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遊戯王GX 〜漆黒の竜使い〜

作者:ざびー
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episode2 ーCybernetic Revolutionー

 
前書き
*4/4ミス修正しました。
*7/10《決闘者名鑑》を更新しました。 

 
「さぁぁぁ!今宵行われる闘いは!サイバー流免許皆伝者、マスター鮫島を師に持ち、アカデミア在学中はカイザーと言われるほどの強者!丸藤 亮だぁ!先日、苦しくもエド・フェニックスに敗れはしたが、その勝率はトップランカーに名を連ねるほどだ!!」

南ゲートから白地に青のラインが入ったデュエルアカデミアの制服を着た男、丸藤 亮が姿を見せると、女性ファンからの熱い声援が飛び交う。彼がステージに立つと、MCの実況を静かに聞きながら北ゲートからこちらへと向かって歩いてくる人物を見据える。
年齢・性別などありとあらゆる情報を黒いフードで覆い隠したデュエリスト。

「サイバー流を受け継ぐカイザー亮に対するはいまだ連勝記録を伸ばし続ける、『漆黒の竜使い』こと、レッドアイズ使いのレンカだぁ!!」

カイザー亮への声援のほとんどが女性だったのに対し、レンカへは男性たちの勇ましい声援が送られる。
カイザー亮がレンカを見る目つきは鋭く、デュエルを楽しむではなく、ただ勝利を追い求める者の目つきだ。

「さぁ〜、両者が操るのは、機械の竜と漆黒のドラゴン!!ドラゴン対決を制するのは、果たしてどちらか!今、闘いの火蓋が切って落とされる!!」

「いくぞ、決闘(デュエル)
決闘(デュエル)

亮の後に続いて抑揚のない声が発せられる。
そして、先にドローしたのは珍しくレンカ。

「手札から伝説の黒石を通常召喚。」

レンカが召喚したのは、黒く煌めく丸い石。攻撃力・守備力共に0と戦闘力皆無なモンスターなのだが、観客はレンカとそのモンスターを嘲笑うわけでもなく、寧ろ次に起こる事を期待し、息を飲む。

「……伝説の黒石を墓地へと送り、デッキから真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)を特殊召喚できる。紅き瞳を持つ竜よ!灼熱の炎で刃向かう敵を薙ぎ払え!降臨せよ、レッドアイズ・ブラックドラゴン!!」

「っ!!最上級モンスターをデッキからだと!?」

伝説の黒石が強力な閃光を放つと、光の中から漆黒のドラゴンが姿を見せ、レンカのエースモンスターの登場にドーム全体が絶叫染みた歓声に包まれる。
対するカイザー亮はその効果に驚愕する。

本来なら、フィールドに二体の生贄となるモンスターを用意し召喚するはずの最上級モンスターをカード一枚で、しかもデッキから。圧倒的コストパフォーマンスから「インチキ効果もいい加減にしやがれ」と一部観客から野次が飛ぶ。

「カードを二枚伏せ、ターンエンド。」

だが、レンカは野次を気にした様子は無く、カードを伏せターンを終える。

「俺のターン、ドロー!俺は手札からサイバー・ドラゴンを特殊召喚する!このモンスターは相手の場のみにモンスターが存在するとき、手札から特殊召喚出来る。さらに手札から魔法カード、融合を発動する!場と手札のサイバー・ドラゴンを融合!現れよ、サイバー・ツイン・ドラゴン!」

二体のサイバー・ドラゴンが合体し、二本の首を持った機光の竜、サイバー・ツイン・ドラゴンが召喚される。早々に両者のエースモンスターが揃ったことで会場の声援がヒートアップする。

「バトルだ!サイバー・ツイン・ドラゴンで真紅眼の黒竜に攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」

