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剣の世界の銃使い

作者:疾輝
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武器破壊、エグい技だよなぁ・・


「悪いな、お前んトコの副団長は、今日は俺の貸切なんだ」

その台詞、自分で言ってて恥ずかしくないのか?そんなことを思いつつ、改めてキリトとアスナ、それにアスナの護衛の・・・クラディールとかいう男の様子を見る。
クラディールからアスナを庇うようにして立つキリト。この世界に写真があったら、これは是非とも撮っておきたい場面だ。いや、記録結晶ってのがあるけど。今持ってないのが本当に悔やまれる。
俺は無関係を装い、周りに集まってきたギャラリーの中へと紛れ込む。なぜこんなところに俺が遭遇したかというと、10分位前にキリトに声をかけた事から始まった。
知り合い達と会った翌日、俺は現在の最前線である74層に来ていた。今日はシリカとは別行動ということで、一人で来ていたのだが・・・・。

「何やってんだ、クロノ?」

昨日も会ったキリトを見つけた。とはいえ、ただ見つけただけでは俺も声をかけなかったのだろう。だが、違う層に行くのでもなく、フィールドに出るのでもない。転移門の近くをうろうろしているだけのキリトは、はたから見たらまるっきり不審者だった。

「ああ、ちょっとな」

返事も要領を得ない。この事から考えられることとすれば・・・

「昨日アスナさんと飯食ったときに、ソロは危ないからどっかのギルドに入れと言われて、それに対してパーティのほうが邪魔だとか言ったら、アスナさんが怒って無理やりコンビ組まされたってところか?当たらずとも遠からずってとこだろ」

「なんで、そこまで詳しく分かるんだよ・・・」

キリトが驚きを通り越して、呆れた表情になる。適当に思いついたことを口に出してみただけだったのだが、見事に当たっていたみたいだった。

「んで、まだアスナさんが来ていないと」

「そういうこと。お前は?」

なぜここにいるのかというよりは、今日は一人なのか?という意味合いが強いだろう。

「今日はバラバラ。俺はちょっと迷宮区に行ってみようかと思ってたところ」

「じゃあ、俺らも迷宮区に行く予定なんだけど、一緒にこないか?」

「遠慮させてもらうさ、折角の機会だ。アスナさんと二人で楽しんでこい」

アスナさんに睨まれるのは勘弁だし、今日はボス部屋の前くらいまではマッピングしたいと思っているし。一緒に行くと時間がかかりそうだし。
そろそろ、キリトとの話を切り上げて、行こうとしたのだが。
いきなりアスナがキリトの上現れ、落下。その直後にクラディールがアスナを追いかけてきて、無理やり連れ返そうとしたところをキリトが間に入った。そして、今の状況。
正直、ここで去ってもよかったのだが、やめた。何か面白いものが見れそうな気がするし。
自分の直感は大事にする。あまり関係ないが、これも藍椿で学んだことだ。それが必ずしも良い方に傾きとは限らんが。

「ソロのキリトとKOBメンバーがデュエルだとよ!!」

周りがどっと歓声で湧く。現在の最前線攻略プレイヤーの実力か、見といて損はないな。獲物はキリトが簡素な剣で、クラディールは装飾が施してある見栄えがいい大剣。見栄えが良ければ強いわけではないし、どちらかといったらあの大剣は実践よりも見た目をよくするための物だろう。いくら命の危険がない圏内とはいえ、油断しすぎだ。見た目じゃ命は守れない。いくらトップギルドのメンバーと言っても、全員がアイツやアスナさん並ではないのだから、当然といえば当然か。

「あ、クロ・・・キリトの勝ちに100コル」

近くでどちらが勝つかの賭けをしていた奴に100コルを渡す。こういった賭けはそう珍しい事でもない。気晴らし少ないこの世界では賭けも十分な娯楽となるからだ。
キリトの方に賭けたのは、ただ単に知り合いだったからとかいう理由ではなく、もう大体は勝敗が見えていたから。
理由は両者の構え。クラディールが突進系の攻撃の構えなのに対して、キリトはそれを受け流すような構え。まず、これがおかしい。大剣の突進系のスキルは受けられても衝撃が大きすぎて反撃に回れず、回避しても距離が開く為攻撃に移れない。つまり、受けてもダメだし、回避しても仕切り直しなだけ。どうやってもキリトの方にアドバンテージが行くことはない。そのことを今までソロでやってきたキリトが気づいていないはずがないだろう。ということはキリトのあれはフェイント。
多分キリトも初撃は突進系。あとは、突進系がぶつかりあえば、キリトの得意技が決まって終わりだろう。

「オッズは・・・2.7倍か。そこそこの儲けだな」

そんなことを確認している間にデュエルが開始される。勝負は簡単に決着した。結果は予想した通り、キリトがクラディールの剣を武器破壊して終わり。儲け分を貰いつつ、先ほどの光景を思い出す。
キリトの得意技、武器破壊は意外とエグい。武器《破壊》の名の通り、折られた武器は壊れてしまい、修復不可能なのである。あれを喰らうと武器が一本消えると考えてもいい。俺も一度もらったことがあり、その時使ってた短剣が消えた。あの時のショックは忘れられない。

「思い出したらなんかイライラしてきた・・・。今度何かしらお返しするか・・・」

不穏なことを考えつつ、もうこれ以上この場にとどまる必要も無いので、ギャラリーを抜ける。周りの喧騒が冷めないうちに、俺は一人、最前線のフィールドへと足を踏み入れた。 
 

 
後書き
実際にMMOに武器破壊とかあったらと考えると・・・恐ろしい
いくらタイミングがシビアとはいえ、オンラインゲームで武器を壊されるのは・・
まあ、VR環境ができれば、ありえるのかもしれませんが
感想とか待ってます! 
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