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俺の名はシャルル・フェニックス

作者:南の星
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尾行と不死鳥

時は過ぎ、日曜となった。

「くふふふー。デート♪デート♪尾行デート♪」

上機嫌に歌っている蜂蜜色の髪をしたフリフリのエプロンドレスを着て伊達眼鏡をかけたロリ巨乳が一人。

尾行デートって何?と突っ込んではいけない。たぶん。

そして何故エプロンドレス?とも訊いてはいけない。たぶん。

伊達眼鏡をしただけで変装になるのかとも訊いてはいけない。たぶん。

何故特製メイクで別人に変装しないのかとも訊いてはいけない。たぶん。

そして自分の格好を見る。

ちょっと薄めの金髪に何故か、伊達眼鏡装備。

そして燕尾服――――以上。

端から見ればメイドと執事に見えなくもない。

ロリメイドと不良執事という何ともまぁ、ラノベでありそうな組み合わせだが……

それで何故こんな服着てるか、はっきり言って理子のせいだ。


嵌められたんだ……

面白い服があると聞いて面白半分で了承、そしたら理子がもってきたのが、水色の腕輪。

何でも束の試作品らしく、腕輪にロードされてる服なら一瞬で着替え可能だとか。

面白そうなのではめてみてロードされてる服の内容を投影させて確認してみると――燕尾服orメイド服(女体化付き)とのことでまんまと嵌められた。

束に別の服をロードしてくれと頼みに行くと女体化してメイド服を着るなら俺の服をロードするとのことで。

メイド服を着るのはなんか負けた気がするし、一度了承したからにはと泣く泣く燕尾服となった。

つーか目立つ。

燕尾服なんて普通は着てないものだから、物凄く目立つ。

1度通りかかった人が二度見するレベルだ。

こんな状態で尾行しろと……?

キチゲーすぎんだろ。

帰りてぇ

って、ふと思った。

帰らないけどな。

「おーい、理子。相手来たかー?」

萎え萎えなのでやる気のない声が出た。

いや、やる気はあるんだぜ?

でも格好がいけねぇや。

「もぉー、マリアって呼んでよねー
はやてん!ノリ悪いなー。
ぷんぷんがおーだぞ!」

指でツノをつくって叱られた。

いや、お前もマリアって名乗るならちゃんとキャラに成りきれよ。

ってか貧乏執事は金髪じゃねぇよ!

それに俺、キャラの名とかならある程度知ってるけど見てないから性格とかストーリー知らねぇよ。

「はいはい、んでマリアさん?
相手は来たんですか?」

執事なんだから、たぶん敬語だろうと適当に訊いてみる。

理子も妥協してくれたのか応えてくれた。

「んーまだ来てないみたいだねー
でも流石、へんひょいだよねー
まさか、待ち合わせの3時間前に来るとは……」

多少呆れの混じった尊敬の声をもらす理子。

そうなんだよな。

黒歌の使い魔が盗聴した結果、待ち合わせは午前10時に駒王学園の近くにあるデパート。

そして現在9時48分。

ここに来たのは約7時頃。

俺と理子も目立つから外にいられないため誠菜を見張れる喫茶店に入ったのも同じ頃。

これには流石の俺も呆れた。

鼻の下伸ばしながら通りかかった眼鏡ッ娘の数を数え始めたときには尊敬した。

ここまで変態になれるのかと。

「まぁ、一誠だからで済ませられるのが一誠クオリティーだな」

そう俺は呆れながら言った。

理子も呆れた顔をしつつもまるで蛮勇誇る者でも見るかのような尊敬も混じってんだけど違うみたいな不思議な顔をした。

「へんひょいはもういいや。
そーいえばせーちゃんも1時間くらいまえに待ち合わせ場所に来てるみたいだね」

と、スマホを確認して俺に伝えてきた。

二人の監視報告みたいなのをlineでやりとりしてるからな。

千冬からの誠菜の報告だろう。

ってか、露骨に話を変えてきたな。

まぁ、俺もその話にのるけれど。

「まぁ、それが誠菜らしいんだけどな」

そう。それが誠菜らしい。

善くも悪くも優しすぎるのだ。誠菜は。

だっていじめようとしてた相手をも心配する奴なのだから。

「眩しく思えるよ。
それに……羨ましい」

復讐を誓ってる理子からしてみればそうだろうよ。

俺からしても羨ましいと思えるのだから。

だからこそ。




「裏側に来させるのが惜しいな」

ポツリと俺は呟いた。

理子も同意してるのか、何も言わない。

誠菜が俺達側を知るのは避けられない。

堕天使に目をつけられてしまったから。

そしてもし原作通りいくのなら駒王町、いや一誠の回りで争乱が起きるのは必然であるから。

必ず巻き込まれるだろう。

その時俺達が見てる無垢な少女は何を思い、何をするのか。

分からない。分からないがなるべく手はさしのべよう。

それが俺にできることだからな。
「シャーくん、相手来たみたいだよ」

理子に言われ、一誠のいる方を見てみると堕天使ロリがちょうど来たところだった。

待った?