二本の首からそれぞれレーザーを放ち、レンカのレッドアイズを焼き殺さんとする。だが、レンカも容易くやられる訳にもいかず、伏せておいたカードを発動させる。

「リバースカードオープン、スキル・サクセサー発動。レッドアイズの攻撃力を400ポイントアップさせる。」

レッドアイズが紅いオーラを放ち、その力を上昇させる。

「おおっと、レンカ選手!ここでレッドアイズ・ブラックドラゴンの攻撃力を上昇だぁ!スキル・サクセサーの効果により、レッドアイズブラックドラゴンの攻撃力は2800!カイザー亮のサイバー・ツイン・ドラゴンと並んだぞ!」

「っ!?させるか!手札から速攻魔法、トラップ・ブースターを発動する!手札を一枚コストにし、手札からトラップカードを発動させる。俺はトラップ・ジャマーを発動!」

「っ!?……手札から!」

一度場に伏せてから使うはずの罠カードを手札から使用した亮。さすがにレンカもこれは予想外で驚きを露わにする。

「トラップ・ジャマーはバトルフェイズ中に発動した罠カードを無効にし、破壊するカード。よって、スキル・サクセサーは無効だ!
やれ、サイバー・ツイン・ドラゴン!!」

レンカ:4000→3600

レッドアイズの体を纏う紅いオーラが消え、さらにサイバー・ツイン・ドラゴンの放ったレーザーに体を撃ち貫かれてしまう。

「攻撃宣言時間際のチェーン合戦に勝利し、先制ダメージを与えたのはカイザー亮だ!」

「まだだ!サイバー・ツイン・ドラゴンは一度のバトルフェイズに二度攻撃できる!サイバー・ツイン・ドラゴン!ダイレクトアタックだ!エヴォリューション・ツイン・バースト、ダイニダァ!」

「くっ……」

レンカ:3600→800

再びサイバー・ツイン・ドラゴンがレーザーを放ち、着弾。強烈な爆風がレンカを襲い、残りライフを1000以下まで削る。

レンカは開始2ターン目にて早速ピンチの状況に陥るが残りライフなど対して気にもせず、フードについた埃を手で払い落とす。

「なるほど、全く動じない不動のデュエリストと聞いていたがまさしくその通りだな。微塵も動揺している様子が受け取れない。流石は今まで連勝を重ねてきただけはあるな。」

「…………。」

亮が話しかけるがそれを完全に無視。周りからは見えていないが目深に被ったフードでは、さっさと進めろと睨みつけている

「……言葉が通じないというのも噂通りだな。俺はこれでターンエンドだ。」

無視された事に気分を害したのか少し語調を荒くしレンカを鋭く睨みつけるとターンを終了する。

「……ドロー。マジックカード、死者蘇生発動。甦れ、レッドアイズ!!」

光輝く魔法陣から漆黒の竜が姿を現し、その復活を告げるかのように大きく咆哮を上げる。

「倒されても尚復活するレンカ選手のエースモンスター、レッドアイズ・ブラックドラゴン!だが、亮のモンスター、サイバー・ツイン・ドラゴンには及ばないぞ!」

「バトル!レッドアイズでサイバー・ツイン・ドラゴンに攻撃!黒・炎・弾!!」

「なっ!?正気か!」

レッドアイズのがサイバー・ツイン・ドラゴンより攻撃力が低いはずなのに攻撃宣言をレンカ。会場からプレイングミスや勝負を捨てたか?などという声が聞こえてくる。

「墓地のスキル・サクセサーのエフェクト発動。このカードを除外し、レッドアイズの攻撃力を800ポイント上昇させる。

「なっ、墓地から罠だと……!?」

墓地からトラップカードに驚きを見せる亮。もっとも手札から罠を使った亮も他人の事は言えないが。
スキル・サクセサーの効果に攻撃力が上昇し、レッドアイズがサイバー・ツイン・ドラゴンを破壊する。
手札から罠のお返しを成功させ、レンカはフードの奥でうまくいったほくそ笑む。

