もう年下でも
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第六章
「しかもスーちゃんも旦那さん探してるし」
「私は年上の人なの」
スーはその目をむっとさせて爺さんに言った。
「年上の人でないとね」
「嫌っていうのかい?」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「私はね」
「いやいや、それはな」
「それは?」
「別にいいんだy、年上でも年下でも結婚していい相手ってのはいるんだよ」
爺さんは酒で上機嫌になっていてその笑顔で言うのだった。
「それでそっちの兄ちゃんはな」
「結婚していい相手っていうのね」
「わしはそう思うよ」
こうスーに言うのだった、また。
「お似合いだよ、二人共」
「お爺ちゃん飲み過ぎよ」
スーは爺さんに目をさらに顰めさせて言った。
「幾ら何でも」
「いやいや、酔っていてもな」
爺さんは飄々としてスーに返した。
「わしはちゃんとしてるよ」
「全然そうじゃないわよ」
「御前さん達ならやっていけるよ」
こうも言ったのだった。
「お店も。それに夫婦としてもね」
「だから私は」
「まあわしの見たところだがね」
「冗談よね」
「わしは冗談は言わんよ。まあサンドイッチのお勘定は」
財布から顔を出してだ、そしてだった。
爺さんはペドロが勧めたサンドイッチを買ってだ、そして店を後にした。スーはその爺さんを見送ってからsペドロに言った。
「お爺ちゃんは飲んでるから」
「だからですか」
「気にしないでね」
困った顔で言うのだった。
「特にね」
「そうですか。ただ」
「ただ?」
「いや、実は僕も」
「ペドロ君も?」
「何かですね」
スーに今まで見せたことのない照れ臭そうな顔でだ、ペドロはスーに言って来たのだった。
「悪い気はしないかなって」
「えっ、ペドロ君も冗談言うの!?」
スーは彼のその言葉に焦って返した。
「そこで」
「冗談に聞こえます?」
「当たり前でしょ」
狼狽を隠せない声でペドロに返した。
「そう言われたら」
「そうですか」
「そうよ、私はね」
スーは必死な様子でペドロに言い続けた。
「結婚相手、付き合う人は」
「年上ですよね」
「そうよ、そう決めてるから」
だからだというのだ。
「ペドロ君には悪いけれど」
「そうなんですね」
「そう、ペドロ君はお店の従業員」
そしてだった。
「私はお店の娘よ」
「それだけですね」
「そう、それだけだから」
それでというのだった。
「そうした相手じゃないから」
「そうですか」
「残念?」
「そう言われますと」
今度はペドロが少し慌てた感じになった、そして言うことは。
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