| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ルドガーinD×D (改)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

二十五話:作戦会議は重要だよな

 
前書き
今回はあんまりギャグが入れられなかった……。
まあ、ストーリーがシリアスだから仕方ないよね。
それではどうぞ。 

 


「単刀直入に言うぞ。俺達にエクスカリバーの奪還、もしくは破壊に協力させてくれ」


ゴツンと頭をテーブルに打ち付けながらイリナ達に頼み込むイッセー。
その様子というか言った事に目を丸くして驚くイリナとゼノヴィア。
正直に言うと俺も驚いている。いつも通り前事情がなんにも知らされていないからな。
エクスカリバーを破壊? いいのか、かなり重要な物なのに壊していいのか?
まあ、俺が考えてもしょうがないか。事情は後で聞けばいいよな、話の腰を折るのも悪いし。

因みに現在俺の家にいるのは、俺が招いたイリナとゼノヴィア。
そして先程来た、イッセー、小猫、祐斗、それと確か生徒会の匙が居る。
それにしても……祐斗の奴、何だか吹っ切れた顔をしているな。
俺と同じであいつも悩みから解放されたんだな。……よかったな。


「………私達は悪魔に介入するなと言ったはずだが?」

「それを承知の上で頼んでいるんだ。それに……俺は赤龍帝だ。
 お前達は悪魔じゃなくてドラゴンの手を借りたと思えば良い」

「ドラゴンの手をか? 屁理屈だな」


毅然とした顔で自分をドラゴンだと言い放つイッセー。
そしてそれを少し皮肉気な顔をして見て屁理屈だというゼノヴィア。
両者の間には独特の緊張感がありそれを見つめる者達の間にも緊張感が走る。
しばらくそのままの空気で沈黙が続いていたがやがてゼノヴィアの方が目を閉じてフゥと息を吐き出したことでその空気は終わりを告げる。
ゼノヴィアの中で考えが決まったんだろうな。


「……わかった。そのドラゴンの手を貸してもらおう」

「ゼノヴィア! 本当にいいの、そんな屁理屈を通して!?」

「私とて本心では断りたい。だが、今回の件は私達二人だけでは成功確率はお世辞にも高いとは言えない。二人ではエクスカリバーを探すだけでもかなりの時間がかかる……任務遂行を考えればこれは悪い条件じゃない」


イッセーの申し出を渋々といった感じではあるが承諾するゼノヴィアにイリナが食って掛かる。それに対してゼノヴィアは淡々と承諾した理由を話していく。それを聞いたイリナは未だに納得のいかないような顔をしているが、かと言って反論できる要素もないので黙って引き下がった。

さてと……ここから考えるにエクスカリバーが何者かによって教会から盗まれてゼノヴィア達はそれを取り戻すためにこの町に来たってところか。それで俺が居ない間に悪魔は関わらないように釘をさしていたけどイッセーがそれを破りに頼みに来た……何の為かは、まあ、十中八九、祐斗の復讐が関わっているんだろうな。

それが原因でここ最近悩んでいたんだしな。でも、無茶苦茶気合の入った表情しているから、多分、今は吹っ切れたうえで復讐に乗り出そうとしているんだろうな。……そういえば、ふと思ったんだけどなんでイッセー達はゼノヴィア達が俺の家に居るってわかったんだ?


「そういえば、イッセー。なんで俺の家に二人がいるって分かったんだ?」

「ああ、いや、イリナ達を探して聞き込みをしていたらさ、オッド眉毛の男に着いていったって聞いたからよ。そんな奴、ルドガーしかいないなってなったんだ」


さも当然というようにさらりと俺が気にしていることを言ってのけるイッセー。
しかも、普段はしないような爽やかな笑顔で『どうよ、俺の推理力?』的な顔をしている。
仕方がない、今度イッセーをサンドバッ――ゴホン、じゃなくて稽古をつけてやるとしよう。
きっと泣きながら喜んでくれるだろうな。