カイザー亮:4000→3600

「カードを一枚伏せ、ターンエンド。」

「俺のターン、ドロー!魔法カード、強欲な壺を発動!デッキからカードを二枚ドローする。さらに魔法カード、タイムカプセル。デッキからカード一枚を除外し、2ターン後手札に加える。」

ドローカードの次にタイムラグはあるものの万能なサーチ効果を持つカードの使用で態勢を整えた亮が動く。

「俺は手札から三体目のサイバー・ドラゴンを特殊召喚する。さらに、プロト・サイバー・ドラゴンを召喚。このモンスターは場に表側表示で存在する限り、サイバー・ドラゴンとして扱う。」

機光の竜とそのプロトタイプとなるモンスターが並ぶ。

「そして、速攻魔法、フォトン・ジェネレーター・ユニット発動!場の二体のサイバー・ドラゴンを生贄にデッキからサイバー・レーザー・ドラゴンを特殊召喚する!!」

二体のモンスターを生贄に召喚されたのは、新たなる姿のサイバー・ドラゴン。姿形は似ているもののやはり、所々違う。角ばったスタイルから流線型へとチェンジされ、さらに尾の部分にはレーザー砲が取り付けられている。

「サイバー・ドラゴン二体を生贄にし、召喚されたのはサイバー・ドラゴンの攻撃特化型モンスター、サイバー・レーザー・ドラゴンだぁぁ!その破壊効果は強力だぞ!」

「俺はサイバー・レーザー・ドラゴンの効果を発動!このカードの攻撃力以上の攻撃力または守備力を持つモンスター一体を破壊する!サイバー・レーザー・ドラゴンの攻撃力は2400。よって、お前のレッドアイズも効果範囲内だ!喰らえ、破壊光線 フォトン・エクスターミネーション!」

亮の号令と共にレーザー砲へとエネルギーが充填され、ついにはレンカのレッドアイズめがけ発射される。
もし、この効果が通れば、レンカの場はガラ空きとなりサイバー・レーザー・ドラゴンのダイレクトアタックを決められ、敗北となる。だが、レンカの場にはレッドアイズの他に二枚の伏せカードがある。

「リバースカードオープン、竜の転生!レッドアイズを除外し、手札から仮面竜を守備表示で特殊召喚する。」

燃え盛る炎がレッドアイズを焼き、さらにその炎の中から仮面を被ったドラゴンがレンカを守るようにして、サイバー・レーザー・ドラゴンの目の前に立ちふさがる。

「くっ、そう簡単にはやられてくれないか。仕方がない。バトルだ!サイバー・レーザー・ドラゴンで仮面竜へと攻撃!エヴォリューション・レーザーショット!」

サイバー・レーザー・ドラゴンの放った光線が仮面竜を貫き、爆発四散させる。しかし、仮面竜が居た場所には、黒い球体が残されている。

「仮面竜の効果でデッキから伝説の黒石を特殊召喚。」

「くっ、またそのモンスターか……!?俺はターンエンドだ。」

真紅眼の黒竜を除去したと思いきや、新たにレッドアイズを呼び出す布石を整えられ、悔しげな表情をする亮。

「……ドロー。伝説の黒石を生贄にし、デッキから二体目の真紅眼の黒竜を特殊召喚する。再び降臨せよ、レッドアイズ!」

咆哮を轟かせ、伝説の黒石から放たれた光の中から姿を現す。

「やはり召喚されたか。だが、攻撃力は俺のサイバー・レーザー・ドラゴンと互角!」

「手札から黒鋼竜のエフェクト発動!レッドアイズへと装備し、その攻撃力を600ポイントアップさせる。」

鈍い黒い光を反射させる鋼鉄の竜鱗をもつドラゴンは場に姿を現すと同時に声高く鳴き声をあげる。そして、共鳴するようにレッドアイズも咆哮を轟かせると二体の竜の体が光に包まれ、やがて一つに合わさる。そして、現れたのはレッドアイズの進化形態の一つ、レッドアイズ・ブラックメタルドラゴンのように黒い鋼鉄の鱗に覆われたドラゴン。だが、それよりも力強い立ち姿にレンカは少し満足げに笑う。

