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ボスとジョルノの幻想訪問記

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主人公の資格 その②

ボスとジョルノの幻想訪問記19

あらすじ

 妹紅の着替えを調達しに人里へとやってきたジョルノ。
 そこに丁度居合わせたのは橙と博麗霊夢だった。
 幻想郷の主人公、博麗霊夢との邂逅は偶然か、はたまた必然か。

*   *   *

 ボスとジョルノの幻想訪問記 第19話

 主人公の資格②

 人里のとある呉服店。

「ちょ、ちょっと・・・・・・おばちゃん? これ、私には似合ってないんじゃあないかな・・・・・・?」

 藤原妹紅は色々紆余曲折あって振り袖姿になっていた。

「いやいや、あんたの綺麗な白髪によう似合っとるわ~。私の目に狂いはなかったようねぇ」

 おばちゃんの満足げな表情とは裏腹に一度も振り袖なる物を着たことがない妹紅はもじもじしている。彼女はかれこれ千年近くもんぺ姿だったからだ。

(着物ならちっちゃい頃・・・・・・1000年前に着てたんだけど・・・・・・振り袖は最近幻想入りしたらしいし、慣れてないよなぁ)

 着物とは勝手が違うのか、妹紅は何度も自分の体を確かめていた。

「とりあえず、これで完成! さっ、新人君のとこに行ってみな。きっとあまりの可愛さに飛び上がっちゃうだろうねぇ」

「飛び上がる? はぁ・・・・・・えっと、ありがとうございました」

 飛び上がるとは? まさか、ジョルノが驚いて飛び上がるなんて姿は想像につき難い。

「・・・・・・失礼な言い方とかを指摘されて殴り飛ばされる姿なら思い浮かぶけどなぁ」

 妹紅はジョルノが永琳に顎をぶん殴られて宙に舞う姿を妄想して、一人で笑った。

*   *   *

 その時、ジョルノは――――。

「・・・・・・がッハァ!!?」

 霊夢と対面した直後、顎に鈍い衝撃が走り宙を舞っていた。

「さて、あんたがどこの誰かは知らないけど。私の管理を抜けてよくもいけいけしゃあしゃあと目の前に姿を現したものね」

「・・・・・・!?」

 まさか、自分たちが無断で関所を通った(通らざるを得なかったのだが)ことが割れているのか?

 ジョルノは突然の顎への衝撃に脳を揺さぶられながらも考える。立ち上がる。だが、目眩が酷かった。

(今のも・・・・・・博麗霊夢は攻撃の直前に小銭――――金色の硬貨を足下に投げた・・・・・・。そして次の瞬間、『小銭から何かの腕が伸びて』僕の顎を殴り抜いたんだ・・・・・・!)

 ジョルノの顎は酷いダメージを負ったが、橙の傷ほどの深手ではなかった。攻撃条件は同じだが、ダメージに違いが出ているのは霊夢が手加減をしているからだろうか?

「・・・・・・立ち上がった。やっぱり『路地』だとイマイチ威力が出ないのね」

「・・・・・・」

 霊夢はそう呟いた。『路地』では威力が出ない・・・・・・? 場所も関係があるのか?

「仕方がない。このまま戦うか・・・・・・」

「待て! ・・・・・・くっ」

 今攻撃をされると非常にマズイ。相手の能力のタネも分かっていない上に顎への衝撃のせいで酷く精神が不安定なのだ。このままではこちらはうまくスタンドが出せず、一方的にタコ殴りだ。

「何よ、犯罪者。私はあんたに構ってる時間が惜しいのよ」

「そうだ、それだ! なぜ僕を犯罪者だと決めつけるんだ・・・・・・? 人違いかも知れないじゃあないか」

 とっさの繕いだった。きっと霊夢は何かしらの方法で僕と妹紅を察知しているはずだ。こんな質問は無意味だが――――時間を稼ぐという意味では有意義だ。

「それは教えられないわ。でもあんたは関所を税も払わずに通ってきた。私がこう断言できるってことは、証拠不十分なのかしら?」

 普通は不十分だ。

 だが、霊夢は時間稼ぎを許さない。すぐに服の中から大量の護符のようなものを取り出す。――やはり、『スタンド』だけで攻撃しないのは先ほど言っていた『威力が出ない』という理由からだろうか。だが、状況に応じて最良の攻撃選択をするその即決。今のジョルノにとって脅威以外何者でもない。

