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義勇兵

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6部分:第六章


第六章

 そしてである。彼は劉には礼を述べた。整備のことをだ。
「どうも。お陰で最高のファイトができました」
「最高のですか」
「はい、それができました」
 微笑んでこう述べたのである。
「敵の隼に全く引けを取りませんでした」
「私達ができるのはこれだけですし」
 劉はその彼の言葉に少し微笑んで述べた。
「ですから」
「だからですか」
「戦争は自分ができる最善のことをやる」
 劉は言った。
「そうでないと勝てませんから」
「だからですか」
「はい、だからです」
 また言うのであった。
「私もまたそうしているだけです」
「そして最後には日本をですね」
「絶対に中国から叩き出しましょう」
 普段は冷静な劉だが今はだ。こう言うのであった。右手は自然と力瘤になっている。
「そして勝利を掴み取りましょう」
「はい、是非」
「勝利を」
 こう話してであった。彼等は戦い続けていた。
 やがて太平洋戦争になり義勇軍は解散し正式に軍に組み入れられた。戦っていることは変わらない。しかしだった。
「そうですか。これでお別れですね」
「はい、急に決まりました」
 スコットはこう劉に話していた。彼等は滑走路で話している。その後ろには倉庫や格納庫が連なっている。航空基地らしい。
「それで」
「欧州戦線ですか」
「イギリスです」
 そこに行くというのである。
「爆撃機の護衛で」
「それでなのですね」
「また。戦ってきます」
 スコットは笑顔で述べた。
「そしてです。勝ってきます」
「わかりました。それでは私もです」
 劉もであった。笑顔で彼の言葉に返すのであった。
「ここで戦い、そして」
「勝たれますね」
「絶対に敗れません」
 確かな言葉だった。そこには自信さえあった。
「御安心下さい、中国もまた勝ちます」
「はい、それではまた」
「御会いしましょう」
 こうしてスコットは欧州に向かった。スコットは中国に残ったまま戦い続けるのだった。そして河原崎はというとだ。彼の元に辞令が届いていた。
「本土ですか」
「そうだ」
 司令が彼に告げていた。今彼は司令室においてその司令の席の前に立っている。
「本土に行ってもらう」
「本土防衛ですね」
「この前何があったか知っているな」
 司令はその彼にこう問うた。
「聞いているな」
「はい、まさか爆撃機が空母から来るとは」
「しかしだ。爆撃されたのは事実だ」
 司令は険しい顔で言う。
「従ってその護りを固めなければならん」
「それで私をですね」
「そういうことだ。いいな」
 あらためて河原崎に対して問うた。
「戻ってもらう」
「わかりました」
 河原崎は司令のその言葉に敬礼で応えた。
「それではすぐに準備します」
「こっちの戦線は相変わらずだがな」
「重慶は中々陥落しませんか」
「空から攻めても限度がある」
 司令の顔は難しいものになっていた。
「本気で陥落させたいのなら地上部隊を行かせるしかないがな」
「それが難しいですね」
「正直無理だな」
 司令は言った。
 
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