「っ、手札から装備するモンスターカード。……なるほど、ユニオンモンスターのようなものか。」

またしても自分のモンスターを超えてくるレンカのプレイングに素直に関心する亮。

「バトル。レッドアイズでサイバー・レーザー・ドラゴンに攻撃!ブラック・メタル・フレア!」

「くっ……」

カイザー亮:LP3600→3000

レッドアイズが放った黒炎はサイバー・レーザー・ドラゴンを破壊し、亮を炎へと包む。ただの幻影なので本当に焼け死ぬ事はないが、違和感に顔を顰めると腕を振るい、炎を振り払う。

最上級モンスターを次々と召喚し、殴りあう二人の決闘に会場の盛り上がりがより一層大きくなる。レンカのレッドアイズが亮のサイバー・レーザー・ドラゴンを倒した事で沸き立つ歓声に少し気分を良くするとそのままターンエンドする。

「俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ時にゲームから除外されていた異次元からの宝札の効果が適用される。このカードを手札へと加え、互いに二枚ドローする。」

亮はたった今手札へと加わったカードに視線を落とす。

『サイバネティク・フュージョン・サポート』

このカードを使えば、亮の切り札にして、最強のモンスター、サイバー・エンド・ドラゴンを呼び出し、強化されたレッドアイズを戦闘破壊し、そのままレンカの残りライフを削り取る事が出来る。
だが、レンカのフィールドにはレッドアイズの他に1ターン目から伏せられているカードが存在している。しかし、それはサイバー・ツイン・ドラゴンやサイバー・レーザー・ドラゴンで攻撃を行った時も、幾つかの魔法・罠カードを行使した時も発動されなかった。

(パーミッション系か、蘇生カードか……。いや、それなら今までにも使うチャンスはあったはず。あるとしたら、ドラゴン族のサポートカード。もしくは、ブラフ……か?)

ーーーだが、攻めるなら今しかない……!

そう決心すると勝利の為の一枚を発動させる。

「魔法カード発動、融合!そして、速攻魔法、サイバネティク・フュージョン・サポート発動!ライフを半分支払い、サイバー・ドラゴン三体を墓地から除外し、融合する!!現れよ、最強のサイバー・ドラゴン!融合召喚、サイバー・エンド・ドラゴン!」

三首の機光竜が鋼鉄の翼を広げ、雄叫びをあげる。

「出たぁ!カイザー亮を幾度となく勝利へと導き、勝利をもぎ取ってきた最強のモンスター、サイバー・エンド・ドラゴンだぁ!!」

真の切り札の召喚にMCの実況に思わず熱が入り、それに感化されてか観客からの歓声も凄まじいものへと変わっていく。
そして、サイバー・エンド・ドラゴンを眼前に見据えるレンカはそのサイバー・ツイン・ドラゴンよりも一回りも、ふた回りも大きいその姿を思わず見上げる。そして、フードからわずかに覗く口元が吊りあがり、笑う。

「行くぞ、サイバー・エンド・ドラゴンでレッドアイズへ攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!」

三本の首に強大なエネルギーが蓄えられ、レッドアイズへ、レンカへと放たれる。

「これで、終わりだ!」

「それは……どうかな?」

勝利を確信した亮はレンカへと叫ぶ。だが、レンカからは亮が思ってもみなかった言葉が返ってくる。

レンカは待っていたと言わんばかりに嬉々とした表情を浮かべて、リバースカードを発動させる。

「リバースカードオープン、断絶拳!!」

「なっ!?」

直後起こった情景に声を失う。

サイバー・エンド・ドラゴンの放った光線が不可視の障壁に阻まれると、次に直接食い千切らんとその巨体を踊らせ、レンカへと迫る。だが、本人はそれを静かに見つめ、デュエルディスクが装着されていない右手を力強く握り、半歩体を反らすと目と鼻の先まで迫っていたサイバー・エンド・ドラゴンへと威勢の良い掛け声と共に必殺の一撃をお見舞いし、明後日への方向へとぶっ飛ばす。