「人の話は最後まで聞くものだ・・・・・・!」

 ジョルノは何とかスタンドを出す。まだ脳が揺れていて本調子ではないが、迎撃するしかない。致命傷を避けつつ、機を伺うのだ。

「金色の『スタンド』・・・・・・。まぁ、橙よりかは強そうだけど私の敵じゃあないわね」

 しかし、敵もさりとて主人公。甘い弾幕が張られるわけもない。

「!? 数がっ・・・・・・多いッ!?」

「小手調べなんてまどろっこしいことはしないわ。さっさと死んでいいわよ」

 霊夢から放たれた護符はざっと100は越えていた。

 円形の陣を取り、回転しながら御札はジョルノに襲いかかる。ジョルノに被弾する前に路地の壁に護符が当たると、ザグゥッ! という鋭利な刃物が肉を切り裂くときのような音をあげて深々と突き刺さった。

(まるでカミソリのような鋭さだ! 直撃したら『痛い』じゃあ済みそうにない!)

 と、ジョルノは一歩後ろに下がり、『ゴールドエクスペリエンス』で地面を殴りつける。するとジョルノの目の前に突如として植物の芽が生え急激に成長し大樹になる。大樹は路地の家々に絡みつくように成長し霊夢の攻撃を止めるどころか、辺りの住居を飲み込んでいった。

 顎へのダメージのせいでうまくコントロールが出来ていないのだ。

「くそっ、攻撃を防げたはいいが制御がきかない・・・・・・! 無関係な人たちも巻き込んでしまう・・・・・・!」

 ジョルノは家が傾き始めたのですぐに大樹の成長を止めるため能力を解除する。すると大樹はすぐに収縮し、消滅した。するとジョルノの前には霊夢がいるはずだが――――。

「い、いないッ!!」

「残念、後ろよ」

 今の一瞬の攻防のうちに霊夢はジョルノの背後を取っていた。そうだ、こいつは空が飛べるんだ、とジョルノは思ったが今はそんなことに気を回している余裕はない。

「パスウェイジョンニードル」

 振り返ると同時に霊夢は針状の弾幕を展開していた。また、針状以外にも先ほどの御札による弾幕も混ざっている。

「・・・・・・無駄無駄ァッ!!」

 先ほどよりかなり低密度だったためジョルノは避けることはせず、また頭もだんだん冴えてきたため『GE』に全弾撃ち落とさせようとする。スピードAの『GE』ならば造作もないことだろう。

「――と、あんたはさっきの周りを巻き込むようなことはせずに普通に対処するでしょう。ではそのことを予め看過していた私は如何なるアクションを起こすでしょうか?」

 ジョルノが行動に移る直前。霊夢は確かにそう言った。だがもうジョルノは止まれない。

「正解はそれは『御札ではなく紙幣』。どういうことかは――これ以上言わなくても分かるわよね?」

「・・・・・・ッ!!」

 ジョルノの視界の端にあったのは攻撃するために力の込められた御札ではなく、ただの人里に流通している紙幣。だが、ジョルノの考えでは『紙幣』は危険信号でしかない。

 ジョルノが弾幕を撃ち落とす、まさにその時。紙幣からあの腕が伸びたのだ。

 ――――ドボォッ!! と、鈍い音を腹からあげながら再びジョルノは空中に投げ出された。

「――――『ゴールドエクスペリエンス』ッ!!!」

 正体不明の打撃に意識を失いかけながらも、落下すればそのまま弾幕の餌食になると無意識に判断したジョルノはとっさに『GE』の腕を民家の屋根に伸ばす。

「がッ・・・・・・げほッ! ハッ・・・・・・ゴホッ!」

 機転と根性のおかげで民家の屋根の上に逃れたジョルノだったが、巫女がまんまとそれを見逃すはずもない。すぐに『空を飛ぶ程度の能力』で上空に飛来し、屋根の上に無様に横たわるジョルノを見下した。

