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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十七話 日本の花その十

「高いのよ、これが」
「うん、エスカルゴって高いよね」
 僕もこう返した。
「一つ一つが」
「私も一回食べたことあるけれど」
「美味しいこと美味しいけれどね」
「それでもね」
「うん、そうそう食べられないよ」
 僕は八条家のパーティーに招いてもらった時に何度か食べている。ちなみに僕は普通に呼んでもらえるけれど親父は呼ばれない。何でも昔そこでも女の人を手当たり次第にゲットしてしかも大酒を飲んでいたらしい。
「あれは」
「大家さんでも」
「うん、それにね」
「それに?」
「僕はフランス料理は嫌いじゃないけれど」
 ここで僕は自分の好みのことも話した。
「どっちかっていうとイタリア料理の方が好きなんだ」
「そうなの」
「パスタとかピザとかね」
「高いのじゃなくて」
「普通に食べられるね」
 そうしたイタリア料理がなのだ。
「好きだから」
「それでエスカルゴも」
「美味しいとは思うけれど」
 それでもなのだ。
「イタリア料理とどっちかっていうと」
「イタリア料理なのね」
「そうなんだ」 
 こうニキータさんに話した。
「僕はね」
「イタリアね」
「イタリアって国自体が好きだし」
「お料理もなのね」
「うん、好きなんだ」
「だからパスタとかピザも」
「よく食べるんだ」
 実際にそうだ、そして僕はニキータさんにこのことも話した。
「ワインもね」
「イタリアのをよく飲むのね」
「そうなんだ、まあそれは置いておいて」
 イタリアの話をだ。それから僕はニキータさんにあらためて言った。
「とにかくね、このカタツムリはね」
「食べられないわよね」
「うん、食べようと思えば食べられると思うけれど」
「まずいわよね」
「多分ね」
 食べたことがないから確かな味はわからない、けれどこのカタツムリが美味しいかと聞かれるとこう答えるしかなかった。
「美味しかったらもうね」
「皆食べてるわよね」
「そう思うよ」
「実際にエスカルゴにしても」 
 ここでだ、留美さんが言って来た。
「何度も丁寧に下こしらえをして」
「それでなのね」
「食べるものなので」
 こうニキータさんに話すのだった。
「そのままでは」
「食べられないのね」
「美味しくないとか」
「というかエスカルゴも食べるのに手間がかかるのね」
「相当に」
「ううん、そこまでして食べるって」 
 ニキータさんは紫陽花の上のカタツムリ達を見つつ留美さんに答えた。
「ある意味凄いわね」
「確かに」 
 留美さんも頷いて答えた。
「そうは出来ないことかと」
「そうよね」
「まあエスカルゴ食べなくてもね」
 今度は日菜子さんが話に入って来た。
「死なないわよ、むしろね」
「むしろといいますと」
「私的には蝉の方がいいと思うわ」
「あっ、蝉は」
 日菜子さんの笑っての言葉を受けてだ、留美さんは頷いてこう言った。 
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