つまり、殴り飛ばしたのだ。


亮の最強のモンスターであるサイバー・エンド・ドラゴンを。


壁際まで飛ばされ、少しめり込む形となってしまったサイバー・エンド・ドラゴンはぐったりと首を下ろし、動かなくなる。その光景に亮含め観客、MC……、そして、このデュエルに関わった者、観ていた者、全てが唖然とする。ただ一人、レンカを除いて。

「トラップカード、断絶拳はエクストラデッキから特殊召喚されたモンスター、又は儀式召喚されたモンスターの攻撃宣言時、そのモンスターを墓地へと送り、その素材となったモンスター一式が墓地に存在する場合、特殊召喚できる。
だけど、融合素材となったモンスターは除外されているため、特殊召喚はされない。」

淡々とレンカがこうかの説明をするが亮は心ここに在らずといった風貌で、墓地へと送られたサイバー・エンド・ドラゴンを見つめていた。

「うそ……だろ。」

自分の最強のモンスターであり、誇りでもあるサイバー・エンド・ドラゴンをこうもあっさりと、しかも素手で倒され、絶望する。そして、それを行ったレンカの方を向くと表情は見えないが明らかにご機嫌である事が伺える。そして、再び愕然とする亮。
レンカはデュエルが始まる時から、罠カード断絶拳が伏せられた時から亮がサイバー、エンド・ドラゴンを召喚し、攻撃してくるこのタイミングを計っていたのだと理解する。

のちにレンカはインタビュアーに「何故この時に断絶拳などというカードを使ったのか」と尋ねられた時、「面白いと思ったから」とにっこりと笑い、質問に答える。だが、今そんなことは亮は知らない。

「……お、俺はアーマード・サイバーンを守備表示で召喚し……ターンエンド。」

自分よりも数手上を行くプレイングを見せつけられ、若干の恐れを覚えた亮は結果、中途半端に守備を固める事になってしまう。

「ドロー。マジックカード、黒炎弾発動。」

「くっ……」

カイザー亮:3000→600

レッドアイズの攻撃権の放棄の代わりに相手に多大なるダメージを与える魔法カード。亮は吐き出された火炎球を腕をクロスし、ガードするが残りライフはレンカ以下となる。そして、そんな彼に追い討ちをかけるようにレンカはさらなるカードを発動させる。

「レッドアイズを墓地へと送り、装備マジック、戦線復活の代償発動。サイバー・エンドを特殊召喚し、このカードを装備する。」

「なっ……!?」

レンカの場に蘇ったのはつい先ほどレンカによって殴り飛ばされノックダウンしたはずのサイバー・エンド・ドラゴン。申し訳なさそうに亮を見下ろす三本の首の一つには、銀のペンダントをかけられている。
自分が最も信頼を置く切り札が相手の手へと渡り、そして自分にトドメを誘うとしている状況に絶句する亮。

「な、な、な、な、なんとぉ!?カイザー亮の切り札、サイバー・エンド・ドラゴンがレンカ選手にぃぃ、寝取られたぁぁ!!」

MCの実況が響き、会場がざわざわと騒がしさを増していく。

「トドメ。サイバー・エンドで、アーマード・サイバーンに攻撃!エターナル・エヴォリューション・バースト!」

「くっ……グァァァァァァァ!!??」

サイバー・エンド・ドラゴンの放った光線は易々とアーマード・サイバーンの装甲を貫き、破壊。そして、その余波が亮を襲う。

カイザー亮:LP600→0

デュエルが終了した事でソリッドビジョンも消え、レンカのフィールドに居るサイバー・エンドも消え失せ、その奥に地面へと伸びるカイザー亮の姿が目に映る。若干の罪悪感を覚えたレンカは足早にその場を退散する。


