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小鳥のぬいぐるみ

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第五章

「これからも作っていくから」
「そうか、これからもか」
「お陰でお部屋に一人でいても寂しくないし」
「ああ、ぬいぐるみがいるからか」
「一緒にね」
 それで、というのだ。
「全然寂しくないわ」
「そのこともよかったな」
「本当にね、じゃあこれからお部屋に戻ってね」
「まだだな」
「お勉強してね」
 それから、というのだ。
「ぬいぐるみ作るわ」
「今度は何のぬいぐるみを作るんだ?」
「トナカイよ」
 くすりと笑ってだ、この動物のものを作ると答えたのだった。
「今から作るの」
「そうか、今度はトナカイか」
「雪見てて思ったの」
「あれか、サンタさんの」
「そう、それでね」
 雪を見てサンタクロースを思い出しそこからサンタの橇を挽くトナカイまで連想してそのうえでというのだ。
「作ろうって思ったの」
「それは自分の手元に置くのか?」
「そこまではまだわからないけれど」
「それでもだな」
「そう、作るから」
 このことはもう決めているというのだ。
「だから今からね」
「そうか、じゃあ頑張れよ」
「うん、また作るから」
 こう言ってだ、セーラは自分の部屋に戻ってだった。暫く経って兄にこう言った。
「出来たわ」
「トナカイのぬいぐるみもか」
「そう、それでね」
「そのぬいぐるみはどうするんだ?」
「マリアにあげるわ」
「マリアって?」
「クラスメイト。私のお友達なの」
 その娘にというのだ。
「あげるわ」
「その娘もぬいぐるみ好きなんだな」
「そうなの、それにものを大事にする娘だから」
「若し大事にしない娘だとな」
「あげてもね」
「壊されたり粗末に扱われたりするからな」
「ものを貸してそのものを壊して笑って謝る人っているけれど」
 そうした人間にはとだ、セーラは顔を顰めさせて言った。
「そうした人にはね」
「あげられないんだな」
「絶対に無理よ」
 絶対にという口調の言葉だった。 
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