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世界のルール

作者:茅島裕
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欲しい者

 
前書き
弱い者を相手にしたって得る物は無い
人に寄っては快感にもなるのだろうが
では、強い者ではどうだろうか? 

 
食パンを片付け(食べ)、ソファに座りながら一息吐く。天井を見上げてさっきの出来事を思う

なんでこんな世界になってしまったのだろうか、何を手にするのにも、殺る殺る殺る
確かにこの世には仕事と言う物があり、それで金を稼ぎ、生活している人間が居る。それが『I』だ。だが、その『I』の仕事は、僕達『D』が使うこの腕輪やら何やらを造る人間だ... 結局はこの殺伐とした世界に変わりはない。むしろ、『I』がそんな物を造るからダメなんだ
じゃあなんで『I』は造ったんだろう
『国家』の仕業だよ、国家の命令なんだよ
そう、この殺伐とした世界は、国家が作った、国家が決めたことなんだ
もう一度言う、殺って手に入れた物で生活するのがDだ
僕はこんな世界が気に入らない
だからこそ、今のこの世界のルールを使ってやる、良いように使ってやる、楽しんでやる

この世界を変える


■■■



「そろそろ僕も活動を始めないといけない」

世界を変える
つまり世界を変えた国家を殺れば世界を変えた力を手に入れられる
それを昔から考えて今でも叶えようとしている
でも、それを実行するにはそれ相応の力が必要だ。だからと言って自分が弱いと思ったことはない、強いと思ったこともない

「どうせ自分より強いやつを相手にするんだ」

ソファーから立ち上がり、近くに投げ捨てられていたコートを手に取り、着る

玄関までゆっくり歩き、靴を履き...

「行って来ます」

誰も居なくなった部屋は静まる、自分が居たとしても静まっていることには変わりなかった
まぁ、そんなことどうだって良いのだけれど

外に出て、鍵も閉めずに階段を降りる
先ほど無惨に殺された奴らはもう消えていた
誰も消えた所は見たことがない
死んだやつらはいつの間にか何処かへ消え、居なくなる。墓を作らなくて済むな

コートのポケットに手を突っ込み、アクビをしながら道を歩く
特に行く当てもない
ただ適当に歩いていれば目的が出来るだろう。ただでさえ家の中に居てもあの様だ
退屈しないぜ全く

出来れば自分より強いやつ、コレクターでも良い、かかって来い
自分から挑むことはしたくない。ルールを楽しみたいだけだから、ルールを楽しんで尚且つ強くなりたいだけだから
国家がどれだけの力を持っているかわからない、こんな世界を考えた奴らだ、包丁一本で殺れるようなグルではないだろう...

「こんに〜ちはっ♪」

考えをまとめていると、声が聞こえてきた
自分に向けて声をかけてきたのだろうか、そんな感じがしたのでちらりと見てみる

にっこり笑顔を見せて声をかける男だ... 腕輪の色は、黄色。殺し屋ではない
ただ... なんとなくチャラい感じがする、苦手なタイプの奴だ

「無視しないでくださいよ〜 そんな(しか)めっ面でぇ〜」

うざい
一言でうざい
殺りに、殺気立てて来たのならこっちも相手にするが... ただうざい奴がうざく声かけてきただけじゃ殺るにも殺れないだろ。そもそもこいつを殺りたいわけでもない、黄色の腕輪同氏だ、黄色の腕輪(ピース)で居たい

「お兄さんってもしかして結構強い? 黄色みたいだけど」

「そんなの僕は決められない」

呆れた
目を逸らして答えた

「じゃあちょっと腕輪の中見せてよ」

「鬱陶しい」

「つれないこと言わないでさぁ」

ナンパかよ...

無視して歩く...が

「じゃあ闘うから。殺り合うから」

足を止め、ため息を吐き、そいつを睨みつけ

「馬鹿かよあんた。何が目的だ? 何が目的で僕の腕輪の中を見たいんだ?」

「そりゃあ...まぁ、欲しい物持ってたら...」

睨みつけていた奴は、ニヤリと笑みを見せると
僕の腹に銃を突き付け

「奪う為だよぉ♪」

はぁ... 今度は銃かよ

「どうする? 見せてくれたら。そのまま欲しい物があってくれたら。撃たないであげるけど」

奴の突き付けている銃はマグナム銃。威力は高いだろう。腹部を撃たれても、一発で致命傷、治癒を薄めたら、即死だ

「許せ」

「えぇ〜 なに? 見せてくれたら許してあげるけど」

「違う。お前が持ってるその銃をくれた奴を許してやれって言ってんだ」

「あ?」

何を言っているんだ? 馬鹿じゃないのか? からかっているのか?
そんなことを考えているであろう奴は威圧をかけてくる
そんな奴の顔を見て...

カラン....
カチン...
パラパラ

地面に何か落ちる音
そう、それも"何かの部品"のような小さい物
金属でできた小さな銀の筒やバネ

いつの間にやら手に持っていた小型のナイフを腕輪にしまい、奴を無視して歩きだそうとした

「動いたら殺すぞっ!? わかるよな?」

殺すぞ、その忠告も無視し、歩きだした

「殺す、か。何で?」

「はぁ!? これでに決まってんだ....ろ.......っ!?」

「へぇ、凄い。君はそれで僕を殺すんだね」

言う。奴が持っている、バレルの亡くなった銃を見て不敵に笑みを浮かべながら、そう言う

じゃあね、手を振って前へ歩いた
背後からの物凄い殺気など知らず、歩いた

「ぶっ殺すっ!!」

後ろから走ってやってきた奴を避け、脇腹に膝を入れる。呻き声を上げながら咳き込む奴の腕にかかと落とし。奴が手に持っていたナイフが落ちる

「銃の次はナイフですか。FPSゲームじゃないんですよ?」

回復したのか、手を伸ばして落としたナイフを取ろうとする。ちょっとした気遣いだ、ナイフを蹴り、その手に刺してやった

「ナイフを取るの。手伝ってやったんだ。感謝しろよ」

ギャーギャー騒いでいる奴のナイフが刺さった手を地面に踏み込んでやった
これでもうナイフを手放すことはないだろう?

ナイフは地面にめり込み、奴は動けなくなった

「取ってくれっ! 取ってくれぇぇぇ!!」

五月蝿い
ちょっと黙ってろ

奴についている腕輪を掴み、よく見てみる
黄色の部分が捲れ、赤色の部分が見えかけている
シールか... 無差別に人に銃を突き付ける奴が黄色のわけない。薄々は気付いていたが...

チッ
と舌打ちをしてその場から離れようとする。奴が残った動く手で足を掴んでくる
ゆっくり引っ張ってやった

「このままそっちの腕が伸びたら手が痛いんじゃないか?」

奴は手を離し、ナイフを取ることに専念しだした

また、歩きながら考える

この世にはもう、黄色は居ないのだろうか?
さっきの奴が黄色で、少し嬉しかった。だが、結局は赤色だ。偽装していた。呆れた
黄色の奴にはそれぞれ相応な目的があるはずなんだ。目的が一緒なら、仲間になりたい、仲間にしたい... 武器集めもそうだが、一番の目的はこれかもしれないな

黄色が居れば...

欲しい物(者)は、仲間か  
 

 
後書き
赤色はただの殺し屋
黄色は対応型
青色はとんでもない平和主義、または臆病者 
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