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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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神の怒り

ロード、そして残りのメンバーを見て、闇神ダークネスウイングは、先にいる敵軍を見る。
「……よくも、うちの馬鹿を面倒な事に巻き込んでくれたな」
神は静かな怒りを覚え、神力を解放する。ダークネスウイングは、漆黒騎士団より先に来てしまったために、騎士団のメンバーは揃ってはいないが、数的には全て葬れる力を持っている。
殲滅は、容易かった。
「ハアッ!」
黒い翼を羽ばたかせ、敵本陣上空を飛行する。
左側に、揃いの金属鎧に身を包んだ暗黒騎士団、約五千。右側には逞しい裸形を革帯で締め上げた拳闘士団、同じく五千。
更に後方に、亜人の残党と思しき一万以上のオーク、ゴブリン歩兵と、大規模な部隊が展開している。
が、それはダークネスウイングには関係無い。やがて、騎士と拳闘士の部隊に挟まれる様に密集する、黒衣の集団があった。術師部隊、約二千。
ダークネスウイングの姿に恐れたのか、ばらばらに後退しようとしてきる。
「ふざけるな、恋心『ダブルスパーク』!!」
スペルカードを起動させ、大気を灼いて平行に迅った二条の光線が、後退する暗黒術師達の行く先に突き刺さる。
大地揺るがす爆音。吹き上がる火炎。巻き込まれた人影が、木の葉の様に舞う。
炎に退路を塞がれた術師らは、完全に統率を失い、ひとところにわだかまった。
ダークネスウイングは暗黒星雲(ダークネビュラ)を高々と抜き放つ。深い黒で塗られている漆黒の剣が、太陽の元で輝く。
「心意……解放……!」
心意を解放した暗黒星雲は、辺りを闇で覆う。
「全てを……喰らえ、フェンリル!!」
途端、其処ら一体が闇に喰われ、跡形も無く消え去った。
「ダーク!!」
そこに、ロードが追い付く。
「おお……よう、ロード……」
「フラッフラじゃ無いか!!大丈夫なの!?」
「チョイと無茶が過ぎただけだ……」
ダークネスウイングは言うと、剣を背に戻す。
と、そこにアリスが叫んだ。
「ーーー我が名はアリス!!整合騎士アリス・シンセシス・サーティ!!人界を守護する三神の代理者、“光の巫女”で在る!!我が前に立つもの、悉く聖なる威光に打ち砕かれると覚悟せよ!!」



































†††












































動き出した闇の軍勢が巻き起こす土埃が、血の色の星ばかり瞬くダークテリトリーの夜空に幾筋もたなびき始めた。
晶素から生成した簡易望遠鏡を覗いていた騎士長ベルクーリが、顔をあげて低く唸る。
「こりゃ何と……暗黒神とやらは、随分と嬢ちゃんにご執心の様だな。ほぼ全軍で追っかけてくる気らしいぞ」
「喜ぶべき、なのでしょうね。少なくとも無視されるよりは遥かにマシです」
「……マシって言えるのがマトモじゃない奴なんだが」
ダークネスウイング……いや、既に戻っているダークが、自前の食料を食べて言う。因みに、つい先程漆黒騎士団も到着し、団長のジョー、副長のエトナが揃って真後ろに待機している。
騎士長ベルクーリが、口を開く。
「今後の方針だが……基本的にはダーク……いや、闇神ダークネスウイングの騎士団と共同し、囮部隊の整合騎士五と千二百五十の衛士の最後の一人が倒れるまで、ひたすら敵軍を引っ張り、頭数を削いでいく、と言うことで良いんだな?」
ベルクーリの言葉に、アリスが頷く。
「私はそう考えています。既に、侵略軍五万の内半数以上を殲滅し、また最も厄介と思わされた暗黒術師隊もダークネスウイングが全て掃討しました。後は敵主力たる騎士と拳闘士をある程度消耗させ……そして暗黒神ベクタさえ倒せれば、残敵が休戦交渉のテーブルに着く可能性は高い、と思いますが如何でしょう?」
「そいつは俺も賛成する」
「うむ……問題は、その時敵軍の頭が誰になっているのか、と言うことだがな……。シャスターの小僧さえ健在ならばな……」
「……ん?シャスターって、暗黒騎士の?」
すると、ベルクーリが言う。
「ああ。あの小僧なら、交渉のテーブルに着いてくれるかと思ったんだが……」
「ああ、そいつならうちで預かってるよ?」
すると、ベルクーリが呆けた顔をした。

「……は?」

「ああ、いや。一度道を間違えてだな、シャスターが殺される前の所でベクタの城に行ってしまったんだわ。序でにそいつを救出して、ある程度撹乱させて逃げたから討伐の時間が無かったんだわ」
ダークは笑いながら言うが、ベルクーリは何故か真剣な顔でダークに言う。
「でかしたぞ小僧!!これなら此方にも勝ち目は在る!!」
「……え?そんなに重要な人物だったのか?」
「あいつらに取っては目の上のたんこぶ、我々にとっては希望だ!!よくやってくれたぞ!!」
ダークはポカーンとし、アリスもまたポカーンとした。
そこに、レンリが現れた。
「報告します、騎士長殿!この先八百メル程南下した所に、伏撃に利用可能と思われる地帯が広がっています!」
「よし、偵察ご苦労。全軍をそこまで移動させてくれ、配置は追って指示する。お前さんの竜はそろそろ限界の筈だ、たっぷり餌と水を与えて休ませておけよ」
「はっ!」
「そんじゃ、俺らも部隊移動させっぞ!ジョー、エトナ、手伝え!」
「「イエス、マイロード!!」」
騎士礼をすると、ダークは二人をつれて、自らの騎士団の所に出向いた。 
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