「外来人のくせに中々やるじゃあないの。でも、金は必ず払って貰うわ!」

 再び容赦の無い弾幕を展開する。仰向けに倒れるジョルノはその中に紙幣や硬貨が混じっているのをはっきりと見た。そしてその間を『光』のように高速で移動するモノがある。

 いや、違う。あれが『スタンド』だ。ジョルノは確信した。

「・・・・・・!! 『GE』・・・・・・!」

 ジョルノに針が刺さる直前、彼の体は弾幕から逃げるように高速で滑るように移動した。霊夢が不審に見てみると彼の体の下に数十匹の『ネズミ』がいるのが分かる。

(・・・・・・樹木といい、ネズミといい・・・・・・あの能力も訳が分からないわね・・・・・・)

 だが、大体は分かった。あの外来人の能力は『生物を生み出す程度の能力』だ。かなり厄介な性質だが、もうほとんど動けないだろう。自分のスタンドの攻撃を二発食らっているのだから。

「屋根の上は路地裏よりさらに弱いけど・・・・・・。あれなら私の弾幕ですぐに片付くわね」

 霊夢はそう呟いて高速で屋根の上を移動するジョルノを飛んで追跡した。

 ネズミに背中を文字通り預けて屋根の上を逃走するジョルノは霊夢のスタンドについて考えていた。

 今分かっているのは、硬貨や紙幣から出現する近距離パワー型のスタンドであること。表通り、路地裏、屋根の上と場所によってスタンドの力が変化するということ。ここから推測されるのは一つだった。


 博麗霊夢の『スタンド』は『経済力』に依存する。


 お金に準拠する物体からしか出現せず、なおかつ表通りでは相手が黒コゲになるほどの絶大な力を持ちつつ、裏通りではただの強烈なパンチに、そして屋根の上では更に弱体化。

 ではこの3つの『場所』による違いは何か?

 それは『カネが出回る量の強弱』だろう。つまり、『表通り』は経済が円滑になるためそれだけ『スタンドパワー』も強まり『路地裏』といった寂れた場所では経済は停滞しているため弱くなる。屋根の上など以ての他だ。

 つまり、彼女の『スタンド』の正体とは『金の暴力』だということだ。

 ジョルノはそう判断し、だったら戦う場所は決まっている、と次の屋根に移るためにジョルノを運んでいる大量のネズミを全て鳩に変えて飛び立たせ隣の屋根に移る。

 その姿を見て霊夢は「自由自在なのね」と舌打ちをして追いかける。弾幕を浴びせているがどうも動物に指令を下すジョルノがこちらをずっと見ているため全てかわされてしまっていた。

「ちっ、面倒くさいわね・・・・・・!」

 霊夢は懐からスペルカードを取り出す。

「夢符『二重結界』」

 すると霊夢とジョルノを取り囲むように巨大な結界が展開された。霊夢は永夜抄で使っていた『近付いているのに近付けない結界』とは逆――――遠ざかる相手をそれ以上遠ざけないために結界を張ったのだ。

 当然、そのタネを知らないジョルノはいつの間にか霊夢に近づいていることに気が付いた。

「――――はッ!? ま、待て『GE』!! 鳩を止めるんだ!!」

 すぐに『GE』は能力を解除した。もちろんジョルノは鳩から投げ出され、民家の屋根に倒れ込む。だがそこは霊夢の真下だった。

「残念ね――――観念なさい」

 霊夢は再度、御札を大量に弾幕として放った。ジョルノの逃げ場が無いようにかなりの高密度で。

(民家があるから大技は使えないけど・・・・・・)

 霊夢としては夢想封印とかで決めたかっただろうが、『経済力』を停滞させないために人里の被害は最小限に押さえたかった。

 だが、いくら通常弾幕だと言ってもジョルノにとっては危険そのものなのだ。

「――――『ゴールドエクスペリエンス』ッ!!!」

 ジョルノは覚悟を決める。そう、真っ向から立ち向かう『覚悟』だ。


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」

 とにかく、手当たり次第に弾幕を相殺していく。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 だが、数が多い。それは分かりきっていた事実だ。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄・・・・・・」

