八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十八話 豪新戦その二
「そんな漢字の使い方があるんですね」
「そうなんだ、あとね」
「あと?」
「中国だとね」
水蓮さんのお国であり漢字を生み出した国であるこの国の話もした。
「米国じゃなくて美国になるんだ」
「中国ではですか」
「うん、そうなるんだ」
やっぱり紙に書きながら話した、実際に美国と。
「こうね」
「その国によって漢字が違いますね」
「アルファベットでもそうじゃない」
「そういえば」
「ほら、日本も英語とフランス語、ドイツ語でそれぞれ言い方やアルファベットの綴りが違ってるよね」
「そういえばそうですね」
ジョーンさんはこのことにも頷いてくれた。
「確かに」
「だからね」
「このことはですね」
「どの国、どの言葉でもね」
「言えることですね」
「そうだよ、とにかく日本の漢字の使い方はね」
あらためてこのことについて話した。
「こうなんだ」
「他にも色々な使い方がありますね」
日本の漢字の使い方についてだ、ジョーンさんはさらに言った。
「音読みと訓読みを合わせたり」
「うん、あるよ」
「この歌舞伎ですと」
「あっ、歌舞伎観たんだ」
「テレビで」
NHKで時々している、NHKは他に歌劇もしてくれる。
「観ました」
「どの題目かな」
「先代萩といいまして」
「ああ、あれね」
この題目は僕も知っている、歌舞伎の全ての題目を知っている訳ではないけれどこの題目は観たこともある。
「あれは面白いね」
「あれでは先代と仙台を合わせていますね」
「仙台藩の伊達騒動を元にしているからね」
それで先代萩なのだ、仙台藩で起こったお家騒動でその作品設定も誰がどう見ても伊達家になっている。今だと絶対に上演出来ない話だと思う。
「そうした言葉合わせなんだ」
「そうですよね、それと」
「それとだね」
「伽羅と書いて『めいぼく』と読むんですね」
またジョーンさんから言って来た。
「そうですよね」
「ああ、それね」
「伽羅先代萩が正式な呼び名ですね」
「そうなんだ、けれど」
「けれど?」
「いや、伽羅をね」
僕はこのことは少し苦笑いになって言った。
「『めいぼく』と読ませることがね」
「無理がありますか」
「強引って言えば強引だね」
「日本語にしてもですね」
「うん、しかも強引でいてね」
それに加えてとだ、僕はまた言った。
「センスあるね」
「それも抜群の」
「これも日本語だね」
「日本語のセンスですね」
「そうだね、このセンスは」
僕はあらためて思った、そのうえでこうジョーンさんに言った。
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