剣を手に
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4部分:第四章
第四章
「間違いなくだ」
「ではこれで終わりですか」
「あの巨人が死ねばこれで」
「これで終わりですな」
「そうではないだろう」
しかしであった。ベイオウルフはこう言うのだった。
「おそらくまた来る」
「えっ、またですか」
「また来るというのですか」
「そうだ、来る」
あくまでだ。こう言うのである。
「間違いなくな」
「しかし。巨人は死ぬのですよね」
「助かるものではないと仰っているではありませんか」
「それでまたどうして」
「また来るというのですか?」
「巨人は一人か」
彼が今言うのはこのことだった。
「果たして一人か」
「あのグレンデルだけではないと」
「そう仰るのですか」
「そうだ。一人とは限らない。我等にも家族がいる様に」
そうした人手人と同じともだ。彼は言うのである。
「巨人にも家族がいる」
「だからですか」
「それでまた来るかも知れないと」
「巨人の家族がいれば」
「まだ用心が必要だ。そして」
ここでだ。また言う彼だった。
言いながら巨人が残していった腕を見てだ。こんなことを話した。
「これが使えるだろう」
「腕がですか」
「巨人の腕が」
「貴殿等は自分の兄弟の腕なり何なりが取られたらどうする」
その場合はどうするかというのだ。
「その場合はだ。どうする」
「それはやはり」
「その手をです。取り戻し」
「そのうえで共に葬ります」
そうするとだ。彼等も答える。
「兄弟が亡くなれば余計にです」
「そうせずにはいられません」
「そういうことだ。ならばだ」
またその腕を見てだ。話すベイオウルフだった。
「巨人の家族がいれば必ずここに来る」
「この宮殿にですか」
「また来ますか」
「そしてですね」
「腕を取り返しに来る」
「それを待つ」
ベイオウルフは今は腕を組んで言い切った。
「後は俺がやる」
「そのうえで巨人を倒す」
「ここで」
「さてな。それはどうか」
あえてだ。そこは言わないベイオウルフだった。
その代わりにだ。彼はこう兵達に話した。
「とりあえず今はだ」
「話は終わった」
「そういうことですね」
「そう、終わった」
終わったというのである。とりあえずグレンデルのことはだ。
そうしてだ。彼は話すのだった。
「ではだ」
「飲みますか、今は」
「とりあえずベイオウルフ殿が巨人を倒されましたし」
「それを祝い」
「祝い等はいいがあの巨人は間違いなく死んだ」
ベイオウルフは自分を祝ってもらいたくはないとしたうえでだ。兵達に話す。
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