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歌集「春雪花」

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14


 肌寒き

  部屋に紫煙の

   漂いて

 想うは君の

    事ばかりなり



 煙草に火をつけ、煙を吐く。ゆっくりと舞う煙にさえ、彼の記憶が見え隠れする…。
 気付けばもう…ずっと彼のことしか考えていない自分がそこにいる…。



 笑えずに

  見回す此処へ

   君は居ず

見上げし空の

     月は嘲り



 ふと笑みが凍りつく…。彼が居ない現実が胸へと迫り、居た堪れずに外へ出ると…月がまるで私を嘲っているかの様に見え、自分の居場所などないのだと思った…。

 愛されないのなら…何処へ逃げよう…?



 
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