俺の名はシャルル・フェニックス
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説明と不死鳥
「何が起こったのか説明してくれるかしら?
シャルル」
いの一番にリアスに訊かれた。
まぁ、呼び出されたら上級堕天使と俺が遊んでたら気になるわな。
「ここ最近駒王町で堕天使の気配がした。
何をしたいのか分からなかったから監視をしながら泳がせていると、そこにいる一誠とその妹の誠菜が狙われてることが分かり救出って感じだな」
「シャルル!!セーナは無事なのか!?」
自分の妹も狙われてると訊いて自他ともに認めるシスコンな一誠は慌てた声をあげる。
「ちょっと待ってろ。
理子!千冬から連絡は!?」
理子の気配のする草の茂みに問いかけると、ひょこっと理子が現れ片手でピースをした。
「ちふちふから連絡!
せーちゃん無事確保!」
確保ってマジ?
「そ、そうか。よかったぁ……」
いきなり理子が現れ驚いたみたいだが、誠菜無事と聞いて胸を撫で下ろす一誠。
「んじゃ、リアス。
そいつ神器持ってるみたいだから、ちゃんと説明してから勧誘してみたらどうだ?」
「ええ、今日簡単に説明して明日ちゃんと説明するわ。
それで貴方も明日使いを出すから今回の事について詳しく教えなさい」
ちょっと怒気を含ませそう伝えてくるリアス。
ま、んなもんかね。
なんせ俺は事前説明無しに人ん家で勝手やらかしたもんだし?
仕方ないちゃ仕方ない。
「りょーかい。んじゃまた明日」
「ええ」
理子が側に来たのを確認してから転移の魔方陣を発動し人間界にある方の家に転移する。
家へとついた。
まず確保された誠菜に色々と説明しなくてはならない。
たぶんいるであろうリビングに向かうと案の定誠菜がいた。
他にも、白音、白雪、千冬、恋、束、黒歌と全員集合状態だ。
束はソファーに寝っ転がりながらゲームをやっていて、白雪は給仕、それ以外はテーブルでティータイム&ティーチタイムか。
「ゆきちゃん、お菓子と紅茶しくよろ!」
「すまん。俺の分も頼む」
「はい。ちょっと待っててね」
白雪に給仕を頼み空いてる席に座る。
理子は束とゲームをするらしく束へと突貫した。
たぶん負けてくるだろうが一応エールをおくった。
家のテーブルは8人が無理なく座れる程の大きさの長方形のテーブルだ。
だから6人程度難なく座れる。
座り順は左側に千冬、黒歌、俺で右側に恋、誠菜、白音の順だ。
「で、どこまで話した?」
「三竦みの所までだ」
素早く現状を教えてくれた千冬に片手を挙げて感謝の念を送ると、気にするなとばかりに鷹揚に紅茶を飲んだ。
中々に様になってるなと少し感心。
「んじゃ、まずごめんな、誠菜。
お前をこっち側に巻き込んじまって」
ビクッと体を震わせあわあわと慌てだす。
って本当に俺って嫌われてないよな?
いや、好かれてるって分かってるけどさ。異性として。
でも確証がないからあってるかわかんねーんだよな。
ホラ、俺7股かけてるし?
男として最低なクズなわけで。
まぁ、今気にすることじゃないけどさ。
「あ……あっ……あの…………え、っと……ご、ごめ、ごめんなさいっ……!!」
ペコリっゴツッ!
「――あぅっ!?」
慌てて頭を下げたもんだからおもいっきし頭をテーブルに打ち付けた。
うん。落ち着こうぜ?
「……大丈夫?」
「セーナ大丈夫?」
心配そうに隣の二人が声をかける。
「あぅ………だい……じょ……ぶ……」
今にも消え入りそうな声で応えた。
「まぁ、とりあえずもう1回謝らせて貰うな。
ごめんな。誠菜。
お前はもう裏側の世界を知ってしまった巻き込まれてしまった。
だからお前はもう表側では暮らせない」
ただ真剣に現状を伝える。
皆何も言わない。
ただ静寂が――いや、理子と束がやるゲームの音と二人の楽しそうな声がこの場を支配――って二人ともシリアスな場面なんで音下げてもらっていいですかねぇ!?
俺の願いは聞き届けられることなく二人はゲームで遊ぶ。
あっ、千冬が立った。
そしてゴツン!ガツン!と痛々しい音を響かせて二人の頭に拳骨を落とした。
「ひ、ひどい、ちーちゃん。
束さんの脳は左右に割れたよ!?」
「く……くぅ……鎮まれ……!」
直ぐ様声をあげる束と痛みで頭を抑えて踞る理子。
うん。まぁ、理子の反応が一般的だ。
千冬の拳骨を食らって動けるのは食らい馴れてる束くらいだ。
俺もかなりの数をこなしてきたが未だに馴れないしな。
「黙ってついてこい、馬鹿共!」
「あーれー!
ちーちゃん、ちーちゃん首決まってるよ!
このままだと束さんお陀仏しちゃうよ!」
「ちふちふ、首、首!
死ぬぅ死んじゃう!