 次第に圧倒的物量数に押されたのか、霊夢の耳に届いていたジョルノのラッシュ時のかけ声は遠のいていく。

「無駄無駄・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・ふふ、何が無駄よ。無駄なのはあんたの努力じゃあないの」

 霊夢はジョルノの声が消えていくのを聞きつつ弾幕を展開し続けながら皮肉気にそう言った。

 そして完全にジョルノの声が聞こえなくなった――――。

「これで終わりね。無駄な手間をかけさせてくれた代わりに1000倍で返して貰おうかしら」

 ――――と霊夢が言い終えた次の瞬間。予期しなかった出来事が起こったのである。



WRYYYYYYYYYYYYYYYYYY(ウリィィィィーーーーーーーーーーーーーー)!!!!」



「なァァーーーーーーッ!!?」

 なんと、霊夢の予想とは裏腹にジョルノは霊夢の弾幕を全て撃ち落としたのだ!! しかも、彼は霊夢の目と鼻の先にいるッ!!

 一体どういう原理だ、と霊夢がジョルノの後ろを見ると――――。

「そ、そうかッ!! 『竹』を生み出して、足場にッ!!」

 何本もの竹がジョルノの体重を支えるように、霊夢の目の高さまで伸びていたのである! 竹は生物の中で成長速度がトップスピードッ! 加えてジョルノの『GE』で更に成長を加速させ、飛び上がるような推進力を得ながら竹はジョルノの体を霊夢のいる高度まで押し上げたのだッ!

「さて、好き勝手言ってくれましたね・・・・・・努力が無駄だとか」

「・・・・・・ッ!!」

「僕の努力が無駄かどうか、その目で確かめろ」

 と、霊夢はいつ取り出したのか小銭をジョルノ前に突き出し

「『レッド・ホット・チリ・ペッパー』ッ!!!」

 と、初めて『スタンド』の名前を叫ぶが――――


「こんな空中で『カネ』が出回ると思っているのか?」


 ジョルノのその一言は的確に霊夢のスタンドの性質を捉えていた。その言葉に霊夢は動揺の色を隠せず。

「だから何だって言うのよォォーーーーーッ!!!」

 と、大して威力の出ないスタンドで殴りかかるが

「『無駄』という言葉はこういうときに使うんだ・・・・・・。あんたのその行為は・・・・・・無駄なんだ、無駄無駄・・・・・・」

 すでにパワーはジョルノが完全に勝っていた。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァッ!!!」

*   *   *

 博麗霊夢 スタンド名『レッド・ホット・チリ・ペッパー』

 元々は電気を操るスタンドだったが、幻想郷に電気は通っていないため世間に張り巡らされている電気に代わるものとして『お金』を操るスタンドへと変化した。スタンドは常にお金やそれに準拠する物体の中に存在する。スタンド像は元々の姿と殆ど変わらないが、電気のように完全に独立して移動が出来ないため小銭や紙幣などを飛ばして間接的に攻撃するしかない。
 スタンド使いの意志で自由にスタンドのオンオフが出来ない。またスタンドは『経済力』の強く及ぶ領域(市場など)の中では大幅に強化されるが、『経済力』の弱い領域(人気のない路地裏など)では著しく能力が低下する。また、『経済力』の無い地域(博麗神社など)ではスタンド本体が消滅し、スタンド使い自身も絶命する。

*   *   *

 ラッシュを叩き込んだジョルノだが、手応えはそこまで無かった。威力が弱まっている、とはいえ『レッド・ホット・チリ・ペッパー』のパワーはAだ。顎、鳩尾と続けざまに急所に攻撃を受けていたためか、はたまた霊夢の弾幕を相殺し続けていたからか、『GE』による攻撃もいまひとつ威力が出せなかった。