翌日、新聞の一面に
『自身がもっとも信頼を置く家臣(モンスター)に裏切られ、トドメを刺された皇帝(カイザー)。』という記事と共に『素手で攻撃力4000のモンスター(サイバー・エンド・ドラゴン)を殴り飛ばしたデュエリスト』という題名でその瞬間がバッチリと撮られた写真が掲載されることになり、漆黒の竜使いレンカの名がより一層広く知られる事となる。


◇◆◇

会場を出、そのまま控え室へと直行するとそこにはソファへと座り、つい先ほどまで行われていたデュエルをライブ中継している番組を観ている女性の姿が。彼女は自分の存在に気がつくと立ち上がり、お疲れ様でした。と一礼、そして、額に手を当てため息を一つ吐いた後、

「相手のモンスターを……しかも、エースモンスターを素手で殴り飛ばすって……。レンカさん、何がやりたいんですかね?」

にっこりと笑みを浮かべて、但し目は全く笑っておらずより一層恐怖を煽る。

「あ、アクションデュエル?」

恐々としながら、そう答えるとより一層威圧感が増す。その後、彼女からこっ酷く叱られ、自称アクションデュエル禁止令が出たのだった。




 
 

 
後書き
ー決闘者名鑑ー
No.2《丸藤 亮》

デュエリスト育成学校として有名な《デュエル・アカデミア》を首席で卒業し、そのままプロデュエリストとなった期待の星。
だったのは、過去の話。エド・フェニックスとの決闘で敗北してからというのも、そのプレイングには覇気が落ち抜けたかのように消失し、エースモンスターである『サイバー・エンド・ドラゴン』を召喚できなくなった。
また、プロへとなってから連戦連勝で勝ち星を稼いだがいつの間にか、黒星と並ぶ始末。

そこで再起の一戦として、エドと同じく連戦記録を伸ばす『漆黒の竜使い』こと、レンカと相対する事となった。

しかし、結果はまたしても敗北。
しかも、相手のセットカードの処理を怠り、エースモンスターの『サイバー・エンド・ドラゴン』を除去された挙句、返しのターンに『サイバー・エンド・ドラゴン』を奪われ、決定打を決められる。
そして、この一戦がきっかけに期待の星と言われていた亮は全く勝てなくなり、一つ下のリーグへと降格した。

またつい先日、怪しげな雰囲気を纏う男と何やら会話をしていたのが目撃されている。


ーーーーー

ただサイバー・エンド・ドラゴンを殴り倒して、寝とって、カイザー亮にトドメを刺して、精神・肉体共にライフを0にしかっただけなんや……。(土下座)

『断絶拳』

通常罠
相手の融合モンスター及び儀式モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体を墓地へ送る。
その後、墓地へ送った融合モンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター及び
儀式モンスターの儀式召喚のためにリリースしたモンスター一組が相手の墓地に揃っていれば、
その一組を相手フィールド上に特殊召喚する。(遊戯王未OCG wiki より)

知っている人は知っている、元祖アクションデュエルとも呼べる城之内vsヴァロンの決闘(肉弾戦)で使われたカードですね。発動タイミングが攻撃宣言時で、相手の融合モンスターを除去したいだけなら、フリーチェーンの『融合解除』の方が自由度が高く、優秀ですが、今回の場合のように墓地に融合素材が居なく、尚且つ手札に『死者蘇生』などの寝取れるカードを持ってる時は重宝します。(多分)
実用性考えたら、完全に『融合解除』に軍配が上がるんですが、ネタ要素としては高いのでOCG化された暁には、ぜひデッキに組み込み、『断絶拳!』と叫びつつ、対戦相手にダメージを……。



 
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