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鎮守府にガンダム(擬き)が配備されました。

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第1部
  エピローグ

8月24日
横須賀沖


快晴の空が広がる夏の海。
エインヘリアル艦隊司令官である俺は、書類や指揮を滞りなく終わらせ、愛機と共に戦艦棲姫の甲板に寝転がり、煙草を吹かしていた。
今の今まで砲火が入り混じっていたとは思えない程、海は穏やかさを取り戻し、鴎が平和を引き連れて来たかのように鳴いている。

「……君の処遇については、俺に一任された」

隣に腰を下ろす戦姫級に語りかける。

「日本政府としても、君達を無碍にする気は無いらしい。
深海棲艦の貴重なサンプルでもあるし、海戦の立役者でもある。
帝国の好戦派は君達を処分するべきだと言ってるが、今回は君達を擁護する声が大きすぎて表立って動けないらしい。
君達を保護する意味でも、陛下が俺に一任したのは正解だった。
俺逹は君達への偏見も無いしな」
「……ダが、敵デある事ニ変わリは無イ」
「……君は俺の敵なのか?」
「断じテ違ウ。 敵対すル気は無イわ」
「ならそういう事だ。 連中に手出しはさせない」

吸殻を携帯灰皿に押し込んで、新しい煙草に火をつける。

「現時刻を以って旗艦等を我が艦隊に組み込む。
それ以外に旗艦等を内外から守る術は無い。
人類は元より、旗艦等は深海棲艦からも命を狙われてる訳だしな」
「……」
「…ま、この世界に連邦は無いし、俺逹も本来の任務である宙賊討伐任務をやる事が出来ない。
人の命を奪わなくていいってのも良いもんだぜ?」
「……ソウね」

沈黙が甲板を支配する。
艦橋付近では日本帝国やエインヘリアルを初め、各国の技術者や科学者が戦艦棲姫を調査している。
時折戦姫級がくすぐったいように頬を赤く染めながら身を捩っている以外、平和そのものだ。
つまり、非常に気まずい雰囲気だ。

「しばらくは俺逹との連携を強化する為に、MSを搭載して慣熟訓練に励んで貰うことになる。
なに、すぐ慣れるさ」
「……」
「ル級とヲ級は損傷が酷いから、修復と改修の為に鹿島鎮守府のドックで休んで貰う。
君には……」
「大和」
「へ?」
「……私ノ名前は大和デす」

赤く染まった顔を背けながら、戦姫級……大和は頬を膨らませた。
……どうやら名前を呼ばれないのが酷く気に入らないらしい。
よくラリーやまりもに「女心がわかってない」とは言われるが、此れでは反論出来ないな。

「悪かったよ大和、機嫌を直してくれ」
「……」

今度は耳まで真っ赤にしてしまった。
やれやれ、これだから女性は苦手だ。

上半身を起すと、丁度調査が終わったのか、接舷していたミサイル重巡洋艦いざなぎへぞろぞろと人が列を成して下船していく所だった。

「提督、ル級とヲ級の自己修復が終了しました。
鹿島へ航行するだけなら、何とかなるそうです」
「そうか……よし、出航だ」

駆け寄ってきたリンドヴルムの整備班が報告と共に敬礼する。
それに答礼し、出航を告げた。
整備班は駆け足で大和の艦内へ戻って行った。

「大和、いざなぎから離艦。
各艦準備完了後、鹿島鎮守府へ進路を取ってくれ」
「了解」

大和と共に立ち上がり、帽子を被り直す。
と、いざなぎから軽快な音楽が響いて来た。

……遠すめろぎの畏くも 肇めたまいし大大和

永久に栄ゆる日の本の 神武の正気今ここに

こりてぞ成れる浮きつ城……

「大和艦歌か…粋な事しやがるじゃないか……」
「……」

……しこの御楯と畏みて たおれて止まぬ尽忠の

大和ますらお 数二千

心を磨き わざを練り

断乎と守れ 太平洋……

せめてもの手向けなのだろう。
いざなぎだけでなく、付近に集まった艦艇からも歌声が聞こえくる。

……ああ悠久に 伝うべき

八紘為宇の 大理想

行く手をはばむ 敵あらば

無敵の巨砲 雷と吼え

撃ちてし止まん 大和魂……

乗組員だけでなく、技術者や科学者までもが帽子を振って声を張り上げている。
徐々に進んで行く大和から聞こえなくなるまで、大和艦歌は続いていた。

この時、大和が涙を流しながら微笑んでいたその表情だけは、俺しか知らない。


◉◉◉


同時刻
鹿島鎮守府
鹿島鎮守府中央棟 提督執務室

「……ええ、はい。
此方の準備は既に整っています。
はい…はい……ええ、〝彼等の返答次第〟です」

陽の射す提督執務室。
その部屋に備えられたデスクで、1人の男が受話器に向かっていた。

「深海棲艦3隻については愚息に一任しています。
……ええ、問題はありません。
受け入れも手筈通りに行います」

暫くの沈黙。
脇に立つ艦娘も、柔かな笑顔で黙って主の様子を見守っている。

「……では今後も〝ユリシーズ〟の情報を最優先でお願いいたします。
はい、わかっております。
……心配は要りませんよ、〝姉上様〟。
彼を信じましょう。
……では、失礼致します……天皇陛下」

男は……神宮司貞晴は静かに受話器を置いて、溜息を吐いた。

「全くあの愚息は……次から次へと問題引っさげて来やがって。
一回シバき倒してやろうか……」
「いいじゃないですか、あの子なりに考えの事でしょうし。
私達にとってもプラスになると思いますよ?」
「そうじゃなきゃ此処から追い出してるよ。
まったく……ああ、胃が痛い…ただでさえ赤城逹の所為でボーキサイト不足なのに、これに大和級と戦艦、正規空母とは……資材庫が鼠の住処になるぞ……」
「でも、これで申し分ない戦力を確保出来ました。
〝引越し〟の手も足りるでしょう」
「簡単に言うなよ〝鳳翔〟……。
……しかし…」

鳳翔の手渡した〝最重要機密〟と判を押された封筒を開け、2枚の写真を取り出す。
1枚はエインヘリアルからもたらされた物。
もう1枚は日本帝国大本営経由で国連軍よりもたらされた物。
2枚には全く同じ物が映し出されていた。

「〝ユリシーズ〟にエインヘリアルの出現……偶然にしては出来過ぎてる。
気のせいであれば良かったが……間違いないな」
「あの子には何と……?」
「全てを話す。
隠した所でメリットもデメリットも無いし……。
此方としても調査をしなければならないからな」

2枚の写真がデスクに放り投げられる。

〝全く同じ形の物体〟が映し出された写真には、写真を撮った者の直筆のサインが書かれていた。







〝宇宙世紀0093年 第2次ネオジオン抗争〟
〝小惑星アクシズ落着記録 第4次観察記録〟





 
 

 
後書き
第1部完結(=´∀`)人(´∀`=)
本当は去年内に終わらせたかった……。
第2部からはほのぼののんびりとした艦娘逹とエインヘリアルの面々の日常を描きます。
乞うご期待。
描いて欲しい艦娘の話なんぞありましたら御一報ください。
ではノシ 
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