「何だ? 急に寒気が……」

「気のせいだろ」


そう、気のせいさ。大丈夫、終わったころには身も心も軽くなって天に昇っているさ。
……戻ってこられるかは分からないけどな。


「みんな、少し僕の話を聞いてくれないかい? こうなった以上は君達にも話しておかないといけないことがある」


イッセーの処刑方――ゲフン、じゃなくて稽古について考えていた所に
真剣な様子の祐斗に声を掛けられたのでこちらも真剣な面持ちにして黙ってうなずく。
これで、今回の件が少しは発展すればいいんだけどな。

それとだ………毎度の事なんだけど、俺まだ一言も今回の件に協力するとは言っていないよな。
それなのに既に参加するような空気になっているのはどうかと思うんだが?
まあ……参加する気では、あるけどな。それに、見捨てておくなんて出来ないよな。
俺には何も言う資格は無いけど……だからと言って、それが仲間を見捨てる理由にはならない。


「これは僕からの情報提供だよ。
 僕はついこの前、はぐれ神父に襲われた―――エクスカリバーを持ったね」


「「「っ!?」」」


祐斗が言った情報に息をのむ俺達。まさか、既に復讐対象と接触済みだったのか。
それにしても、これはかなり有力な情報だな。
相手が間違いなくこの町に潜伏している情報にもなるし、相手の特徴を覚えておけば調査の効率もグンと上がるからな。

ん? でも襲われたのに無事だという事は祐斗が相手を追い払ったということか?
それとも祐斗が逃げたのか……まあ、そこも含めて言うんだろうから聞けば早いか。


「そいつの名前はフリード。以前、僕達の邪魔をしてきた奴だよ……そして僕はフリードと戦って負けそうになった」

「負けそうになった?」


俺の問いに悔しそうに頷く祐斗。というかフリードって……以前俺の眉毛を馬鹿にしてきたから嵌めコンボでフルボッコにしてやったあのイカれた奴だよな。

ボロ雑巾みたいにして放置してやって止めは刺さずに放置しておいたけど、
まさか、生きているとは思わなかったな。
仕方ない、今度は床に落ちている塵ゴミみたいにしてやるとするか。
酷い? あんな奴に情けを掛ける必要なんてないだろ。


「あの時は冷静さを欠いていたせいで負けたんだ……でも、今度は失敗しない。今度は僕を支えてくれる仲間がいるからね」


そう言ってイッセー達の方を見る祐斗。そのことに反応してドンと胸を叩くイッセー。
イッセーが祐斗を変えたのか……何だかんだいってイッセーは心が本当に強いな。
そして、小猫も少しだけ胸を張る。

……うん、無いな、何がとは口が裂けても言わないけど。
だってそんなこと言ったら間違いなく殺されるだろうし。でも本当に平たいな。


「……この釈然としない苛立ち……これが怒り…?」


まずい、小猫が何かに感づいたみたいだ。今度からは思う事も無くさないとな。
そうじゃないと俺の命が幾つあっても足りないような事態に陥りそうだからな。
自業自得? ………いや、でも男ならどうしても思ってしまうだろ?

ロマンを追い求める心は誰しもが持っているんだからな。
この思いを止めることは誰にもできない!
後、俺は別に大きい方が好きという訳じゃないからな。

好きになってしまえば大きかろうと小さかろうと関係ない。
偶々、黒歌が大きかっただけだ。だから、俺は黒歌のたわわな果実に惹かれて好きになったわけじゃない。俺は黒歌の全てが好きになっただけなんだ。

………あれ、俺はなんでこんな事を考えているんだ?
黒歌に会えないこの時間がもどかしいのか?
……取りあえず、話に戻らないとな。


「あの時、もし、話し方が何だかイライラする男がフリードに撤収を指示していなければ僕は負けていたと思う」


話し方が何だかイライラする男……なぜだろうか、物凄く知っている人間のような気がする。
もしかして俺の嫌いな人間ランキング堂々一位のあいつじゃないよな。
兄さんに顔を踏まれて靴の跡が出来たからサングラスをかけていたあいつじゃないよな。
それにしてもあれは兄さん良い仕事したよな。あれ、絶対狙ってやっただろ兄さん。
そういうところに憧れるし、痺れるんだよな。と、今は確認をする方が先だな。


「なあ、祐斗。そのイライラして殴りたくなる奴って、もしかして趣味の悪い赤いスーツを着ていて、これまた趣味の悪い長い髪にメッシュを入れている、タレ目で、見ているだけで殺意が湧いてくる男じゃないよな?」


「……えっと、取りあえず特徴はあっているけど……なんでそんなに棘のある言い方なんだい?」


まさか、本当にリドウだとはな……あいつ何をするつもりだ?
この前会った時は自分の生きたいように生きると言っていたけど、
今回の件とあいつの目的が何か噛み合うところがあるのか?

