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宇宙世紀UC外伝 もう一つのUC計画

作者:C.D./hack
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出会い

 
前書き
め・ちゃ・く・ちゃ!
ミッシングリンクに入りますが、知らないことだらけですのでご都合主義があるかもです。

番外個体の名前を募集してます、お願いします!! 

 
 
「お父さーん…………!お母さーん…………!行かないで!僕を置いて行かないで!」

 暗闇の中でただ一人、二つの影を追いかける子供がいた。

 昔の話。国力が劣るジオン軍は、国力ある地球連邦の子供たちを誘拐した。

 そして、強化――――――――改造した。優秀で忠実な犬へ。強化するだけでなく、丁寧に頭の中をいじくって。従順に。より従順にするために。

 そして、その計画により、未来を担う『可能性』を持った子供たちが殺された。ある者は心が壊れ、ある者は人を殺すことに喜びを覚えた。

 その中で唯一。たった一人だけ『人間』を保った子供がいた。その子供は『ある能力』を覚醒させるために16歳程度まで成長させられたが、何も起こらなかったために『壊れてしまった自分』が行く墓場送りにされた。

 連邦は可能性を奪うために、何度も制圧しようとそこを襲撃したが、その『人間』を保った子供によって撤退を強制された。

 その子供が乗る機体は、黒色で肩に犬のパーソナルマークが付いていたこと、墓を守っていたことから、いつしかこう呼ばれるようになった。

 墓守(チャーチグリム)…………黒妖犬(カぺルスウェイト)と――――――――…………。

 そして。その計画をジオンは『星の子供計画』、通称スターリングチャイルドと言った。

 暗闇の隅で泣いている子供を、手を伸ばして引き上げた女がいた。

「カペル、帰ってこい!!」

 虹色の燐光が周囲に広がり、悪夢の中にもかかわらず、暖かい光がカペルを包み込んだ。




 カペルは目を覚ました。

「悪夢だ。また…………。しかし、久々に見たな。あの夢…………。」

 手を動かそうとしたが、何かが手を握っている。質感ですぐに髪であることがわかり、視線をそちらに向けた。鮮やかなオレンジ色の髪。番外個体だ。

 しばらくすると寝息が聞こえてきた。シャアから逃げ切った。生きている。そう生きてー。

 その命が生きていることがわかると、カペルは少し安堵した。

 しかし、ここはどこだ?

 周囲を見渡したが、点滴などの医療器具があるだけで、ここがどこかを判断するのは難しかった。

 病院?いや、それはない。モビルスーツに乗っていたはずが、突如として病院にワープするなどあり得ない。

 カペルはなんとか体を起こすと、自分が倒れてからのことを思い出した。

 ここがどこかはすぐに分かった。俺を拾ってくれた人はガエル・チャン。そして、その所属は。

 ビスト財団。

 知り合いの諜報部が言っていた、突然歴史に姿を現した組織。サイアム・ビストと呼ばれる当時の主が、たった一代でその財力と派閥を拡大させたとされている。

 (確か今の当主は…………)

「お目覚めかね、カペル・グラウス中尉?」

 声の中に死線を生き抜いた迫力を感じさせる男。この男こそが、今考えていたその男。

「ああ、お目覚めさ、カーディアス・ビスト。俺と番外個体を助けてくれたこと、感謝する」

 その言葉に後からカペルは付け足した。

「だが………噂通りのあなたなら、何か裏があるだろう?」

「お見通しか」

 微笑してこちらを見たカーディアスの顔の瞳は、確信を帯びているのがわかった。

「私の財団のテストパイロットが2週間ほど前に、ネオ・ジオンに撃墜され死んだ。その代わりがいる」

「その代わりになれと?」

「君ほど感がいいと話しやすくて助かる」

 だがそれは俺たちにとって希望の光だった。ジオンを亡命して中尉の座も無ければ、金も何も無い。しかしここにはそれがある。働けばその対価はしっかりやるという申し込みに、拒否という選択肢があるだろうか?

「だが、テストパイロット?テスト機なんて物があなたたちにあるのか?」

「あるさ。私たちもある計画のために動いている」

「計画?」

 問いただすとカーディアスは意外なほどあっさりと答えた。

「UC暦100年の節目に向けての計画…………通称UC計画。それに使われるモビルスーツ、RX–0ユニコーンガンダムの開発だ」

「おいおい、あんたもう逃がさない気だな。しかもガンダムたぁ…………」

「サイコフレーム」

 突然発せられた意表をつくカーディアスの言葉に、思わず息が詰まった。

「それを全てムーバブルフレームに使う」

「へぇ。だがそんなにサイコフレームがあんたらにはあるのか?」

「君が持っていたタブレットだ。それを解析して勝手に使わせてもらった。そこからアナハイムに発注して作っている。そして今試作機を造っている。君の持ってきた機体をベースにな。もう完成の一歩手前だ」

「あのじゃじゃ馬をか!?…………って、あれ?完成の一歩手前?てーことは俺は一体いつまで寝てたんだ!?」

「二ヶ月だな」

 膨大な月日を寝ることに費やしていたことが信じられなくて、カペルは早速立ち上がった。

「そのモビルスーツを見せてくれ。追加装備とか、俺が乗る機体なら癖とかもできるだけ把握しておきたい」

「体の方は?」

「大丈夫だ。あんたたちのおかげでな」

 カーディアスは再び微笑し、番外個体の方を向いた。

「礼なら彼女に言いたまえ。彼女はこの2ヶ月間、ずっと君のそばを離れなかったのだ」

 意外なことを聞いたカペルは、番外個体を見た。
 寝顔は安らかで、苦しそうな表情はどこにもない。もう一度生きている実感をしていると、カーディアスはぼそりと呟いた。

「大切にしろ。失う時の痛みは…………大きいぞ」

 カーディアスとカペルは同時に歩き出したが、カペルの方が僅かながら前に行っていた。その姿を見たカーディアスは、失ってしまった者のことを思い出していた。

(アンナ…………バナージ…………)