「ぐふッ、はが!?」

「おい! 落ちてくるぞ!」

 だが、飛んでいる霊夢を撃ち落としきる程度の威力はあった。彼女は口から血を吐きながらキリモミ回転で落ちていく。下で見ていたらしい人々が散り散りに逃げていくのが見て取れた。ジョルノはまだ仕留め切れていないと思い竹を『GE』の能力で元に戻しながら降りようとしたとき。

 霊夢は地面に激突する直前にふわり、と浮いたのだ。

「あの状況で能力を使うほどの余裕があったのか・・・・・・? 思ったよりタフですね・・・・・・」

 浮いてはいるがまだ大きく咳込み血を吐いている。相応のダメージを与えたつもりだったが、この巫女のタフさは想定外だった。霊夢はギロリ、とジョルノを睨んで御札を取り出す。

「・・・・・・落ちろッ!!」

「なっ!?」

 高速で飛来した御札は正確に降下するジョルノを支えている竹を根本から切り裂き、ぐらぁっと体勢を崩す。
 このままでは地面に叩きつけられてしまう。いわずもがな、ジョルノは霊夢のようにふわり、と浮けないので代わりのクッションを作る必要がある。

「『ゴールドエクズペリエンス』! 竹を掴んで、地面に投げて――――」

 ジョルノは一緒に落下する竹片を持って地面に投げた。すると、地面に落ちた後すぐにそれは竹から低木へと生まれ変わる。低木は枝と葉が密集しており、その上は一応の緩衝材になっている。おかげで彼は大きなダメージを受けずに無事着地できた。

「・・・・・・」

「よくもやってくれたわね・・・・・・。でも、今度はそううまくいくかしら・・・・・・?」

 ジョルノとしてはこの対面はまずかった。場所が普通に人里の通りなのである。メインの道より少し小規模ではあるが、ここも多くの店が建ち並んでいる。『経済力』は豊かだ。少なくとも路地裏での攻撃より威力の高い打撃が来るはずだ。

「もう油断はしない・・・・・・私は『反省』すると強いわよ・・・・・・??」

 と、霊夢は口から流れる血を拭いながら懐から何枚もの硬貨を出す。ジョルノの見る限り、それは先ほどまで飛ばしていた銅貨や銀貨とは違い、手のひらほどの大きさのある『金色』の小判だった。

「『レッド・ホット・チリ・ペッパー』の総合的パワーは『経済力』の強さにそのまま比例する・・・・・・合ってるわ、外来人。大正解よ」

 霊夢は金貨を構えてそう言う。

「更に言うと私の『スタンド』には更なる力がある。でもそれは私にとっても非常に非常に、危険を伴う・・・・・・。だから『使わない』。万が一にも看過された場合――あんたの未知数の能力によって打ち破られる場合があるからよ」

「・・・・・・何が言いたい」

 と、ジョルノが尋ねると――。

「つまり、こういうことよ・・・・・・『あんたがいくら未知数の能力を持っていようと、全く関係のない処刑方法を思いついた』。罰金は5000倍に払って貰うわ」

 処刑方法とはつまり金を払わせるということか? しかし値段がさっきからつり上がり続けているな・・・・・・と、ジョルノが思っていると。

 霊夢は突然、ジョルノに背を向けて走り出した。

「・・・・・・なっ!?」

 まるで『逃げるんだよぉぉ~~~!!』とでも言わんばかりの全力疾走!! それにジョルノが呆気に取られていると霊夢はそのまま一番近くにいた人間の腕を掴んで組伏せた!