いや、今来たところだから。

なんてテンプレやってんだろーな。

一誠憧れてたらしいし。

「ん、じゃあ尾行すっか」

「らじゃー」

会計を済ませ、ゆっくりと後を追う。

この格好じゃ、どうしても目立つからそれなりに離れてるけどな。




尾行を続けてくと苛立ちがつのっていった。

別に羨ましいとかではない。

理子や恋や白音の方が可愛いからな。

では、何故苛立つのか。

笑うんだよ。あの堕天使は。
見下すような嘲るような笑みで。

一誠の見えないところでな。

まぁ、そんな笑みもあと少しで見納めだ。

今後見るかもしれないが、今日はもう見ずに済むだろう。

夕暮れの公園についた。

人気はなく狙うなら今だろう。

現に二人は噴水の前で向かい合い話してる。

「理子、俺がセーブするからカバー頼む」

と隣で一緒に草むらに隠れてる理子に言う。

「らじゃー」

ビシッと両手で敬礼。

って今それ、やんのかよ。

一応真面目にしとかないといけないとこなんだが。

そうこうしてるうちに堕天使が6枚3対の黒い翼を出した。

その瞬間俺は飛び出し翼をだし、そのまま低空飛行で驚いた顔した一誠を蹴飛ばす。

「―――うげェ!?」

「―――何ッ!?
炎の羽、フェニックスか!?」

蛙が潰れたかのような呻き声と驚きの声が聞こえた。

まぁ、気にせず着地。

うん。ナイスセーブ。

「どうしてここに悪魔がいる!?
答えろ!!」

堕天使が光の槍を出して凄んでくる。

なんか微笑ましい、というよりは笑える。

滑稽すぎんだろ。

ちびの癖に凄む姿とか。

全然威圧感がありません。

「ぷっ――」

「わ、笑うなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ムキッーと音が聞こえてきそうなほど顔を赤くして怒るチビ。

「いや、すまん。チビが凄んでも全然凄みを感じなくてな。ぷぷっ」

おおっとヤバい。笑いはちゃんと堪えてやらねば。

「笑いを堪えてるのバレバレなんだよ!!」

「あっはっはっはっはっ!!」

ああ、何だ堪えなければいいのかと大声で笑う。

「笑えばいいって問題じゃねえええぇぇぇぇぇぇ!!」

ウガー!!っと両手を挙げて怒ってくるチビ堕天使を可哀想な目でみてやる。

「いや、ごめんな。チビはチビなりの苦労があるんだよな」

「憐れむんじゃねえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

んじゃ何しろと?

「あれ?なんでシャルルが……ってか何だよその羽!?」

ああ、そういやぁ翼出しっぱだったわ。

「あー、後で教える。つーかお前魔方陣書かれた変なチラシ持ってるだろ?
それ持ちながら強くリアスのことを思え」

「えっ?はっ?なんでお前そんなこと知って――」

戸惑いの声をあげる一誠。

まぁ、尾行してたからな。

「後にしろ。ってかさっさとしろ。リアスが教えてくれんだろ」

「お、おう」

なんとか納得してくれたようで、俺は堕天使に意識を集中させる。

一誠の会話で時間があったおかげなのか落ち着きを取り戻していた。

「さて、堕ちた天使よ。
ここが悪魔の領土と知って狼藉を働いたんだろうな?」
「ハッ、コウモリ風情が何を偉そうに」

フッと胸を張りシニカルな笑みを浮かべるロリ。

あっ、コイツ馬鹿や。

って思った。

翼の枚数から考えて上級堕天使である奴がそうそう敵対勢力を馬鹿にしてはいけない。

まぁ、下級だろうといけないことはいけないんだけどな。

何故なら、どんなことが戦争の引き金になるのかなど分かりはしないのだから。

「コウモリじゃないけどな、俺」

不死鳥ですから、俺。

「揚げ足をとるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

羞恥心で顔を赤く染めてウガーっと両手をグーにして万歳。

好きだなそれ。子供っぽいのに。

「ま、ここは退けよ。飴やるから」

ポケットから飴玉を出して手渡そうとする。

「ありがとう!――っているかっ!!
いい加減にしろよ!!」

ペシッと飴玉をのせた手を叩かれた。

あー勿体ね。

「それ、六種類の味が30分楽しめるって不思議な飴だぜ?」

束特製の。

確か、グレープ、オレンジ、ココナッツ、カフェオレ、コーラ、鯖の味噌煮だったか?

「なんだって!?
そんな素晴らしい物なのかっ!?
なら貰う!」

ササッと地面に落ちた飴を拾い物欲しそうな目でこっちを――

「ほれ、こんだけしか持ってないからな」

ポケットに入ってる残りの飴も全てやった。

「ありがとな!
――――って騙されないぞ!?」

ズザザッと俺から離れてくロリ。

つーかいつ俺が騙したし。

それよりコイツチョロい。

アホすぎる。

一誠に喚ばれて来たリアスもポカンと呆けた目でこっちを見てるぞ。

「きょ、今日はこれくらいにしといてやる!!
次会ったら覚悟しとけよな!」

ビシッと俺を指差して言い残し飛び去っていった。

何がしたかったんだ……?

あいつ。

俺は肩を竦めるしか出来なかった。 
 

 
後書き
キャラが一人歩きした……

何故こうなった……

 
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