理子りん死ぬまえに伝えたいことがあっ……た……」
「りこりーーん!傷は浅いよ!メディック!メディーック!」
千冬に服の首の部分を引っ張られ2名様ご退場。
千冬さんナイスッス!
そこで白雪が苦笑しながらも二人分のティーセットを持ってきた。
「シャルちゃんどうぞ」
「ああ、サンキューな」
「いえ、これくらい」
モジモジと体をさせて顔を赤くする白雪。
なんかスイッチがはいったらしい。
ってか、理子の分どうすんだ?と思ってると白雪が復活して理子の分を持ったまま一礼し白雪もテーブルについた。
どうやら自分で飲むようだ。
「にゃははは、ごめんね。
誠菜ちゃん」
俺が3人を目で見送ってると黒歌が誠菜に謝った。
俺も同じ気持ちなんだぜ。
「いっ、いえ!め、めっそ、滅相もなないですぅ!」
慌て方が尋常じゃない。
誠菜は黒歌に憧れてるらしく黒歌と話すときはテンパってしまうのだ。
いや、まぁ、学園じゃ猫被ってるからな少し。
口調ちゃんとしてるしお姉様って感じするからな。
「それで誠菜が堕天使に襲われた理由って言ったか?」
さっきから話がずれまくって戻すのにくろうするんだが……
なんでウチの人間が集まると話が進まないのか……
誠菜と二人っきりで話した方が楽だったんじゃね?
って今更ながらに思い始めたぞ。
「言ってないわ」
さよか。
「ん、誠菜、お前の体には神器(セイクリッド・ギア)ってのを宿してる。
ま、見てみるのが一番手っ取り早いな。
誠菜、お前の中で一番強い存在を思い浮かべてみろ」
「……つ、つよ、つつよい存在っ……!?」
カァッと顔を真っ赤にしてチラッチラッとこっちを見てくる。
へぇ?誠菜の中では俺が一番強い存在だと。
そりゃあ嬉しいな。
「ほら、誰でもいいから思い浮かべて」
コクコクと何度も頷き目を閉じる。
「その一番強い存在を真似てみろ」
サポートとして白雪と黒歌に目配せして魔力を放出して貰う。
神器は魔力が溜まってる空間の方が出しやすいからな。
誠菜はというと、立ち上がってスカートにポケットはないから入れるフリだけした。
ってそれが俺の真似か?
皆が、恋までもが『あーなるほど』みたいな感じでウンウンと頷いてるからそうなんだろうな。
でも、ポケットに手入れるくらい誰だってやるだろ。
そんなことを考えてると、空間が歪んだように見えた。
空間系の神器?
いや、なんか違う気がするな……
「誠菜、炎を思い浮かべてみろ」
「ほの、お……」
すると、コトッと歪んだ空間から緋色の石が現れ、テーブルに落ち――る前に俺が掴み手から炎を出して燃やし尽くした。
そのまま落としてたらテーブルが焼けてたからな。
皆がよくやった!みたいな顔で俺を見てくる。
「誠菜もういいぞ?」
そう誠菜に言うと、ぱちっと目を開け、俺の顔を見た瞬間、ボッと一瞬にして顔を真っ赤にした。
ちょっと俺の嗜虐心を擽った。
「誠菜?さっき何考えてたんだ?
これからの参考に教えてくれないか?」
にっこりと紳士的な笑みを浮かべ語りかける。
「あわっ!?あわわ、あわわわわ!?」
面白いように顔を真っ赤にして慌て始める誠菜。
ヤバい。楽しい。
「言えないような内容なのか?」
「へぅぅぅぅぅ」
へなへなと椅子へと座り込む。
そこで俺はグッと顔を息がかかりそうな程近づけて。
「俺をダシにエッチなこと考えたんだろ?
見かけによらず誠菜はエッチな娘だな」
フッと小さく呟いた。
「―――はぅっ!?」
グテッと糸が切れたかのように体をテーブルに倒した。
つい、楽しくなってやり過ぎちゃったな。
気絶した誠菜と顔を赤く染めた皆を見てそう思った。
もう説明出来そうにないからまた明日だな。
今日は俺が背負って誠菜の家、兵藤家に送ってやるか。
さて明日は色々とやらないとな。
誠菜を兵藤家に送った。
ご両親には途中でばったりと出会ったので家に友達ごと呼んで一緒に遊んだら誠菜が疲れて寝てしまったので送りに来たと曲解したことを伝えておいた。
家に帰ると閑散としていておかしいなと思った。
女三人集まれば姦しいとはよく言ったものでこの時間はまだ喧騒が絶えない時間なはずなんだが……
何かあったのか?
不思議に思いながらも俺の部屋へと向かうと……
原因が分かった。
あられもない姿で小刻みに震えながら倒れ伏す千冬。
そして何故か俺に向かってファイティングポーズをとる馬鹿二人。
か、返り討ちにあったんや……
回れ右ッ!とばかりに戦略的撤退をしようとするも時すでに遅く。
「くふふふ」
「ふっふっふ」
「や、やってやろうじゃねぇか!
返り討ちにしてやらぁな!!」
妖しく笑う二人に開き直った俺は死闘を開始した。
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