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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十九話 風紀委員その十三

「規則を守って正しく暮らしていこう」
「何か本当に厳しい人ね」 
 ラブポーンさんが戸惑いを隠せない声でこう言って来た。
「堅苦しいし」
「それが悪いのか」
「悪いかっていうと悪くないけれど」
 それでもとだ、ラブポーンさんは井上さんに返した。
「それでもな」
「私が厳しく堅苦しいというのだな」
「守らないといけないことだけ守ってればいいでしょ」
 ラブポーンさんの規則への考えを述べた言葉だった。
「そうでしょ」
「違う、規則はだ」
「規則は?
「どれも守らなくてはならない」
 それこそその全てをというのだ。
「何があろうともな」
「絶対に?」
「無論だ」
 有無を言わせない言葉だった、ラブポーンさんだけでなく他の誰もがとも言葉の外で言っていた、そうした言葉だった。
「そのことはな」
「最低限でいいじゃない」
「決めれらている事全てがだ」
「だからそれは厳しいでしょ」
「厳しくはない」
 あくまでこう言うのだった。
「それが普通だ」
「普通かしら」
「そうだ、普通だ」
「八条学園でもここでも?」
「守らなくてはならないことは全て守らなければならない」
「だからそういうのはね」
 おおらかなラブポーンさんにしてみればだった。
「私はそこまでは」
「いい加減でいるのか」
「いい加減っていうかね」
 それはというのだった。
「最低限だけで本当に充分じゃない」
「駄目だな、それでは」
「軍隊じゃないんだから」
「軍隊、いいことだ」
 何か凄い会話になってきた、横から聞いていて思った。
「あれ位でないとだ」
「駄目っていうの?」
「そうだ、かつての帝国陸海軍の様にだ」
 厳格な規律を守らなくてはとだ、井上さんは言う。
「厳格な規律を守り規則正しい生活を送るべきなのだ」
「六時に起きてるからいいでしょ」
「そうした問題ではない」
 何か完全にお互い引かない感じだった、それでこれではどうにもならないと見たのか畑中さんがこう言った。
「皆様、今宵はです」
「今宵は?」
「お酒は何にされますか」
 聞くのはこれのことだった。
「今宵のお酒は」
「それはそれぞれで、ですよね」
「はい、選んで頂きますが」
「それなら僕はシェリーをお願いします」
 大家でこの井上さんが強くなり過ぎている場を収める為にだ、僕は最初に言った。
「そのお酒を」
「美和様はシェリーですね」
「それをお願いします」
「わかりました、では他の方は」
 他の人に対してもだ、畑中さんは尋ねた。
「どのお酒にされますか」
「はい、それは」
「それでしたら」
 皆もそれぞれ選んだ、そして。
 井上さんもだ、少し怪訝な顔になって畑中さんに言った。
「日本酒もありますね」
「はい」
 あるとだ、畑中さんは井上さんのその質問に答えた。 
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