 密かに持っていたすでに相当な時が経ったその写真を眺め、カーディアスはカペルに追いつくためにその背中を追った。

 モビルスーツデッキ

「これが…………俺の機体…………」

 カペルはデッキに着いて早々に改造された自身の機体を見上げた。 
 全身真っ黒なボディ、出力上がりすぎな五つのジェネレーター、サブカラーで黄色のペイント、両腕に並ぶように装着された三本のビームサーベルからなるビームクロー、
 バックパックにもビームサーベルが2本配置されている。顔はガンダムタイプであった。

 カペルはすぐに設計データを見せてもらった。
 武装はビームクロー(ユニコーンにはビームトンファーというのを装着するらしい)、ビーム屈折力場発生装置チャーチグリム、ビームサーベル、ファング・ファンネル、ロング・ブレード・マグナムとあるが、OSを覗くと二つのシステムが見えた。

「N-TD…………?n_i_t_r_o…………?」

 サイコミュ的な装備が積まれていることがわかった。後から追ってきたカーディアスにカペルは聞いた。

「なぁ、これって連邦の機体のデータ使ってんだよな?この二つのシステムなんだ?」

「n_i_t_r_oとはこの計画の副産物。オールドタイプにニュータイプ能力を付与するシステムだ」

「はぁ!?んなことできるわけ…………」

 だがカペルはハッと思い出した。過去、ハマーン・カーンが造ろうとしていた機体の中にシャンブロという機体があった。あれもサイコミュ的なものを搭載していたはずだが、欠点があったのだ。普通の人間が搭乗し、そのスペックを最大限に発揮した後、その人間は強化人間のように情緒不安定になっていたという。

「…………強化人間にしちまうシステムなんだな。ま、俺には問題ないだろ。強化人間だしな」

「サイコフレームの共鳴現象を調べたくてな…………すまない。勝手に搭載したことは謝ろう」

「じゃあこのもう一つのは?」

「ユニコーンに搭載するはずの物だが、少し違う。ユニコーンのシステムはニュータイプを抹殺する。それゆえのニュータイプ・デストロイヤーなのだ。だが、君の機体に搭載されているシステムは少し違う。ニュータイプ・ディスチャージャーというのがこの機体には搭載されている」

「発動すると?」

「わからん。だが恐らく死ぬことはない」

 おいおいマジかよとカペルは思ったものの、内心この機体に乗れることを待ち遠しく感じていた。

「なぁ、余りのフレームと装甲、あとプロトタイプのこのアームドアーマーVNってやつで造りてぇのがあるんだ。もらっても?」

「別にいいが…………三日以内に完成できるのか?」

 三日以内?とカペルが首をかしげた、その時。

「カーディアス様ですか?エイブルズ中将の秘書ですが、先ほどの会談で受け取る予定のテストパイロットをお迎えにあがりました」

 おかっぱに近い髪型をした、凛とした気品溢れでる連邦士官が立っていた。

「ああ、すまんな。カペル中尉、来てくれ!」

「なんだよ、カーディアス。今忙しいんだからまた後でに…………」

「貴方が今回亡命してきたというネオ・ジオン兵ですね?あなたとあなたの機体の性能試験などを共にすることになりましたフヅキ・ミカムラです。今からラー・デルスに来てもらいます。試験は戦争に介入する形で行ってもらいます」

「はいいぃぃ!?ちょ、カーディアス何考えてんだ!ていうか最近戦争なんて…………」

「貴方が寝ている間にグレミー派残党が、シャア派のネオ・ジオンに反旗を翻したんです。そこにいる我が軍の救援も兼ねて行いますので」

 そのままさっさとついてこいと言うかの様に、そのままフヅキは歩き始めた。カーディアスはそっとカペルに耳打ちした。

「君のことは全て番外個体に聞いている。シャアの計画のこともな。エイブルズ中将にも話してみたが、全く信じていないようだった。戦争が起きている中域で、赤いMAを見たという情報が入ってきている。連邦が動かない今、君がシャアを止めることが出来るかもしれん。行ってこい」

「……!」

「あんがとよ…………もしそうだったら決着つけてくるわ。ああ、あそこに一纏めにしてあるパーツ持ってきて!あれもう、デルス内で組み立てちゃうから!」

 そう言ってカペルはフヅキの背中を追いかけた。 
 

 
後書き
4000で納まった!
カペルスウェイトにはヘイズルやZなどのデータが流用されてますが、変更点はユニコーンが真っ黒になって、少し小さくなったぐらいです。あと、フヅキはユニコーンのepisode7でエイブルス中将のそばにいた人です。あの人も存在的にはケルゲレンコ子的な存在だよなぁ。しかし…………メインでもないのに可愛く思えてしまうのはなぜだろう?

そんなわけで、次回カペルスウェイト無双です。次回でディスチャージャーの能力が明らかに!
番外個体の名前を募集しています、よろしく!!

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