攫って」
「北朝鮮まで連れて行くんだ」
「怖いね、黒バットって」
「本当にね」
心から怯える皆でした、そうしてあらゆる場所を見ているとです。
不意にです、上からです。
「フフフフフフフフフフフフフ!!」
「!?この笑い声って」
「黄金バットと違うよ」
子供達はその上からの笑い声にすぐに気付きました。
「黄金バットはハハハハハハハハハだよ」
「フフフフフフなんて笑わないよ」
「じゃあ誰!?」
「誰なの!?」
子供達は怖がって上を見上げるとです、そこには。
身体は黄金で裏地が赤の黒マントを羽織っています。ですが。
そのお顔は髑髏ですがそれでもでした。
「黒い」
「じゃあ黒バット!?」
「黒バットが本当に出て来たよ!」
『悪い奴が出て来たんだ!」
黒バットはビルの屋上に両手を腰の左右にそれぞれ置いて、黄金バットと同じ姿勢になって高笑いをしていました。首のところには見事なカラーがあります。
その黒バットを見てです、子供の一人が言いました。
「皆、逃げよう!」
「逃げようって何処に!?」
「何処に逃げるの!?」
「そんなのわからないよ、けれどね」
それでもというのです。
「とにかく逃げよう!」
「そうだね、逃げないと」
「北朝鮮に連れて行かれるよ!」
「それで刑務所に放り込まれるよ!」
「洞窟に入られるよ!」
「怖い将軍様に殺されるよ!」
皆怯えて言います、そしてなのでした。
子供達はとにかく逃げました、黒バットのいる逆の方に。ですが。
「フフフフフフフフフフフフフフフフフ!」
黒バットはビルの上と上をマントをたなびかせて跳びながら子供達を追ってきました、子供達は必死に逃げましたが。
遂にその目の前にです、黒バットが降り立ってきました。黒バットは何も言わず子供達の前に仁王立ちしています。
その黒バットを見てです、子供達っはその場に崩れ落ちてしまいました。そしてガタガタと震えて動けなくなりました。
「ど、どうしよう」
「もう足が動かないよ」
「身体が竦んで」
「怖くて」
「逃げられないよ」
もう皆泣きそうになっています。
逃げようにもです、どうしてもでした。
怖くて足が竦んで動けなくなってしまっていました。その子供達にです。
黒バットは足を前に出してきました、もう皆駄目だと思いました。
ですがそこで子供達のうちの一人が皆に言いました。
「そうだ、こうした時こそね」
「こうした時こそ?」
「何かあるの?」
「黄金バットを呼ぼう!」
こう皆に言うのでした。
「だって黒バットは黄金バットの敵でね」
「僕達を守ってくれるから」
「だからなんだね」
「黄金バットは正義のヒーローだから」
「絶対に助けてくれるから」
「だから呼ぼう」
これがこの子の提案でした。
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