「きゃああああッ!?」

「さぁああああって!!! こいつがどうなってもいいのかしらァァ!? 観念しなさいクソコロネ野郎ォォ!!」

 霊夢は近くにいた女性の腕と首を掴み、ジョルノの方を向いた。つまり、これは・・・・・・。

 人質作戦。主に『吐き気を催す邪悪』と評される人物などが取る行動である。

「・・・・・・その人を離した方が身のためですよ」

 だがジョルノは焦らず、冷静にそう告げる。大抵の場合、人質作戦は失敗に終わるのだ。

「はん! 私よりあんたの財布の中身を心配しなさい! 払って貰うまでこいつは解放しないわ!」

「・・・・・・」

 まるで強盗犯のような物言いである。

「・・・・・・あなたが・・・・・・。博麗の巫女が一体どれほどの権力を幻想郷で持っているのかは知りませんが・・・・・・一つ言いますよ?」

「・・・・・・?」

 彼の言葉には若干の呆れの色が見えていた。霊夢も人質の女性も黙って聞いている。


「あんたは『主人公』には向かない」


 その台詞に霊夢は眉毛をつり上げる。

「うるさいわねぇッ!! こちとら十数年主人公やってんのよ!! あんたみたいなちんちくりんにそんなこと言われたくは・・・・・・」

「まぁ、それは私も思ってたんだけどね」

 ――――と、霊夢の人質となっていた女性が口を開いた。

「――あ?」

 霊夢が怪訝そうな顔でその女性を見る。ただの白い髪を一つに結んで振り袖を着た霊夢と同じくらいの体格の一般女性が何を言い出すかと思えば、博麗式行政に文句だろうか。奥歯でも抜いてやろうか。

「・・・・・・僕でも一瞬誰かと思いましたよ・・・・・・いや、変わりすぎですよ」

 それに答えたのはジョルノだった。まさか、知り合いか? いや、この外来人の連れはアマゾネス(って何だ? 分からん)だったはずだ。まだどこにいるかは把握し切れていないが、いずれそいつからも払ってない税金を・・・・・・。

「――――まるで侵略者だよ、博麗霊夢」


 霊夢はその女性の瞳を見る。赤い、瞳をしている。見覚えがある。そしてこの白い髪。やはりどこかで見たことがあるような・・・・・・。

「私から言わせて貰えば主人公としての器はジョルノの方があると思うよ。私はね――――」

 ここで霊夢は理解する。やっと理解して、これは悪手だとも理解する。運が悪かったのか、それともこいつらの言う主人公としての器のせいなのか。

 だが、気付いたときはもう遅かった。

「あ、あんたは・・・・・・!! 藤原妹紅!?」

「Yes, I am!!」

 妹紅がにやり、と笑ったときには――――。

「テメェミタイナヤツニ、『シュジンコウノシカク』ナンテネェエエンダヨォォォーーーーーーーッッ!!!」

 すでに霊夢の背後に現れていた『スパイスガール』が完全に油断していた彼女の全身をその強力無比なラッシュで砕いていた。

「あびぎゃあああああああああああああッッ!?!」

「・・・・・・果たしてあんたに『反省』する時間はあるかな? 博麗霊夢」

 大きな弧を描いてぶっ飛ばされる霊夢を見ながらジョルノはそう言い捨てた。

*   *   *

 後書き

 まさか博麗霊夢のスタンドが『レッチリ』だとは夢にも思うまい・・・・・・。

 電力が無いので代わりに経済力って、ほとんどスタンドの性質が変わってるじゃあないか!! と思われるかもしれませんがクロスオーバー作品の時点であきらめてください(無反省)。

 主人公としての霊夢さんはいまいちだけど守銭奴としての霊夢さんは健在です。お金を辺りにばらまきながらお金を催促する姿は滑稽ですがね(無反省)。

 ちなみに戦闘で使ったお金は後で全部拾いに行きます。たとえ人里の人たちの手に渡ろうとも、『レッチリ』で経済の流通を探査すれば誰がいくら持っていったかが判るので絶対に取り立てに行きます。それを村人たちは恐れているので基本的にみんな落ちているお金は拾いません。

 なんか霊夢が可哀想に見えてきましたが、人質作戦とかどう考えても死亡フラグ見え見えな行動を取る方が悪い。

 まぁ、それでも霊夢の徹底的な経済政策で限りなく人里は安全かつ豊かになっているのも確かなんですけどね・・・・・・。根はいい子なんですよ? 風俗店経営者だけど。

 というわけで、おそらく次の話まで霊夢編は続きますね。本編とは関係ない道中イベント扱いなんですけど、レッチリ霊夢は書いてて楽しいので。

 では次は20話でお会いしましょう。 
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