もう年下でも
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第七章
「その、まあ」
「まあって」
「何もないです」
こう言うのだった、途中で言葉を止めて。
「スーさんがそう仰るのなら」
「何が言いたいのよ」
「いえ、それでメロンパンがなくなってますので」
「あと黒パンが何種類かね」
「そっち出してきます」
「それじゃあね」
こう言ってだ、それでだった。
ペドロは店の中に入った、この時はそれで終わった。
だが爺さんの言葉が気になってだ、スーはその言葉を意識する度に。
ペドロを見た、そして仕事が休みの日に街の友人達と共にいてそうしてだった。何気なくを装って問うたのだった。
「うちのお店に若い子雇ったけれど」
「ああ、あの男前の」
「あの子ね」
友人達はすぐにスーに返した。
「あの子がどうかしたの?」
「何かあったの?」
「皆の評判はどうなの?」
「顔がいいだけじゃなくて」
「それにね」
それに加えてとだ、友人達はスーに答える。
「礼儀正しくて接客もいいし」
「パンも焼いてるのよね」
「物凄く美味しいわよ」
「いい子じゃない」
「掘り出しものよ」
「お似合いじゃない?」
一人が何気なく、彼女は意識せずそうしてスーに言った。
「スーと」
「えっ、けれど私は」
「年上がっていうのね」
「しっかりした人がね」
「しっかりしてるのって年齢じゃないでしょ」
その友人はこう言うのだった。
「その人がどうかでしょ」
「そう言うの?」
「お爺さんお婆さんでもしっかりしてない人いるし」
だからだというのだ。
「若い子でもね」
「しっかりしてる子もいるっていうのね」
「ペドロ君はしっかりしてるしよく気がつくししかも親切でしょ」
「いい子よ」
そのことは間違いないというのだ。
「本当にね」
「そうでしょ、だったらね」
「それならっていうのね」
「そう、スーにあの子は相応しいわよ」
そうだというのだ。
「結婚したら?」
「またずばりって言うわね」
「だってスー結婚したいんでしょ」
「もう私も二十五だから」
そこはとだ、スーも真剣な顔で返す。街の喫茶店でコーヒーを飲みながら話しているが今はコーヒーの味よりもこちらだった。
「だからね」
「そうよね、だったらね」
「結婚したいのなら」
「そう、年下とか関係なく」
「いい相手なら」
「結婚すべきよ」
こうスーに言うのだった、そして他の友人達もだ。
その友人に続いてだ、こう言うのだった。
「そうそう、その通りよ」
「愛にそんなの関係ないでしょ」
「しっかりしている子ならよ」
「年下でもいいじゃない」
「いい子ならね」
「皆もそう言うのね」
スー以外の娘は全員結婚している、その彼女達に言われてだ。
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