……いや、あいつの場合単なる愉快犯の可能性もある。
もしくは自分の存在を認めさせるために何かしらデカいことをしようとしているか……。
くそっ、今の情報だけじゃ分からない。実際にあいつに会って問い詰めるしかないみたいだな。


「ルドガー君、あの男の事を知っているのかい?」


俺の様子から見て俺とリドウが知り合いだと判断した祐斗が聞いてくる。
他の奴らも興味深そうにこちらに身を乗り出して来る。
ゼノヴィアだけは俺と敵が繋がっているとでも思っているのか動かずに俺を睨みつけてきている。

まあ、俺に対しての不信感がまだ抜けきってないからなんだろうな。
それにしても、知っているか、か……。
ああ、本当によく知っているよ、なんせリドウは―――


「……俺から大切な人を奪った奴だ」


「「「―――ッ!?」」」


―――俺とエルからミラを奪っていった奴なんだから。
俺の告白に一同が騒然とする。特に祐斗はまるで自分の事のように顔を歪めている。
多分、自分の大切な人達の事を思いだしているんだろうな。
でも、憎しみに憑りつかれた様な目はしていない。それは俺もだ。

どちらかというと俺はいかにしてリドウに借金を背負わしてやろうかと考えている。
殺す気は今のところは無い、殺したら審判に関わるような気がするしな。
それに……兄さんも殺すほど嫌っていたわけじゃないんだ。
兄さんの望んだ世界にもリドウは居たんだ。俺はあいつが生きることを否定しない。
……積年の恨みはしっかりと晴らさせてもらうけどな。


「あいつは……リドウは俺が相手をする」

「自分の手で仇を取りたいのか?」


ゼノヴィアの問いかけに俺はゆっくりと首を横に振る。
それに意外に思ったのかゼノヴィアが小さく小首を傾げる。
確かに俺が戦ってフルボッコにしてやりたいという思いもあるが、実際の所あいつを倒せるなら誰がアイツと戦っても構わない。……“倒せる”ならな。


「リドウは強い。倒せるのは現状、俺だけだからだ」

「そんな奴、相手にお前だけを戦わせられるかよ!」

「ムッ、私達が弱いっていうの?」


俺がリドウの相手をする理由を言うと、俺だけが危険な事をすることを怒ったイッセーが詰め寄って来た。さらに、暗に自分達には実力がないと言われたことに憤慨したイリナも詰め寄って来る。……はあ、気持ちは嬉しいけど……これは遊びじゃないんだ。

実際に、やって自分の実力を分からした方が良いか。
俺は詰め寄って来た、二人の額に瞬間的に創り出した銃を突きつける。
そして驚く二人に間髪を置かずに足を引っ掛けて転ばせ、組み伏せる。

因みにイリナは女の子だからそこまで酷くしていない。
イッセー? なんか、ゴツンっていって床に衝突していたけど大丈夫だろ。
頑丈さがあいつの売りだろうし。


「今ので分かっただろ。俺の実力はお前達とは天と地の差だ、それにこれが実戦なら最初に銃を突きつけた時点で殺されているぞ」

「くそっ…!」

「動きが全然違うわ……」


俺に床に押し付けられながら悔しそうに声を出すイッセー。イリナの方は既に解放してあるので立ち上がっているが、先程ので十分実力差を理解したのかもう、俺に突っかかってくる気はないみたいだ。

それにしても簡単に納得してくれてよかったよ。
今のは不意打ちだからちゃんとした戦いをしろって言われたら面倒だったからな。
まあ、そう言われたら実戦に卑怯も何もないだろって言い返す気だったけど。
それと先程から、ゼノヴィアがやたら好戦的な目で見て来るんだけど……。

