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Bistro sin〜秘密の食堂へいらっしゃいませ〜

作者:黒米
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罪と罰.3

.3
 賢太郎はいよいよ、じっとはしていられなかった。
向こうの明かりの中で、今にも二人の仲間が殺されそうになっている。

沢城が口を開いた。
「死ねェ!」
その時、今度はライトが一気に消えた。
その場の者達は、目が眩んで何も見えなかった。
ただ、賢太郎を除いては。
暗がりに身を潜めていた賢太郎の目は、暗さに慣れていて正確にターゲットを捉えられた。

物陰から飛び出した賢太郎は、小次郎を掴んでいる男の手をナイフで切りつけて小次郎を救いだした。
男は突然の出来事に断末魔を上げて、焦って銃を乱射した。
相手が何処にいるのかもわからず、撃った銃はかえって自分の居場所を晒すようなものだった。

京極が男に急接近して、猛烈な一撃を後頭部に叩き込んだ。
手刀は正確に人間の弱点を捉えて、男は倒れこんだ。
そして、残るは沢城ただ一人。

賢太郎の目に怒りと憎しみが浮かんでいた。
そして、持っていたナイフを構えて沢城にジリジリと近づいていった。
沢状は拳銃を手にしていたが、本能的に悟ったのだろう。『死』を。

尻尾を巻いて、沢城は逃げ出した。
賢太郎は、沢城を追って廃工場の中に入った。

しかし、沢城の姿は見当たらない。
短い時間で何処かに身を潜めたのだ。 

賢太郎は、息を殺して沢城を探す。
聴覚を、視覚を、嗅覚を、使える感覚を全て使って、沢城の位置を探していた。

そんな賢太郎に、沢城は死角から拳銃を向けていた。 
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