八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十六話 バーベキューその十
ワインを一本空けたところでだ、日本酒を飲んでいる小夜子さんにこう言われた。
「こうして皆さんで食べることはいつもですが」
「八条荘ではね」
「はい、ですがお外で食べますと」
「それはそれで、だよね」
「いいものですね」
お酒で真っ赤になったお顔でだ、
小夜子さんは僕ににこりと笑って言って来た。
「バーベキューは最高です」
「小夜子さんも広島では」
「時々ですが」
「バーベキュー食べてたよね」
「バーヴェキューの時は」
まさにその時は、というのだ。
「ほぼ絶対に牡蠣が出ました」
「広島名物のですね」
「はい、牡蠣がです」
「ですか、やっぱり広島ですと」
「牡蠣は外せないです」
そうだとだ、小夜子さんは焼かれている海老を食べながら僕に話してくれた。
「広島ですと」
「ううん、牡蠣は」
「義和さんは牡蠣は」
「好きだよ」
嫌いじゃないどころかだ、かなりだ。特に牡蠣フライに牡蠣のグラタンが好きだ。どちらも白ワインで、となる。
「美味しいよね」
「美味しいだけでなく、です」
「栄養もだね」
「海のミルクです」
実際にそう言われているけれど小夜子さんもこう言った。
「非常に栄養も高いので」
「食べると身体にいいんだよね」
「そしてです」
「あっ、まだあるんだ」
「牡蠣にはアルコールを分解するものも入っていますので」
それで、というのだ。
「二日酔いにもなりにくくなります」
「飲みながら食べても」
「流石にかなり飲んだら違いますが」
それでも、というのだ。
「かなりのアルコールをです」
「分解してくれて」
「二日酔いを防いでくれます」
「それはいいね、僕もね」
「二日酔いのご経験がありますね」
「何度かね。親父も結構」
酒に強い親父だけれど何分相当な大酒飲みなので。何しろ黒田武士みたいに飲んでこそといつも言っている位だ。
「二日酔いになっているから」
「ですから」
「そうした時にもだね」
「牡蠣はいいのです」
「物凄くいい食べものだね」
「子供の頃からよく食べています」
地元だけあってだ、まさに。
「ですから今はこうして」
「健康なんだね」
「何とかそうなっています」
「そうなんだ、牡蠣は小夜子さんの元気の源なんだ」
「そうです、牡蠣に柑橘類にお好み焼きがです」
この三つが、というのだ。
「私の生きる力の源です」
「そうなんだね」
「そしてこちらもです」
日本酒も飲みつつだ、小夜子さんはまた言った。
「それに」
「それにだね」
「はい、これは広島の地酒ですが」
「それも小夜子さんの生きる力なんだ」
「そうなっています」
言いながらだ、小夜子さんはプラスチックのコップの中のお酒を飲んだ。お皿もそうだけれどプラスチックなのは落としても割れないことと何度も再利用出来るからだ。
「ですから」
「今もだね」
「こうして飲んでいます」
そうだというのだ。
「広島の地酒もいいんだ」
「広島は元々です」
「お酒がいいんだね」
「土地がいいので」
つまりお米が美味しいというのだ、日本酒を造る元のそれが。
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