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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十五話 最後の人その十二

「大変なのは」
「そうなんですね」
「ですから」
 畑中さんの言葉は真面目なものだった、その表情も。その表情ならそれでだ。こうも言ったのだった。
「これからです。私達も及ばずながら」
「義和様のお力をならせて頂きます」
 奥さんもだ、僕に言ってくれた。
「ですからご安心下さい」
「義和様はお一人ではないので」
「僕を助けてくれるんですか」
「はい」
「そうです」
 その通りという返事だった。
「及ばずながら」
「お力にさせて下さい」
「何かあればです」
「お話して下さい」
「すいません」
 有り難い言葉だった、それでだった。
 僕はお二人にだ、頭を下げて言った。
「若しそうした時があれば」
「私達使用人一同」
「義和様の為に働かせて頂きます」
「そうしてです」
「このアパートを平穏で幸せなものにしていきましょう」
「平穏で、ですね」
 僕はお二人の言葉も受けて述べた。
「そして幸せにですね」
「そうです、誰もが過ごしやすいアパート」
「この八条荘をそうしていきましょう」
「その為にです」
「何かあればお声をかけて下さい」
「わかりました」
 僕はまたお二人に頭を下げて応えた。
「その時はお願いします」
「それでは」
「これからも」
 お二人は優しい声で応えてくれた、そして。
 それからだ、畑中さんは僕にこう話してくれた。
「それでなのですが」
「はい、温度は」
「皆さんが揃われたので」
 その入居者の人がというのだ。
「それでなのですが」
「何かあるんですか?」
「バーベキューを焼いてです」
「親睦を、ですか」
「深めようと思うのですが」
 こう僕に話してきた。
「如何でしょうか」
「それで」
「いいですね」
 僕はお二人の提案に笑顔で答えた。
「アパートのお庭で、ですね」
「はい、あそこでです」
「バーベキューをしましょう」
「それだけの広さがありますし」
「是非共」
「そうですね」
 僕はその笑顔で答えた。
「それじゃあ」
「明日の夕食はです」
「そうしましょう」
 こうも言うお二人だった。
「皆さんでバーベキューを」
「お酒も用意しますので」
「それじゃあ」
 僕も頷いてだ、そしてだった。
 僕は皆が揃ってそれからのことも考えることになった、一体管理人としてどうしていくのか。こうしたことも考えたのだった。バーベキューを前にして。


第二十五話   完


                             2014・12・20 
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