ゼノヴィアは戦うのが好きなのか? レイアも戦うのは好きだったけどあれは体を動かすのが好きだからであって戦闘そのものを楽しむタイプじゃなかったしな……正直慣れていなくて扱いに困る……って、よくよく考えて見ると女の子だけど美候やアーサーみたいなやつだと思えば良いのか。なんだ、意外と簡単だったな。トマトでいう事を聞かせればいいんだ。


「でもよ……俺達もお前の力になりたいんだよ…! お前だって苦しんでいただろ。
 俺は仲間が苦しんでいる時は絶対に力になってやるって決めたんだ!」

「イッセー……」


腹の底から絞りだしたような声で俺の力になりたいというイッセー。
『どうして、一人で悩んでいるのよ! もっと周りを見なさいよ!』
ミラの言葉がふと思い出される……そうだ、もっと周りを見て頼らないとな。
俺は大きく息を吐き出し、押さえつけていたイッセーを開放する。


「………俺の背中を頼む」

「は?」

「だから……俺が戦っている間、俺の背中をお前達が守ってくれって言っているんだよ」

「っ!? ああ、任せろ! バッチリ守ってやるぜ!」


何だかこういう事を改めて言うとなると、少し、恥ずかしいので顔を合わせないようにして守ってくれと言う。すると頼ってくれたのが余程嬉しかったのか満面の笑みを浮かべるイッセー。
……お前はその笑顔を女の子に見せてやれよな。

顔は良いんだから普通にモテるだろ。後、そういう事をしているとどこからか
『まさかの兵藤×ルドガー!?』『待つのよ、木場きゅん×兵藤×ルドガーもありよ!』
とか言う幻聴が聞こえ始めた俺はどうすればいいんだ。

本当にお前の流した噂のせいで学校に行くたびにこんな声が聞こえてきて俺の精神は削られていっているんだからな! お前もリドウと一緒にフルボッコにしてやろうかと今、真剣に悩み始めたからな。


「さて、決まったのなら、早速エクスカリバーの奪還に挑みたいのだが……私に考えがあるんだ。
 少し外に出てついて来てくれないか?」

「分かった。みんな、行こう………小猫?」


ゼノヴィアに何やら案があるみたいなのでみんなと一緒に外に出ようとしたが何故か小猫だけが
ボーっと立ち止まっていたので他のみんなには外に出て貰っている間に呼びに行く。
俺が声を掛けるとビクッとしてしまい、何だか悪い事をしたような気分になってしまったが時間もないので再度、外に出る様に促す。


「小猫、早く行くぞ」

「……懐かしい…落ち着く、匂いがします」

「匂い?」

「……はい。……ルドガー先輩、今度また遊びに来てもいいですか?」


懐かしい匂い……そんな匂いが俺の家にあるのか。
正直俺には良く分からないけど……まあ、自分の家の匂いっていうのは自分には分からないって言うしな。多分そのせいだろ。それと小猫が家に遊びに来る分には何の問題もない。

というか、どちらかと言えば大歓迎だな。やっぱり賑やかな方が楽しいしな。
もし、機会があったら黒歌達にも紹介しよう。
そんなことを考えながら俺は小猫を連れて家から出て行った。
だからだろうか、その時、俺達の後ろ姿を突如現れた俺の想い人が見つめていることに気づかなかったのは……。




「…………白音」

 
 

 
後書き
ハーフ骸殻リドウさんとコカビエル……どっちが強いかなと考え中。
自分の中では互角位かちょいリドウさんが上かなと思っています。
ハーフ骸殻で大精霊クラスらしいから流石にコカビエルも大精霊クラスはあると思うんですよね。
……というか、コカビエルは咬ませになったせいで本当の実力が分からない。
強いのか弱いのかの判断に非常に困るキャラです。本音を言うとハーフより結構弱いかなとも思っているんですがそれだと威厳がなさすぎるなと……うーん、難しい。

因みに作者の骸殻の強さのイメージは某野菜人に例えるとクォーターが界王拳
ハーフ骸殻がスーパー野菜人、スリークォーターがスーパー野菜人2
フル骸殻がスーパー野菜人3みたいな感じの上がり幅だと思っています。
異論は認めます。

長々と書きましたが今回も読んでくださってありがとうございましたm(__)m 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